ジュニア&学生ポスターセッション
2025年総合大会
2025年3月25日〜26日 東京都市大学
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若手会員活性化WGジュニア&学生ポスターセッション受賞者一覧
優秀ポスター賞
クラス学習モデルにおける未学習クラスの特徴空間の構造分析
小端 千佳/神野 健哉
本研究では、深層学習モデルが少量または偏ったデータで学習された際、未知のクラス画像に対して抽出する特徴量の空間構造を解析しました。CIFAR-10データセットを使用し、CNNモデルの各層での特徴量類似度をCKA(Centered Kernel Alignment)により測定。既存研究では、学習済みクラスと異なるクラスの特徴量クラスターが重なり分布することが示唆されていましたが、本研究ではさらに、学習時に与えられていないクラスに対してもスーパークラス(例:動物、乗り物)の概念に基づく特徴空間が形成されていることを確認しました。特に、異なる事前学習データを持つモデルであっても、未知データがスーパークラスに一致する場合には類似した特徴量が抽出される傾向が示され、深層学習モデルの特徴空間における一般化のメカニズムを考察する新たな知見が得られました。この結果は、未学習クラスを扱う問題におけるモデル設計や応用において重要な示唆を与えるものです。
東京都市大学情報工学部知能情報工学科の小端千佳と申します。深層学習における汎用性の高さやモデル内部でのデータ表現のメカニズム解明をテーマに研究しています。今回のポスターセッションでは、新たな気づきにつながる多くのご意見をいただき、大変学びの多い時間となりました。そうした貴重な機会を経て、優秀ポスター賞として研究成果を評価いただけたことを大変光栄に思います。この受賞を励みに、今後も一層研究に取り組んでまいります。


CLIPを用いた古典籍の画像検索
山本 将也/大山 敬三/佐藤 真一/藤田 悟
近年、古典籍をデジタル化して保存する動きが盛んであるが、その情報を効果的に検索する手段が整っていない。そこで、本研究では、画像の意味的特徴を自然言語と結びつけるCLIP(Contrastive Language-Image Pre-training)を採用して、検索タグ情報を持たない画像であっても、自然言語をクエリとして検索可能にするシステムを構築し、古典籍画像データを用いてその有用性を検証した。日本語対応の事前学習済みCLIPモデル(clip-japanese-base)で画像をベクトル化して保持しておき、クエリをベクトル化したものとcos類似度が高い順に取り出すことで効果的な検索が可能であることを示した。さらに、物体検出技術(Grounding DINO)と組み合わせ、一枚の画像から複数の個別の物体領域を抽出して検索対象に追加することで、画像全体だけでなく、クローズアップした部分画像の検索も行えるようにし、利便性を高めることに成功した。本研究の成果は、当時の文化や気候、生態系の分析など、学際的な研究の礎になるほか、創作活動のための資料提供など幅広い目的における活用が期待できる。
法政大学大学院 情報科学研究科の山本将也です。
この度は貴重な賞をいただき、誠に光栄です。
本研究では、国文学研究資料館および国立情報学研究所と共同で、最新AI技術を活用した古典籍画像の検索システムの構築に取り組んできました。自然言語による直感的な検索が可能になり、古典籍研究のための強力なツールになり得ると考えています。ポスター発表では、多くの方々と意見を交換することができ、また、検索の実演に対して驚きを持って評価いただけたことが嬉しく、そして良い経験になりました。
本システムは、様々なオープンモデルの力を借りることで実現しています。それぞれの開発者の方々に、この場を借りて感謝申し上げます。


シェアサイクルにおける自転車最適配置のための利用区間の検出手法
吉田 幸輝/三木 良雄
スペクトル減算を用いた音声認識器を対象とした敵対的サンプルに対する防御手法
髙橋 京之佑/田村 慶一
深層学習のモデルを騙す攻撃として敵対的サンプルを用いた敵対的攻撃が脅威となっている.Audio Adversarial Example(AAE)は人に聞こえる内容とは異なる内容を音声認識システムに出力させる敵対的攻撃となっている.AAEを用いた敵対的攻撃に対する防御手法として,時系列連続性に基づく判定手法,動的ダウンサンプリング法,ノイズ除去法が提案されていたが,性質が異なるAAEを用いた敵対的攻撃に対する防御性能の検証が不十分であった.本研究では,性質の異なるAAEを用いた敵対的攻撃に,頑強なスペクトル減算をベースとしたフィルタリングに基づく新しい防御手法を提案する.提案手法は,AAE生成の時に加えられた摂動をバックグラウンドノイズとみなし,スペクトル減算を用いて除去することで,AAEか通常音声かを判定し,AAEを用いた敵対的攻撃から音声認識システム防御する手法である.評価実験の結果,性質の異なるAAEに対して既存手法と比べて変化の少ない検知精度を示す事ができた.
広島市立大学情報科学部に所属しておりました,髙橋京之佑と申します. 私は,敵対的攻撃に対する防御手法についての研究を行っています. 電子情報通信学会ジュニア&学生ポスターセッションで優秀ポスター賞という形で,評価していただけたこと大変光栄に思います.ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます.


物体検出AIを用いた金属製品における自動外観検査システムの開発
諏佐 啓太/山下 義典/長谷川 一英/酒井 一樹
部品生産工場における人の目視による製品検査には、労力や時間などのコストがかかる。 本研究では、物体検出AI「YOLO」を用いた自動外観検査システムの開発を目指している。 推論の前処理として、画像をグレースケール化することの有効性を検証した。 その結果、この前処理に精度向上の効果があることがわかった。
長岡工業高等専門学校 電子制御工学科に所属しておりました諏佐啓太です。
この度は優秀ポスター賞という名誉のある賞をいただき、大変光栄です。
本研究では、AIという最先端技術を使っているので難しい部分もありましたが、指導してくださった酒井先生、データやアドバイスをくださったJマテ.カッパープロダクツ株式会社の皆様のおかげで、課題をひとつずつ乗り越えながら研究を進めることができました。
また、本研究は学生の立場でありながら企業の課題に挑戦するという大変貴重な経験であり、私自身大きく成長できたと感じております。
改めまして、研究を行うにあたってご指導、ご支援くださった皆様に感謝申し上げます。

各種寄生成分を考慮したダイプレクサの高精度な設計に関する検討
星野 大空/大島 心平
スマートフォンを代表とする無線通信機器の普及が進み,高周波回路技術の研究が盛んに行われている.それらの研究分野の一つにダイプレクサがある.そして,ダイプレクサの中でもチップ部品を用いたものは小型化と高性能化が両立可能であることが報告されている.しかし高周波領域ではシミュレーションで得た特性を試作品で再現する点に課題があった.本研究では各種寄生成分を設計に反映し,課題の解決に取り組む.なお,今回検討したダイプレクサはGPSと5 GHz帯のWLANを想定し,各々の中心周波数をf_1 =1.57542 GHz,f_2 =5.425GHzとする.各種寄生成分を設計に反映させる手法として,まず部品実装用ランドはキャパシタで表現する方法を採用した.具体的には,f_2におけるランドの物理構造による寄生キャパシタンスを,電磁界シミュレータで計算し,設計に反映させた.次にチップ部品については,インダクタは並列共振器,キャパシタは直列共振器の回路構成となる.各素子においては,最小二乗法で寄生成分の素子値を主成分の素子値の従属変数で表現し,設計式への適応を可能とした.そして,回路図を基にした設計式を非線形連立方程式として解き,整合回路を構成するチップ部品の素子値を導出した.試作実験を行うと,GPS側の帯域内での挿入損失は1.43dB以下,反射損失は18.9 dB以下であった.またWLAN側の帯域内での挿入損失は1.06 dB以下,反射損失は16.8dB以下であり,良好な特性を有する試作品が作製できた.
小山工業高等専門学校 電気電子創造工学科に所属しておりました星野大空です。私は高周波回路の一つである、ダイプレクサに関する研究を続けていました。この度は優秀賞を頂けて大変嬉しく思います。ありがとうございました。そして本研究を遂行するにあたり、日頃から熱心にご指導いただいた大島先生には、この場を借りて厚くお礼申し上げます。
ポスター発表では多くの先生方からコメントを貰い、大変有意義な時間となりました。表彰という形で自分の研究を認めて頂けたからには、より一層研究活動に励みたいと強く思います。この度は誠にありがとうございました。


テーマ別特別賞 協創
馬術における活発な収縮運動を構成する姿勢の分析
田口 愛子/平山 高嗣
近年,ウマの動作に関する定量的分析が多岐にわたって進められているが,馬術競技に関しては比較的新しく,十分な研究成果が得られていない.馬場馬術で行う重要な運動である収縮運動は人馬共に高い技術が求められるため,様々な動きの要素が必要となり,難易度が高い.そこで本稿では,馬場馬術における収縮運動の一種であるPiaffeを対象に,競技採点と相関すると考えられる動作を構成するウマの姿勢について仮説を立て,OpenPifPafによる骨格推定をもとに映像分析によって検証を行った.
人間環境大学環境科学部環境データサイエンス学科に所属する田口愛子と申します.
この度の発表で,テーマ別特別賞「協創」をいただけた事を大変光栄に思います.
また,日頃より熱心にご指導してくださる先生方に感謝申し上げます.
馬を対象とした,映像を用いた定量的分析はまだ多く行われていません.
日本を含めて世界にいる馬たち,また馬に関わる人に貢献できるように今後も研究に取り組んでいきたいです.


車車間連携による協調型LiDAR偽装攻撃防止システムの検討
内藤 唯弦/宮地 秀至/山本 寛
近年,自動運転技術の進歩によって,様々な車載センサを用いてデータを取得し,周辺の環境を認識する技術が研究開発されている.特に,レーザ光の反射により対象物までの距離を計測するLiDARセンサの重要性が高まっており,周辺の三次元構造を把握することで,車線維持機能や緊急ブレーキ機能など,様々な運転支援が可能となる.しかし,LiDARセンサを使用する場合,悪意を持つ者によって反射光等を偽装され,周辺状況を誤って理解する可能性がある.それによって自動運転システムが誤った判断を下すと,緊急ブレーキの誤作動や,障害物を検知できずに追突し,命を脅かすこともある.既存研究では,これらの問題を解決するために,ステレオカメラで得られた深度情報とLiDARセンサの点群情報の位置合わせを行い,それらを比較することで点群の挿入攻撃を検知している.しかし,画像解析を対象として誤った物体認識を促す攻撃も提案されており,攻撃対象の車両において,カメラとLiDARセンサを同時に攻撃される可能性がある.本研究では,自車両のセンサから得られた物体認識情報と,道路を走行する他車両が持つカメラ及びLiDARセンサ情報を相互に共有し,検知結果の信頼性及び完全性を検証するシステムを提案する.他車両と協調して周辺情報を確認し合致させることにより,一つの対象に対するLiDARセンサの反射光を偽装するような攻撃への対策が可能となる.実験では,ロボットを用いて攻撃環境を用意し,複数台のロボットと検知結果や座標情報を共有することで攻撃を検知できることを確認する.
立命館大学大学院 情報理工学研究科 情報理工学専攻の内藤唯弦です。この度、特別賞(協創)を賜り、大変光栄に存じます。ポスターセッションへ参加するにあたり、熱心にご指導いただきました山本先生、宮地先生に深く感謝申し上げます。自動運転の開発と普及が進む中、セキュリティ対策の重要性はますます高まっております。電子情報通信学会での発表に加え、国際学会等への発表も目指し、今後より一層研究に精進してまいります。
この度は誠にありがとうございました。

音場再現を目的としたマイクロホン一体型スピーカに対するデータ駆動型位置推定の基礎的検討
西原 ちひろ/佐藤 元/堀越 光樹/津國 和泉/池田 雄介
コンサートや音声などの現実の音場を高い臨場感で再現する目的で、多数のスピーカを用いた音場再現・制御技術が研究されてきた。一般に、音場を正確に制御するには、スピーカ位置を正確に知る必要がある。しかし、実環境において、スピーカを理想的に配置できない場合やスピーカ配置が自由に配置したい場合に、事前にスピーカ配置を知ることが困難となる。また、近年、マイクロホンとスピーカが一体となったスマートスピーカが普及し、それらを用いた音場制御も考えられており、聴取者の発話した音声の指向性を用いて、スピーカの距離と角度を推定する深層学習手法も研究されている。しかし、この従来手法では、距離予測は十分な精度が得られたが、角度の予測精度には課題があった。そこで、本研究ではマイクロホン一体型スピーカで一斉に再生、録音された信号を用いて、スピーカの角度を推定する深層学習手法の基礎的検討を行う。一斉に再生・録音することで、一度の録音と再生のみでスピーカ位置を正確に推定することを目指す。実験では、スピーカとマイクロホンは無指向性を仮定し、反射音を考慮しないシミュレーション実験を行った。すべてのスピーカから同一の信号が再生され、すべてのマイクロホンで同時に録音されることを想定し、マイクロホンで録音した各スピーカからのインパルス応答の合成を深層学習の入力とし、出力は各スピーカの角度となるモデルを作成する。深層学習モデルのネットワークアーキテクチャには、最も単純な多層パーセプトロンを適用した。実験では、簡単のため、本研究ではスピーカの角度のみを議論するため、同一円周上に提案手法ではマイクロホン一体型スピーカを1つは固定し、残りの3つはランダム設置し、その位置を推定した。実験結果より、パルス信号をスピーカ出力に用いたときは、角度の誤差は約8度でスピーカ位置を推定できることが分かった。
東京電機大学未来科学研究科情報メディア学専攻の西原ちひろと申します。
この度ジュニア&学生ポスターセッションにて特別賞(協創)をいただき、大変光栄に思います。
初めて学会に参加しましたが、様々な方から質問やアドバイスをいただきとても有意義な時間になりました。
またご指導いただいた池田雄介先生をはじめ、研究室の皆様に心より感謝いたします。これを励みに、今後も精進してまいります。


水中ドローンとAIを利用したサンゴと魚の健康調査システムの研究開発
上原 功大/新地 志奈/真栄平 乙未/杉本 凛/中地 麗魅/中平 勝也
電子レンジで、食品を適度な温度に加熱する
久保田 夏未/大島 哲平/藤田 佳祐
電子レンジで食品を温め、食べるとき「熱すぎる。」や「食品の中冷たい。」と思うときはないだろうか。電子レンジ開発者が日々向き合ってきた課題だ。そこで、電子レンジで使われているマイクロ波を応用しようと考えた。電子レンジはマイクロ波を発信し、食品中の水分を振動させて食品を温める。また、マイクロ波は水分が多いほど、減衰する。具体的には、マイクロ波の受信機を作り、食品をマイクロ波に通す。そこでマイクロ波の減衰量を測る。マイクロ波は水分量に影響するので、減衰量がわかると食品の水分量がわかる。そして電子レンジは水分を振動させて、温める。マイクロ波による減衰から出した食品の水分から、食品の温め時間を出し食品を温めることで設定した温度に温められる。
たいへん貴重な体験ありがとうございました。これも、今まで指導してくださった先生方や、自分を支えてくれた友達、親にこの場を借りて感謝申し上げます。私は、高校で授業の一環であるssh(スーパーサイエンスハイスクール)をやっております。日常で困っていることを解決しようと、この「電子レンジで、食品を適切な温度に加熱する」という目標をもとに日々実験に取り組んでいます。今後もこの賞をかてに、実験に励みたいと思います。 誠にありがとうございました。


KEDAMA:猫とのじゃれあいを再現するマルチモーダルVRシステム
千秋 奏美/高橋 顕太/新江田 航大/神原 誠之
インタラクティブロボットを用いてリハビリやセラピーを行う取り組みが注目されている。これまで、抱きかかえることができる子供型や動物型のロボットが提案されてきている。しかし実際のロボットでは、外見を変更は困難であることや、インタラクションの表現方法に限界があった。本研究ではアニマルセラピーを想定し、VRシステムを採用することで外見の変更を容易にし、さらにアクチュエータや振動子などを用いたハプティックデバイスを併用することにより存在感の高いインタラクションを実現するシステムの開発を目指す。実験では、触覚(開発デバイス:KEDAMA)・視覚/聴覚(HMD)を統合することで、まるで本物の猫が膝の上にいるかのようなリアルな感覚を再現する。
奈良女子大学附属中等教育学校5年の千秋奏美と申します。この度はテーマ別特別賞 協創
をいただきありがとうございます。これまで優しく丁寧にご指導くださった奈良先端科学技術大学院大学の先生方、院生のみなさまに心より感謝申し上げます。
今回初めて参加させていただくにあたり、発表前はとても緊張していました。しかしながら、いざ発表が始まってみると、「視点が面白い」「この点をさらに掘り下げると面白くなるのでは」といった具体的なご意見をいただくことができ、非常に学びの多い機会となりました。
このような貴重な機会をご提供いただき、ありがとうございました。今後も探究活動に励んでまいります。


テーマ別特別賞 優秀プレゼンテーション
探索空間分離型CMA-ESを用いた効率的最適化手法の提案
山田 展蒔/神野 健哉
最適化問題とは、目的関数 f(x) の値を最小にするパラメータを求める問題であり、科学・工学・産業など幅広い分野で重要な役割を担っている。 特に、目的関数 f(x) が陽に与えられず、内部構造や勾配情報が利用できないブラックボックス最適化問題は、実応用でも頻繁に直面する問題である。 CMA-ES(Covariance Matrix Adaptation Evolution Strategy)は、強力なブラックボックス最適化手法として知られているが、多峰性(複数の局所最適解を持つ)問題では局所解に収束しやすいという課題がある。 そこで本研究では、高次元多峰性ブラックボックス最適化問題に対応可能な改良手法である SplitCMA-ES を提案する。 SplitCMA-ES は、固有座標軸(共分散行列の固有ベクトル)に基づき探索空間を分割し、複数の低次元空間で独立にパラメータ更新を行うことで、多様な探索を実現する。 200次元Rastrigin関数を用いたベンチマーク実験の結果、SplitCMA-ES は従来手法と比較して優れた最適化性能を示した。
東京都市大学 神野研究室 学部3年の山田展蒔です。
このたび、電子情報通信学会ジュニア&学生ポスターセッションにおいて、特別賞(優秀プレゼンテーション賞)を頂くことができ、光栄に思っております。
CMA-ESに関する研究に取り組み始めたのは学部3年の秋頃で、限られた時間の中ではありましたが、試行錯誤を重ねて地道に進めてきた成果が、このような形で評価されたことを大変嬉しく思います。
今回の受賞は、日頃より熱心にご指導くださっている神野先生のお力添えあっての結果です。心より感謝申し上げます。


吃音障害者用発話補助システムの開発
平山 大雅/遠藤 陽/藤本 和也/西野 洋介
吃音とは発達障害の一種であり、およそ100人に1人の割合で発症する。多くは幼少期に発症し、数年で症状が自然に治ると言われている。しかし成長しても症状が治まらないこともある。その場合進路や就職などに影響を与えることもある。
本研究は吃音障害者のような発話することを苦手とする人のための発話補助システム及び機器の開発を行っている。このシステムは使用者が発話するときに他人から機器を使用しているという違和感がないよう、口と手で操作する。仕組みとしてはパソコンのキーボードのようなものである。口腔内と手に感圧センサを使用した機器を装着し、口腔内の機器で母音を、手の機器で子音をテキストエリアに入力することができる。これらの機器を使って音声生成AIの入力フィールドに文字もしくは文章を入力し、それをAIによって使用者の声を模した音声で読み上げることで他人に物事を伝えることができる。
この研究により現在吃音など発音障害を持つ人々が自由に誰かとコミュニケーションをとることができる。また今まで発話障害を持つ人から避けられやすいレジ打ちや企業の電話業務、学校教師など声を出すことが必要な仕事につきやすくなり、経済の活性化につながると考えられる。
未だ機器を人体に装着して実装を行っていないが、テキストエリアに文字を入力することができた。
この度は栄えある賞を受賞でき、光栄に思います。まさか私たちの発表が受賞されると思っていなかったので、とても嬉しいです。今回の受賞を糧に、吃音を始めとした多くの発話障害者が自由に話せるようになることを目指して、研究を今後も進めていきたいです。
住民の視点から考えた別府市におけるオーバーツーリズム
阿南 佐和/小野 百合香/石垣 綾
近年、観光地におけるオーバーツーリズムが深刻化しており、大分県別府市では、観光資源が集中している地域に駅が少なく、観光客は主にバスやタクシー、レンタカーを利用しているため、地元住民の生活道路が混雑し、住民生活に支障をきたしている。本研究では解決策として、LRT(ライトレールトランジット)の導入を挙げ、導入後の各公共交通機関の利用者数や削減される環境負荷を概算し、住民と観光客の共存実現を考えた。
東京理科大学学部1年の阿南佐和です。
電子情報通信学会ISSジュニア&学生ポスターセッションで特別賞という名誉ある賞を頂きまして、大変光栄です。
このような結果が得られたのも尽力していただいた石垣先生や先輩方のおかげです。
今回の発表の中でわかった新たな課題を今後の研究の糧にしていきます。
この度はありがとうございました。

PMDD•ADHDのある人々のメンタルヘルス支援チャットボット開発
石川 瑚奈/近藤 武夫
月経前不快気分障害(PMDD)と注意欠如多動症(ADHD)は,共に性ホルモンの症状との関係が示唆されている.また,診断は受けていないが,潜在的にそれらの症状に苦しむ女性が多いことも過去の研究から指摘されている.そこで本研究では,SNS上の投稿内容からADHDとPMDDに関連する精神状態の悪化を把握し,メンタルヘルスに関する助言ができるチャットボットシステム構築を目指す研究を行なった.具体的には,4つの医学的診断状況(PMDDのみ群,ADHDのみ群,重複群,いずれの診断もない対照群)にあるSNSアカウント群の発話を,KHCorderを用いたテキストマイニングにより,対応分析・共起ネットワーク分析・関連語検索により分析した.その結果,重複群に固有な特徴語が得られたほか,それらの特徴語をもとに,重複群の傾向がある人の検出基準を明らかにすることができた.本研究で得られた結果をもとに,チャットボット作成ツールCozeを用いて,対話の内容が重複群の検出基準を満たしている場合に,メンタルヘルスケアに関する情報などを提供するチャットボットの試作を行った.今後は,本研究結果をもとに,PMDDやADHDの診断は持たないが,潜在的にその特徴があることが推測される患者に対して,SNS上の投稿内容にある特徴を検出して自動で彼女らに疾患の特徴への気づきや対処法を伝えるメッセージを送信するチャットボット作成に応用する.
桜蔭高校の石川瑚奈です。
私は、ADHDとPMDDの相互関係に関する研究を行っていました。
この度は、電子情報通信学会ISSジュニア&学生ポスターセッションでISS特別賞「優秀プレゼンテーション」を受賞させていただけて大変嬉しく思っています。
初めての学会参加であったため、発表の際はとてもドキドキしましたが、私の行った研究を沢山の人に届けることができたという経験は、とても貴重でかけがえのないものとなりました。
また、当日、いただいた沢山のコメントは、自分の研究を見つめ直すきっかけとなりました。
本研究の遂行にあたり多くの方々に多大にご協力いただきました。本当にありがとうございました。


金属表面に対応したRFIDタグ用逆F型アンテナの基礎検討
角張 達哉/宮田 尚起
近年,RFID(Radio Frequency IDentification)システムは多岐にわたる分野で活用されている.しかし,金属表面にRFIDタグを貼付すると通信距離が大幅に制限される.既存の対策として,メタマテリアルアンテナが提案されているが,これは特殊な材料や複雑な構造を必要とするため,実用化に課題を残す.そこで本研究では,金属表面でも動作し,薄型・小型で可とう性を備えた低コストなRFIDタグ用アンテナの開発を目指す.フレキシブル基板を用いた逆F型アンテナ(Planar Inverted-F Antenna:PIFA)を提案し,電磁界シミュレーターによる解析を行った. 逆F型アンテナは,小型ながらもインピーダンス整合が容易であり,金属表面において優れた性能を確保できることを確認した.特にUHF帯において,Sパラメータが-20 dB以下,利得が0 dBi以上という結果が得られた.これにより,金属表面における通信距離の低減を抑制しつつ,薄型化・小型化およびフレキシブル基板による可とう性といった特性を両立できる設計指針が見いだせた.
東京都立産業技術高等専門学校 電気電子工学コース5年の角張達哉です。このたびは、ISS特別賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に思います。日頃よりご指導くださっている先生のお力添えあってのことと、深く感謝しております。また、セッションにて貴重なご意見をくださった皆様にも、心より御礼申し上げます。今後は、開発中のアンテナの性能向上と実用化に向けて、より一層研究に励んでまいります。


単一ニューロンの情報処理におけるドーパミンの影響
Leaky Integrate-and-Fireモデルによる分析と評価
答島 綾香/古市 隼大/河野 崇
テーマ別特別賞 ユニークアイディア
3Dプリンタによるミリ波アンテナ用誘電体レンズの試作
田村 祐太/田中 将樹/伊藤 桂一
近年、高周波化に伴いミリ波デバイスの小型化が求められており、アンテナ性能を高める誘電体レンズにも小型化、薄型化が課題となっている。本研究では、ミリ波用誘電体レンズの薄型化に着目、NGnet(正規化ガウス関数ネットワーク)を用いたトポロジー最適化による構造設計を行った。先行研究では、高誘電率材料を用いた薄型レンズで放射パターンが改善されることが確認されたが、高誘電率材料はガラス基板であり微細加工が困難である。
そこで本研究では、微細加工が可能なFDM方式(熱溶解積層方式)の3DプリンタとPLA(ポリ乳酸)材料を用いて、誘電体レンズの設計および試作を行い、その放射特性を評価した。
秋田工業高等専門学校専攻科の田村祐太と申します。
この度は、特別賞(ユニークアイディア)をいただけて大変光栄に思います。この賞を受賞できましたのも、ご指導くださいました先生方、そして日頃から研究の相談に乗ってくださった研究室の皆様のおかげです。改めて感謝申し上げます。
今回の受賞を励みとし、より一層研究活動に励んでまいります。

音響特徴量解析に基づく呼吸音自動分類の一検討
松本 拓也/林 実
本研究では、CNNを用いて聴診位置毎および各音響特徴量による呼吸音の自動分類を行い、分類性能の向上を目指した。聴診位置毎の分類ではメルスペクトログラムのみ用い、各音響特徴量ではメルスペクトログラム、波形画像,MFCCを用いて正常・異常の分類を行った。その結果、聴診位置毎の分類ではALが最も高精度に分類でき、各音響特徴量では、メルスペクトログラムが最も有効であることが示された。
明星大学大学院 理工学研究科 電気工学専攻の松本拓也です。 電子情報通信学会ISSジュニア&学生ポスターセッションでISS特別賞(ユニークアイデア)という素晴らしい賞をいただきまして、大変光栄です。このような結果を得ることができたのは、林先生のご指導並びに研究室の皆様のおかげだと思っています。 この度は本当にありがとうございました。


電波センシングを活用した自転車等の危険運転検知システムの検討
沼津 惟吹/山本 寛/宮地 秀至
近年、買い物や通勤・通学を目的として、シェアサイクルや電動キックボードが普及している。しかし、利用者が交通ルールを守らず、歩行者との接触事故が発生する事例があり、このような事例を未然に防ぐシステムの実現が望まれている。既存研究では、車両が接近した際、歩行者に警告を発するシステムが提案されている。しかし、歩行者だけでなく車両にも位置情報や運転行動を観測する装置が必要であり、交通ルールを守る意思のない利用者に対して、車両に装置の設置を依頼することは困難である。そこで本研究では、歩行者が持つデバイスと信号機や電柱などに設置された電波ビーコンを組み合わせることで、危険な運転が行われている車両を検知するシステムを研究開発する。特に、受信電波強度の変動を計測・解析することで、車両の接近だけでなく、進行方向・速度を推定する手法を実現する。
立命館大学情報理工学部情報理工学科に所属していました沼津惟吹です。この度は特別賞 (ユニークアイデア)をいただけて大変光栄に思います。受賞した際はとても驚いたのですが、この賞は私の力だけではなく、大学の教授や先輩・同期など関わってくださった多くの方々の力があったからこそ受賞できたと思います。改めてありがとうございます。初めての学会発表で緊張していましたが、発表を聴いてくださった方々からのありがたいアドバイスやご意見をいただく中で、自然と伝えたいことが発表できたと思います。また、自分の考えていなかった部分や気づいていなかった点も知ることができたため、この経験を今後の研究に活かしたいと思います。

静電気発光によるスパーク放電の予兆検知に向けた検証
石津 七海/江口 大雅/杉本 智暉/江頭 正浩/福田 修/菊永 和也
静電気は製造業の製造工程で発生すると製品に不具合をもたらすだけでなく、火災事故の原因にもなり得る。特に火災事故は静電気を起因とするスパーク放電(静電気放電)を伴うことで発生する。そのためスパーク放電が発生する前にその予兆を検出できれば有効な対策を行うことができる可能性がある。本研究では我々が発見した静電気発光材料を用いて静電気放電の予兆を捉えるための検証を行った。まず高電圧印加時の電圧・距離・動画像を同時に計測するシステムを構築した。高電圧印加にはヴァンデグラフ発電機を用い、電圧が印加された静電気発光材料を塗布した膜(静電気発光膜)に対して人の手指を定速で近づけながら表面電位計で指の電位の変化を計測し、指と静電気発光膜との距離と静電気発光をカメラで撮影した。その結果、高電圧が印加された指と静電気発光膜の距離が近づくと緑色の静電気発光が発生し、さらに両者間の距離が近づくとスパーク放電が観測された。また指の電位はスパーク放電が生じた際に急激に減少していた。これらのことから、静電気発光を用いることで表面電位計による電位測定では検出できない静電気放電の予兆を検出できる可能性が示唆された。
佐賀大学理工学研究科知能情報工学コース博士前期課程2年の石津七海です.産総研でリサーチアシスタントとして静電気発光の研究に携わらせていただいております.
この度は,電子情報通信学会総合大会ジュニア&学生ポスターセッションにて特別賞を賜り大変光栄に思います.ポスターセッション内で,今まで気づけていなかった課題や今後の展望などについて研究者の方からアイデアを頂けて,今後の研究の励みになりました.
この度は,誠にありがとうございました.


ロボットの強過ぎる怒りの共感表出によるアンガーコントロール
平木 美穂/神原 誠之
本研究では、使用者が怒り感情を抱えている際にロボットが強い怒り感情を表出することで、使用者のアンガーコントロールを促進する新しい手法を提案する。心理学的研究では、怒り状態にある人が自分を上回る怒り状態の他者を目の当たりにすることで、相対的に自身の怒りが軽減されるという現象が存在する。本研究ではこの現象を応用し、ロボットが音声やジェスチャを用いて強い怒り感情を模倣することで、使用者の怒りを抑制する効果を検証する。実験を通じて、ロボットの怒り表出が使用者の感情状態に与える影響を分析し、アンガーコントロール支援の可能性を探る。
甲南大学 知能情報学部 知能情報学科の平木美穂と申します。
この度は、電子情報通信学会ジュニア&学生ポスターセッションにおいて、ISS特別賞「ユニークアイディア賞」をいただくことができ、大変光栄に思います。
ポスター発表では、自身の研究について多くの方々から貴重なご意見を頂戴し、大変有意義な時間となりました。また、自身の研究を客観的に見つめ直すきっかけにもなり、新たな課題や今後の展望を見出すことができました。この経験を活かし、これまで以上に研究活動に励んでまいります。
この度は誠にありがとうございました。

太ももを用いた入力インターフェースの開発
柴山 大祉/伊藤 瑠亮/太田 拓海/関 響/西野 洋介
ジュニア奨励賞
CNNにおけるBatch Normalizationが与える影響の調査
清水 楓音/神野 健哉
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は画像認識など多くの分野で高い性能を発揮している。本研究では、学習の安定化や精度向上を目的として広く利用されているBatchNormalization(以下BN)の効果を調査した。特に、BN層の配置順序が学習過程や内部パラメータに与える影響に着目し、畳み込み層の後にBN層を配置する構造(Conv→BN→ReLU)と、BN層を畳み込み層の前に配置する構造(BN→Conv→ReLU)の2種類を比較した。実験の結果、t検定により層の順番の違いによる分類精度の分布に差を確認した。また、BN→Conv→ReLUの構造では層が深くなるにつれて学習パラメータであるβが0に収束する傾向が見られ、学習の安定性が向上する可能性が示唆された。
東京都市大学 知能情報工学科 神野研究室 学部3年の清水楓音です。この度はジュニア奨励賞をいただき、大変光栄に思います。
大学での機械学習の講義をきっかけに、特にCNNの構造に興味を持ち、それに関連する研究に取り組んでまいりました。発表では多くの方々から質問やアドバイスをいただき、非常に有意義な経験となりました。この経験を励みに、今後も研究を深めていきたいと考えております。
本研究を指導してくださった神野先生をはじめ、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。


粘菌が解く巡回セールスマン問題
玉城 雄滉/國田 樹/本間 野々花
粘菌が持つ餌を探索し、餌と餌をつなぐ最短経路にのみ身体を残すという性質を数式化し、最短経路を求めるアルゴリズムとして落とし込まれた「フィザルムソルバー」を用いて通常の巡回セールスマン問題よりも現実に即した、渋滞情報を考慮した巡回セールスマン問題を解くプログラムを作成した。
沖縄県立開邦高等学校所属の玉城雄滉です。
私は琉球大学次世代人材育成事業の一環である琉大カガク院というプログラムで琉球大学工学部の國田研究室にお邪魔して國田先生や研究室の大学院生の指導のもと研究を行い、今回の発表をさせていただき、ありがたいことにこのような賞を受賞することができました。
今回の発表の経験は高校生の自分にとってとても貴重な経験となり、賞を受賞したことによって自分の研究に対する自信も得ることができました。
國田先生をはじめとして今回の研究に関わってくださった人々に改めて感謝申し上げます。これからもより一層研究に励んでいきたいと思います。この度は誠にありがとうございました。


一輪車と競技者の姿勢を推定する視覚に基づく機械学習モデルの構築
太田 葵/太田 晶
本研究は,一輪車演技のトレーニングに応用するため,視覚に基づく姿勢推定モデルの構築を目指し,競技者と一輪車それぞれのキーポイントを合わせてアノテーションすることを検証する.
審美系の一輪車演技においては,一輪車の車上で柔軟性の高い姿勢を保持したり,スピンやジャンプなどの技を行ったりする必要がある.コーチが指導する全体練習等の場においては,演技しながらの改善指導が可能であるが,個人で練習している場合には,ビデオ録画をした上で,演技を止めて録画を確認する必要があり,リアルタイムで改善しながらの練習は困難である.
機械学習による人の姿勢推定モデルを活用すれば,車上の競技者について概ね姿勢の推定が可能である.しかし,一輪車演技においては,一輪車と人が一体となって成立するものであり,一輪車と人の姿勢を合わせて推定できることが望ましい.
そこで,一輪車と競技者の姿勢を合わせて推定できる機械学習モデルの構築を検証した.
ジュニア奨励賞をいただきありがとうございます。とても嬉しいです。
ポスターセッションは2回目ですが、うまく発表できるか不安でした。しかし、聴講者の皆さんが興味をもって聴いてくださった事で、自信をもって楽しみながら発表できました。一方で、発表の中で悔しかった事もあります。本研究でのYOLOの使い方についての質問には、理解が十分でないため説明を控えました。次回は質問に答えられるように理解を深めます。
今回、一輪車競技の練習に追われながら研究の時間を作る事が大変でしたが、一輪車競技の姿勢推定モデルを作る取り組み自体が自分達の演技を振り返る事にも繋がりました。
今後は実用できるモデルを開発したいです。


聴覚障がい者のための音の特性が表現可能なAR可視化手法
田宮 京佳/神原 誠之
本研究では、聴覚障がい者向けにAR技術を活用した新しい字幕表現を提案する。従来の研究では、環境音を擬音語に変換して画面に表示する手法や、会話内容をリアルタイムで字幕として表示する方法が検討されていた。しかし、これらの方法では、音源の発生位置や音量、話者の感情といった音の特性を十分に表現することが困難であった。本研究では、AR技術を活用し、音の発生位置や音量、話者の感情を視覚的に提示することで、聴覚障がい者が周囲の環境をより直感的に理解できる字幕表現を目指す。本研究ではAR特有の空間的な表現を活かし、音の特性を効果的に可視化する新たな表現方法を提案します。
甲南大学知能情報学部3年の田宮京佳です。未熟ながらもジュニア奨励賞をいただけたことを大変嬉しく思っております。ポスター発表では多くの貴重なご意見をいただき、今後の研究をさらに深めていくための気づきを得ることができました。今回の経験を糧に、卒業研究やその先の進路に向けて、より一層努力してまいります。


