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ジュニア&学生ポスターセッション

2024年総合大会 

2024年3月7日〜8日 広島大学(東広島市)

情報・システムソサイエティは、2024年電子情報通信学会総合大会(広島大学東広島キャンパス)においてジュニア会員や学生員が発表者となる特別企画「ジュニア&学⽣ポスターセッション」を開催しました。
計191件の発表があり、そのうち67件がジュニア会員世代の発表でした。
特に選奨セッションの96件の発表のうち、ジュニア会員世代のものが43件と半数近くを占め、大変多くの皆様にご参加いただきました。
その結果,高校生や高専生も特別賞を獲得し、さらに歴代最年少参加者である小学1年生もジュニア奨励賞を受賞しました。
その他の発表者の方々からも大学生や大学院生に引けをとらない探求心や力強さを感じました。
次回は2025年3月に東京都市大学にて、電子情報通信学会の全ソサイエティの企画へと拡大して開催する予定です。
引き続き、ジュニア会員の方々からのチャレンジ精神あふれる発表を心からお待ちしています。

ISS技術会議幹事 新田直子(武庫川女子大)

情報・システムソサイエティ特別企画
ジュニア&学生ポスターセッション受賞者一覧

優秀ポスター賞

AR技術を用いた歯科インプラントサージカルガイドの改良
ー治療器具のトラッキング精度向上ー
福田祐介/竹林晃/山本裕明/ 加納徹

あらまし

受賞者代表挨拶

表情認知における注意欠如多動症傾向と
スキャニングパターンの関連
出水志緒梨/北条直樹/滝口哲也/中井靖

あらまし

相手の表情から感情を推測すること(表情認知)はコミュニケーションに重要である。 注意欠如多動症(ADHD)のある人は表情認知が苦手であると言われる。そこで、大学生を対象にADHD傾向(不注意特性、多動-衝動性特性)と表情同定成績との関連およびアイカメラによる目線の動きとの関連について検討した。その結果、ADHDの不注意特性が高い人は低い人と比べ、表情同定の成績が低く、その低さの要因として視線距離や速度、注視時間には有意な関連が認められなかった。今後も研究を続け、ADHDにおける表情認知メカニズムを解明したい。

受賞者代表挨拶

京都女子大学発達教育学部心理学科(現心理共生学部)に所属しておりました出水志緒梨です。私はADHDのある人が表情認知を苦手とする要因として視線の動きがどう関連しているのかというテーマで研究しておりました。この度ISS優秀ポスター賞をいただけて大変光栄です。ありがとうございました。
初めてかつ専門の心理学とは異なる領域の学会で発表を行うということでドキドキしながら発表したのを覚えています。たくさんの方にコメントをいただけて非常に貴重な経験ができました。これからもADHDを始めとする発達障害のある方が暮らしやすい世の中になるよう研究を続けていきたいと思います。

優秀ポスター賞 出水志緒梨 氏

ラベルなし音声を用いた自己教師あり学習による
器質性構音障害者の音声認識
北条直樹/高島遼一/杉山千尋/田中信和/野原幹司/野崎一徳/滝口哲也

あらまし

近年、音声認識技術が機械学習の発展により、様々な場面で利用されている。しかし、一般的な音声認識システムでは、発声器官の欠損等により、発声がうまくできない器質性構音障害者の正確な音声認識は困難である。器質性構音障害者に特化した音声認識システムの構築には、大量の音声とそれに対応したラベル(正解テキスト)の学習データセットが必要となる。しかし、器質性構音障害者において、発声の負担等のため、大量のラベルあり音声を収録することは難しい場合がある。
そこで本研究では、wav2vec 2.0を用いた自己教師あり学習手法に着目する。日常会話等のラベルなし音声データを活用することで、少量のラベルあり音声による器質性構音障害者の音声認識を高精度化する手法について提案している。

受賞者代表挨拶

神戸大学大学院 システム情報学研究科 システム情報学専攻の北条直樹です。
この度は、ISS優秀ポスター賞という名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に思います。
この賞を受賞できましたのは、日頃から熱心に指導いただいている滝口先生や高島先生並びにデータのご提供や多くのアドバイスをいただいている野崎先生や野原先生、田中先生、杉山先生のおかげです。
ポスター発表を通して頂いた様々なコメントを活かして、今後も社会に役立つ研究を続けていきたいと考えています。
この度は誠にありがとうございました。

優秀ポスター賞 北条直樹氏
優秀ポスター賞 北条直樹氏ポスター

DRR画像からX線画像への画質変換
ー画像間の位置ずれによる影響を低減する
ネットワークの提案ー
林千咲子/森慎一郎/石川仁/須鎗弘樹/森康久仁

あらまし

近年、がんの治療法として放射線治療の需要が増している。一般に放射線治療は複数回に分割して行われ、治療時に計画通りに放射線が照射されるよう、患者の位置を正確に決定する必要がある。患者の位置決定は、治療計画時に撮影される3次元CT画像から作成するDRR画像と、治療時にリアルタイムで取得されるX線画像とを比較して行われる。現在、両画像の照合作業は技師による目視で行われているが、これには時間がかかるという課題がある。この問題の一因は、DRR画像とX線画像の画質が大きく異なる点である。そこで本研究では、DRR画像をX線画像の画質に変換するネットワークを提案する。また、両画像は異なるタイミングで撮影されるため、特に呼吸に伴う移動がある部位の画像では、学習データ間に位置ずれが生じる可能性がある。本研究では、この位置ずれに対応可能なネットワークの構築を目指す。

受賞者代表挨拶

千葉大学大学院融合理工学府情報科学専攻の林千咲子です。ISS優秀ポスター賞という形でこれまでの研究成果を評価して頂けたこと、大変光栄です。多くの方々からのご指導と支援があってこその受賞だったと思っております。改めて感謝申し上げます。この経験を励みに、今後も研究活動に取り組んでいきます。

優秀ポスター賞 林千咲子 氏ポスター

MR画像誘導放射線治療における
照射中リアルタイム3次元腫瘍位置予測の試み
清水涼音/恒田雅人/阿部幸太/横田元/堀越琢郎/太田丞二/宇野隆/須鎗弘樹/森康久仁

研究の詳細
あらまし

放射線治療とは体内の悪性腫瘍に高エネルギー放射線を照射する治療法である。この治療において、呼吸などによって運動する腫瘍の位置を正確に把握することができれば、腫瘍のみへのピンポイント照射を可能にすることができ、治療成績の向上が期待できる。しかし、体内を直接視認することができないこと、また放射線治療装置が照射するタイミングでの腫瘍位置が推定できないことなどが腫瘍のみへのピンポイント照射を難しくさせている。近年、MRIが搭載された放射線治療装置が開発され、画質の優れたMR画像で治療中の体内の腫瘍及び臓器の位置変動を確認できるようになった。したがって放射線が照射されるタイミングでの腫瘍位置が正確に推定できれば、腫瘍へのピンポイント照射が可能となる。
本研究では、腫瘍の3次元位置座標をリアルタイム予測するニューラルネットワークモデルを提案し、異なる入力断面の情報を複数入力した場合の位置座標の予測精度を検討する。

受賞者代表挨拶

千葉大学大学院融合理工学府の清水涼音と申します。ポスター発表当日では、研究に関する質疑応答や議論を通じて様々な先生方や他発表者の方々から研究をより発展させるためのアイデアをいただくことができ、大変有意義な時間となりました。加えて、ISS優秀ポスター賞という形で外部の方々から研究内容を評価していただけたことについて、大変嬉しく思います。本研究を進めるにあたって共同研究という形でご協力いただいた大学病院の先生方や、日々の研究相談に乗っていただいた研究室の方々に感謝申し上げます。

優秀ポスター賞 清水涼音 氏
優秀ポスター賞 清水涼音 氏ポスター

連合学習の通信量を削減するための
Energyスコアを利用した知識蒸留手法の検討
東桔也/宮崎智/大町真一郎

研究の詳細
あらまし

近年、プライバシーを保護しながらデータを集約せずにモデルを学習させることができる連合学習(Federated Learning)が注目を集めている。一般的な連合学習ではクライアントのモデルパラメータを平均化することで学習を行うが、モデルの出力のみを集約して知識蒸留を行うことで通信量を削減する手法も提案されている。
本研究では、クライアントが送信するモデル出力のEnergyスコア分布に着目することで学習を効率化させると同時に、通信量を更に削減する蒸留ベース連合学習手法を提案する。

受賞者代表挨拶

東北大学工学部電気情報物理工学科に所属しておりました、東桔也と申します。
私の研究分野である連合学習は比較的新しい分野であり、まだ解決すべき課題が多く残されています。学術的な貢献だけでなく実社会への応用も期待されることから本研究に取り組みましたが、今回のポスターセッションは研究を進めるうえで良い目標となりました。研究のアドバイスをくださった先生方、ならびにセッションで有意義な議論をしてくださった方々に改めて感謝申し上げます。今後もより一層研究活動に励んでまいります。この度は誠にありがとうございました。

優秀ポスター賞 東桔也 氏
優秀ポスター賞 東桔也 氏ポスター

テーマ別特別賞 協創

力覚装置とCTデータを用いた
アジの三枚おろしトレーニングシステム
中里幸敏/加納徹

research map
あらまし

受賞者代表挨拶

指文字の認識および音声出力のシステム開発
長野有斗武/足立ゆきの/高原佑哉/落田綾

研究の詳細
あらまし

聴覚障がい者の中には言葉をうまく話すことができない方も多くいらっしゃる。また、聴覚障がい者のための手話通訳者の不足も問題となっている。
そこで、このような現状を改善するために、画像処理と骨格検出を用いて手話を検出し、文字起こしをして、音声として出力するシステムを開発し、聴覚障がい者と健常者のコミュニケーションを円滑化したいと考えた。

受賞者代表挨拶

高槻高等学校3年の長野有斗武です。この度は、電子情報通信学会ISSジュニア&学生ポスターセッションでISS特別賞「協創」を受賞させていただきありがとうございます。
学会に参加することは初めてのことで緊張しておりましたが、大学の先生方から様々なアドバイスをいただき、大変有意義な時間を過ごすことができました。また、聴覚障がい者の方々の置かれた現状を少しでも改善したいという思いで行ってきた自分たちの研究を学会という場で評価していただけたことは、非常にうれしかったです。
今後、このようなシステムの開発がさらに進み、様々な環境で手話通訳をパソコンやスマホを通して簡単に行えるようになり、聴覚障がい者の方々が日常生活で苦労することのないような社会が実現することを願っています。

テーマ別特別賞 受賞者写真
テーマ別特別賞 受賞者ポスター

花火職人の技術継承のための
STEAM教育システムに関する一考察
嶋諒大/北風裕教

あらまし

花火師の技術の継承を最新の情報技術を用いて効果的に行うことを目的とする。研究グループで開発しているシステムは、花火の技術を継承するために仮想空間上で花火の製造工程を体験でき、かつVRグローブを用いて技術の習得を可能にするSTEAM教育支援システムである。本研究では、このシステムにおいて作成したい花火の色情報に注目し、深層学習を用いることで花火における火薬の調合率を逆計算し決定する手法を提案した。教師データと比較した結果、認識精度において90%を超えることを明らかにした。

受賞者代表挨拶

私は大島商船高等専門学校の嶋諒大です。
電子情報通信学会ISSジュニア&学生ポスターセッションでISS特別賞「協創」という名誉ある賞をいただきまして、大変光栄に思います。
このような結果が得られたのも、お世話になった花火会社の牛尾煙火製造所の皆様や北風先生、並びに研究室の皆様のおかげです。
この度は誠にありがとうございました。

テーマ別特別賞 嶋諒大氏写真
テーマ別特別賞 嶋諒大氏ポスター

海洋ごみの3DCGモデルを対象にした
YOLOv7による検出精度の考察
河村一世/北風裕教

あらまし

近年、海洋ごみによる海洋汚染は世界的問題となっている。これらの問題に対して現在日本で行われている対策として、船員による海洋ごみの発見と海洋環境整備船による回収が行われている。しかし、海洋環境整備船のデッキからの船員による目視では,遠方のごみを隅々まで確認することができないため、海上のごみを発見することは極めて難しく、効率的な回収は困難である。そこで、本研究ではドローンと自動回収船を組み合わせた海洋ごみ自動回収システムを開発するため、海洋ごみの3DCGを作成し、Data Augmentationを行う事で物体検出アルゴリズムに効果的な学習を実現した。また、海洋ごみの検出精度の向上について考察を行った。

受賞者代表挨拶

大島商船高等専門学校 電子・情報システム工学専攻所属の河村一世です。
私は、本科所属時から「ドローンと自動回収船を用いた海洋ごみ自動回収システムの開発」というテーマで研究を行っています。専攻科に進学した現在も海洋ごみの減少を目指しており、3DCGモデルを用いて海洋ごみの検出精度の向上を目指して日々努力を続けています。電子情報通信学会ISSジュニア&学生ポスターセッションでは、ISS特別賞(協創)賞をいただくことができとてもうれしく感じます。ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

テーマ別特別賞 河村一世氏写真
テーマ別特別賞 河村一世氏ポスター

ジュニア奨励賞

電動アシスト自転車の電池について
宮田創平/宮田純子/宮田高道

あらまし

電子情報通信学会の、100年後の情報通信が支える未来予想図について、「いつでもどこでも電気がつかえるせかい」というタイトルの絵を描きました。どこでも電気がつかえる世界を目指したとき、まずは充電の問題について考える必要があると感じました。家には、2台の電動アシスト自転車があります。ママはパパよりも充電が早くなくなることが多い気がしていました。本当にそうなのか、乗る人や自転車によって電池の減り方が違うのかを調べました。

受賞者代表挨拶

ぼくは、ポスター発表のとき小学1年生でした。両親の仕事で、よく一緒に出張に行きました。「せっかく学校を休んでいくなら、なにか発表したら?」と言われて、家族で調査をはじめ、身近な疑問をもとに、毎日データをあつめました。ポスターを作るときには、パソコンを使ったり、おりがみやテープを使って、みんなが分かりやすいように気をつけました。大変だったけど楽しかったです。
発表の日は、緊張したけど、最初に両親の研究室の学生さんが見に来てくれて、リラックスでき、たくさんの人に落ち着いて発表できました。
賞をとれて、とてもうれしかったです。またいろんなことに興味を持って、調査をしたいです。ありがとうございました。

ジュニア奨励賞 宮田創平氏
ジュニア奨励賞 宮田創平氏ポスター

レゴブロックを使用した
宇宙エレベーターロボットの製作
守屋真帆/落田綾

あらまし

近年、エレベーターを使用して地上から宇宙へ物資や人を運搬する宇宙エレベーター構想が実現可能なものとなりつつある。実現に向け、クライマー部分を含む機体をレゴブロックで製作し安全に効率よく物資を運搬する能力を競う宇宙エレベーターロボット競技会が小中高生を対象に開催されている。安全に多くの物資を運搬することを目標に製作を行った結果、ギアを効果的に使用したアームおよびカゴを持つロボットと、それらを最大限に活かす効率的なアルゴリズムによってステーションへの全ての物資の運搬に成功、またミッションを達成し、全国3位という成績を収めた。

受賞者代表挨拶

ジュニア奨励賞をいただくことができ本当に嬉しいです。誠にありがとうございました。
中学1年生の頃から、先生、先輩、友人など多くの方の御指導、御協力のもと、制御を中心に高槻中学校高等学校での宇宙エレベーターロボット開発に関わり続けてきました。
発表当日は、自分が気づけていなかった多くの視点から質問や助言をいただき、大変勉強になりました。教えていただいた考え方を基に、アルゴリズムや制御などについてもっと勉強していきたいと思います。
また、競技会での私たち小中高生によるロボット開発で生まれたアイデアが、将来の宇宙開発や宇宙への物資運搬に貢献することがあれば幸いです。
研究を指導してくださった落田先生、約4年間一緒に開発を行ってきたチームの皆に、心からの感謝を申し上げます。

ジュニア奨励賞 守屋真帆氏
ジュニア奨励賞 守屋真帆氏ポスター

Webカメラによる顔画像認識を利用した
ゲーム性のある暗算学習システムの開発
湊祐太朗/赤倉貴子

あらまし

受賞者代表挨拶