2024年6月版スーパーコンピュータランキングTOP500が発表されました。
TOP500とは、1993年から公開されているスーパーコンピュータのランキングです。リス
トの作成はマンハイム大学、テネシー大学、ローレンス・バークレイ米国立研究所の研究者
らが行っており、毎年6月のInternational Supercomputing Conference(ISC)お
よび11月のSupercomputing Conference(SC)の開催に合わせて発表されてい
す。ランキングは、コンピュータの計算科学応用向け性能の評価に適したいくつかのベン
マークの実行結果により行われています。ジュニア会員の皆さんは、日本のスーパーコ
ピュータは何位だったと思いますか? また、日本のスーパーコンピュータは100位以内に
いくつランクインしていると思いますか?
日本のスーパーコンピュータの中で最も上位だったのは「富岳」で、4位でした。「富岳」
は、ウイルスを含む飛沫による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のシミュレーショ
ン結果がテレビ番組などで何度も紹介されましたので、「富岳」の名前を聞いたことがある
人は多いのではないでしょうか。「富岳」は、文部科学省による国家プロジェクトとして
2014 年に立ち上げられ、理化学研究所と富士通が主体となって開発を手掛けました。
2021年3月に完成し、共用が開始されています。性能テストは2020年6月から実施して
おり、TOP500 において2020年6月、11月、2021年6月、11月の4期連続で1位を獲
得しています!
その後、2022年6月のランキングでは米国のスーパーコンピュータ「フロンティア」に1
位の座を譲りましたが、これは、LINPACKというベンチマーク(浮動小数点演算性能を測
定)を用いた結果になります。スーパーコンピュータのランキングは、他のベンチマークを用
いたものもあり、TOP500と同時期に、HPCG(High Performance Conjugate
Gradients)[共役勾配法に基づくベンチマーク] Green500[LINPACKベンチマー
クでの性能に対する消費電力] Graph500[大規模グラフ解析のベンチマーク]など
発表されます。「富岳」は、2024年6月発表のHPCGとGraph500のBFS(Breadth-
First Search:幅優先探索)部門において、世界1位を獲得しています。これらは、2020
年6月から9期連続の世界1位になります。これらの結果から、「富岳」は世界最高水準の
総合的な性能を有しており、LINEの記事でも何度か紹介されているSociety 5.0”
実現において、シミュレーションによる社会的課題の解決やAI開発および情報の流通・処
理に関する技術開発を加速するための役割を担っていくことが期待されています。ジュニ
ア会員の皆さんも、「富岳」の今後の活躍に注目してください!
2024年6月版
スーパーコンピュータランキング
「TOP500」発表
Copyright © 2024 The Instute of Electronics, Informaon and Communicaon Engineers
電子情報学会の通信ソサイエティマガジンNo.65 夏号(2023)には、「富岳」の開発に
携わった研究者の記事『「スーパーコンピュータ 富岳」の開発を振り返って』が掲載されて
います。開発の苦労の一部を垣間見ることができますので、是非、読んでみてください
また、日本のスーパーコンピュータで100位以内にランクインしたのは「富岳」を併せ
10システムになります。50位以内に入ったものを紹介すると、31位に東京工業大学の
「TSUBAME4.0」、39位に産業技術総合研究所の「ABCI 2.0」、40位に東京大学
報基盤センターの「Wisteria/BDEC-01」 (Odyssey)になります。TOP500にランクイ
ンしたシステムを有する上位の国を紹介すると、1位はアメリカ合衆国で171システム、2位
は中国で80システム、3位はドイツで40ステム、4位は日本で29システム、5位はフラン
スで24システムになります。スーパーコンピュータは先端技術研究のインフラの役割を担っ
ているため、これらの結果は国の科学技術力を示しているとも言えます。ジュニア会員の皆
さんは、日本の順位を見て、どんなことを感じましたか? 未来を担うジュニア会員の皆さん
には、是非、スーパーコンピュータの開発に携わることを目指したり、日本が誇るスーパーコ
ンピュータを使って新しい未来社会を築いていって頂きたいと思います。
ジュニア会員の皆さんの中には、プログラミングコンテストに参加した経験のある人もいる
と思います。LINEでも、様々な種類のプログラミングコンテストを紹介していますが、スー
パーコンピュータを使ったプログラミングコンテストもあります。1995年から始まった夏の
電脳甲子園:Supercomputing Contest (SuperCon) です。高校生(高等専門学
生の場合は高校の相当学年)を対象とし、スーパーコンピュータを使ってプログラミングを
行います。電子情報通信学会 情報・システムソサイエティも共催団体の一つです。昨年ま
では、本選大会は「富岳」を用いていましたが、今年は大阪大学のスーパーコンピュータ
「SQUID」(TOP500では152位)を使用して実施予定です。スーパーコンピュータの
スーパーな性能を引き出すような斬新なアイデアを出し、それをうまくプログラムに結びつ
けることが勝利のポイントのようです。スーパーコンピュータに触れることができる貴重な
会ですので、興味のある人は是非、参加してみてください
スーパーコンピュータのことをもっと知りたい人は、理化学研究所 計算科学研究センター
HPにある「スパコンを知ろう!にアクセスしてみてください。「スパコンって何?」という
基本的な情報から「「富岳」のスペック・構造」、「未来のスパコンはどうなる?」まで幅広い
知識を得ることができますよ
(日本女子大学理学 小川賀代