第24回 回路とシステムワークショップ奨励賞受賞者ならびに受賞理由


An分科会

講演者
魏秀欽 (千葉大学)
題目
Push-Pull Class-EM Power Amplifier
受賞理由
本研究は,EM級増幅器とよばれる新しいタイプの増幅器にプッシュプル構造を適用し、その設計方法を示したものである。プッシュプル構造を適用することにより、EM級増幅器の特徴である、高効率、低コストに加え、低歪み、高出力を達成できる。本回路には設計困難性の問題があるが、著者らは数値設計法を適用することによりその設計を可能としている。さらに、原稿中には広範囲のパラメータに対する設計曲線が示されており、多くの設計者がそれを参考にすることにより、提案回路を容易に設計できる。その意味で、新規性、有効性の高い研究であるといえる。また,発表はしっかりまとまった、ポイント押さえられたプレゼンテーションであり、質問にもしっかり答えていた。以上のことより、同氏の発表は奨励賞に値する。

As分科会

講演者
篠田博史 (日立製作所)
題目
無線給電システム用小型受電デバイスの検討
受賞理由
本発表では、無線給電システムでの受電デバイスの新たな構造の提案がなされ、提案に基づいた試作、構造の優位性の検証も行われており、実用性に向けた評価できる内容である。また、論文もよくまとめられており、発表者のプレゼン、質疑応答も優れていた。以上のことより、同氏の発表は奨励賞に値する。

Ba分科会

講演者
加藤 啓介 (群馬大学)
題目
任意波形発生器を用いた低歪み2トーン信号発生技術
受賞理由
本発表では,任意波形発生器を用いた低歪み2トーン信号発生技術について提案している.新たな信号を加えることにより,基本信号周辺の雑音信号を小さくすることができ,基本信号の周波数帯域以外では,バンドパスフィルターを使って除去する手法を用いており,新規性,有効性を示しており,かつ産業上の価値も示していり,同氏の発表は奨励賞に値する。

Bd分科会

講演者
鈴木 達也 (関西大学)
講演題目
劣化画像のみを用いた木構造表現されたスタックフィルタの山登り法による設計
受賞理由
本発表では,汎用的な非線形フィルタであるスタックフィルタを用いたノイズ除去フィルタの最適設計手法を提案している.ROLD統計量により,雑音・非雑音画素を判定し,それに基づいて山登り法により目的関数を最適化することで最適な設計を行なっている.結果も良好であり,発表も明瞭であった.また,質問に対する回答も適切であった.以上のことより、同氏の発表は奨励賞に値する。

C分科会

講演者
川島 潤也 (京都大学)
題目
エネルギー最小化と動作保証を考慮したサブスレッショルド回路の設計指針の検討
受賞理由
本発表では,サブスレッショルド回路の設計手法の確立のため,消費エネルギーと動作の安定性の観点から,設計指針の検討を行った.DCT回路を設計例としてシミュレーションを行い,FFを構成するトランジスタのサイズを適切に設計するという提案した設計指針の妥当性を明らかにした.説明が非常に丁寧であり,質疑に対して的確に回答していたため,同氏の発表は奨励賞に値する。

D分科会

講演者
長瀬 将行 (新潟大学)
題目
Rectilinear Steiner Arborescence問題の厳密解法における枝刈り規則についてIII
受賞理由
本研究では,Strongly NP-hard な問題の1つである Rectilinear Steiner Arborescence問題に対して,実用的なアルゴリズムを与えている.扱っている問題は自然であるにも関わらず,strongly NP-hardであることが示されており,非常に興味深い問題である.既存の厳密アルゴリズムに新たな枝狩り規則を導入し,計算時間,扱える問題のサイズの両方において,大幅な改善がなされている.新たに導入された枝狩り規則の正当性も論じられており信頼性が高く,計算機実験により,枝狩り規則の高い有用性が示されている.理論的にも実用的にも興味深い結果であると言える.発表は明快であり,的確な質疑対応なされていた.以上のことより、同氏の発表は奨励賞に値する。