第23回 回路とシステム軽井沢ワークショップ奨励賞受賞者ならびに受賞理由


An分科会

講演者
海老澤 謙一(拓殖大)
題目
一方向結合と相互結合の両者を含む神力型カオス発生回路の結合系
受賞理由
実験に基づく発表で,興味深い現象を実物理系で確認している点が高く評価できる.論文集に採録された論文はよくまとめられており,プレゼンテーション内容や発表態度も申し分ないものであった.

Ba分科会

講演者
プラウィット トンプーン(防衛大)
題目
2乗電流源と差動対で構成される新しい適応バイアス型線形MOSトランスコンダクタ
受賞理由
本発表は,入力信号電圧の2乗で変化する電流源を,MOS差動対のテール電流源と負荷電流源に対して適用することで,高線形なトランスコンダクタを実現する新しい回路を提案しており,シミュレーションにより有効性を確認している.本発表の論文は明瞭かつ,他方式との比較も実施している.また,発表者のプレゼン,質疑応答も優れていた.本発表のトランスコンダクタは,様々なアナログ回路への適用が可能であるため,実用上の価値が高い発表であると考えられる.

Bd分科会

講演者
中本 昌由(広島大)
講演題目
ロバスト電子透かしを目的とした反復埋込法の提案
受賞理由
電子透かし法のロバスト性を向上させるための新規性および有効性の高い方式が提案されている.従来までは透かし検出に適切な閾値処理が必要であったが,本手法では擬似乱数を反復的に埋め込むことによって,相関の正負だけで透かし検出がロバストに行うことができることを示した.発表も明瞭であり,質問に対する回答も適切であった.

C分科会

講演者
奈良 竜太(早大(現: 東芝))
題目
RSA暗号に対するスキャンベース攻撃
受賞理由
本発表ではスキャンチェーンを利用することで,回路内部に格納されている秘密鍵を解読する攻撃手法を提案した.この攻撃手法をもとにして,セキュリティ耐性の評価や新規防御手法の開発ができるため,将来性が見込まれる.発表も明瞭であり,質疑応答も的確に応えていた.

D分科会

講演者
山根 祥悟(埼玉大)
題目
逆探索に基づくp6タイリングの生成
受賞理由
Polyiamondは単位正三角形を辺同士が接続するように組み合わせてできる図形である.山根氏は,2つの回転中心により,60度回転と120度回転を繰り返すことで平面を隙間もなく,重なりもなく,平面に敷き詰められる p6 タイリング可能な polyiamond の生成法についての発表を行った.従来法では試行錯誤により図形を生成するが,本稿で提案するアルゴリズムは逆探索を利用し,ルールに従い図形の生成を行う.従来法に対し,提案手法では 21個の単位正三角形による 27,436種類と有意に多種の図形を生成することに成功し,このことは高く評価される.またプレゼンテーションも丁寧に作図された図を使用し,非常に分かりやすいものであった.