13:30〜13:40 開会挨拶
13:40〜14:40 講演1(講演45分間、討論15分間)
【講演題目】「天体望遠鏡「せいめい」を支える制御技術」
【講 師】軸屋 一郎 氏
(金沢大学 理工研究域フロンティア工学系 准教授)
【講演概要】
本講演では天体望遠鏡「せいめい」の概要と分割主鏡制御技術を紹介する。
「せいめい」は京都大学が岡山県に開発した東アジア最大級の天体望遠鏡であり、γ線バーストなどの突発天体の即応観測、太陽系外惑星やスーパーフレア星の長期間モニタ観測などを目的とする。技術的には、遺伝的アルゴリズムを用いた軽量架台の開発、超精密研削による鏡加工、分割主鏡の相対位置制御などの新技術が盛り込まれている。なかでも、分割主鏡は望遠鏡の巨大化に伴う開発の困難を回避するための一つの方策であり、「せいめい」では内周6枚と外周12枚の鏡から構成され、花弁型の分割方式は光学望遠鏡では世界初の試みとなる。相対位置制御は、72個のエッジセンサを用いて鏡間の相対位置をリアルタイム計測して、57個のアクチュエータを用いて鏡を背面からリアルタイム補正することにより、分割主鏡全体の理想鏡面形状からのずれを100ナノメートル以下に保持することを目的とする。
14:50〜15:50 講演2(講演45分間、討論15分間)
【講演題目】「天文学における補償光学システム」
【講 師】渡邉 誠
(岡山理科大学 理学部応用物理学科 准教授)
【講演概要】
地上からの天体観測では,地球大気の屈折率ゆらぎによって,天体からの光の波面が乱され天体像の空間分解能が大きく劣化する(像がぼやける)という問題があります。近年、この問題を克服する技術である、光波面の乱れをリアルタイムで測定して位相補正する波面位相補償光学(Adaptive Optics; AO)技術が実用化され、望遠鏡の本来の理論分解能(回折限界)に近い高い分解能を得ることが可能となってきました。補償光学システムは、口径8-10 mクラスの大望遠鏡においてはすでに標準装備となっており、宇宙初期の銀河形成・進化の研究や太陽系外惑星探査などにおいて多くの科学的成果を上げています。せいめい望遠鏡においても系外惑星探査を目的とした補償光学システムが開発中です。現在、天文用補償光学システムは、古典的構成の汎用システムから、科学目的に応じて性能(補正視野や補正精度)を特化した様々な構成のシステムへの多様化が進みつつあります。本講演では、天文学における補償光学システムについて、その動作原理とキー要素、制御技術を解説し,最近の進展と将来について紹介します。
15:50〜16:00 閉会挨拶
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