本講演では,鳥取大学,九州工業大学と北海道大学の3大学で,2002年から始めた「高速無線LANプロジェクト」の立ち上げから,その研究開発内容などについて紹介する.本プロジェクトは,開発目標が何度か改訂されいるが,現在も継続しており,結果として15年以上続いている.2002年当時の無線LANは,1999年に世界標準と
して広まっていた IEEE802.11bが主流であった.その通信速度は,11Mbpsであり,無線LANの場合,実質的な速度は,50%程度であるため,802.11bは5Mbps程度が実用上のスループットであった.同じころに,02.11aの標準化も行われ,その場合の最高スループットは,54Mbpsであった.これらの実用スループットでは,画像を送るのがやっとで,映像は難しく.すでにいろいろな応用で導入されていた高精細映像(FHD)を実時間で無線通信することは不可能と考えられていた.その時に,鳥取大学の伊藤教授,九州工業大学の尾知教授,北海道大学の宮永の3者が,半導体理工学センタ(STARC)に共同提案した無線システムは,最高スループットが,600Mbpsであり,11倍以上の速度を有している.2006年にはそれが完成し,その一部が世界標準として採用された.最近では,最高12Gbpsを送る無線システムの構築を進めており,最先端の研究開発が3大学で継続されている. |