研究賞2024年被表彰者
委員による厳正な審査の結果,2024年の優秀研究賞・学生研究賞はそれぞれ以下のように決定しました(2025年2月6日決定,2025年2月28日公表).なお,規程に基づき,優秀研究賞は共著者を含む全員,学生研究賞は筆頭著者である学生が表彰の対象となります.
優秀研究賞 (Best Paper Award)
受賞者
加藤祥太・永山航太郎・加納 学(京大)
タイトル
- 2024年3月 NLC研究会 における発表
概要
科学技術論文を理解し活用するには,変数定義の抽出が重要である.情報学分野を中心に変数定義抽出に関する研究が行われているが,既存の変数定義抽出手法は分野が変わると期待通りの性能が得られないことがある.本研究では,化学プロセス関連文書から高精度に変数定義を抽出するために,入力文中の定義抽出対象の変数を特殊トークンで示す手法を提案する.提案手法をDeBERTaV3_largeに適用したところ,既存手法を4.8ポイント上回り,正解率86.9%を達成した.一方,提案手法をBERTモデルに適用したときの性能は既存手法と同程度であり,BERTモデルにおいて変数情報の活用が難しいことが示された.
選奨理由
科学技術論文に出現する変数定義の抽出をするタスクにおいて,従来のように抽出対象の変数を特殊トークンに置換するのではなく,定義抽出対象を特殊トークンで示す方法が提案されています.科学ドメインに特化した7つのモデルに提案手法を適用して,DeBERTaV3に適用した場合の大幅な性能向上を確認したこと,および,他のモデルには難点があることを議論しています.この分野の研究に大きな貢献があり,優秀研究賞にふさわしいと判断しました.
学生研究賞 (Best Student Paper Award)
受賞者
自見仁太朗(九工大)
タイトル
- 2024年3月 NLC研究会 における発表
- 著者:自見仁太朗・嶋田和孝(九工大)
概要
比喩の一種である直喩は「ような」などの定型語 (喩詞) によって比喩の対象を明示する表現である.しかし,喩詞として用いられる「ような」という語は,例示や婉曲の意味でも使用されるため,使い方によって文意が大きく異なる.このような文を判別することは文章理解に於いて重要である.一般に,比喩判別を二値分類問題として 機械学習で解くことが考えられる.しかし,機械学習モデルを学習させるには大量のラベル付きデータ(直喩 or 非直喩)が必要となる.このようなデータセットを新たに構築するには大きなコストがかかる.そこで,本研究では少量のラべル付きデータに加えて,疑似ラベリングデータ,他言語データを用いて学習を行い,これらのデータセット及びその組み合わせの有効性を確認した.
選奨理由
日本語の「ような」が比喩表現として用いられているかを判別するタスクにおいて,日本語以外の学習データを活用する効果を検証しています.学習データの作成に翻訳を活用し,日本語以外のデータの活用が有効であることが明らかにされています.マルチリンガル学習の有力なベースラインとなるDNNモデルを採用し,自動ラベリングによるデータ増強と手動ラベリングの多岐に渡る組み合わせが実験され,課題を丁寧に議論しているため,学生研究賞にふさわしいと判断しました.