解説論文 
SNSと著作権

小特集
我々の生活を変えるAI/SNSの使い方

SNSと著作権

Social Media and Copyright

天野由貴 Yuki Amano† 

隅谷孝洋 Takahiro Sumiya†† 

Summery 本稿では,著作権についてのSNS炎上分析や,大学生の著作権意識調査の結果について述べる.また,生成AIの登場により著作権についての関心が一般の層にも高まっており,その議論についても多く行われていることについて,文化庁のパブリックコメントの結果やX(旧Twitter)の投稿の分析を行った.

Key Words 著作権,SNS,炎上,テキストマイニング

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はじめに

昨今では誰しもがSNSを利用するのが当たり前のようになっている.総務省の「令和5年通信利用動向調査」でも10〜60歳代で利用率は8割を超えている(1).コミュニケーションや情報収集のツールとして大変便利なSNSだが,SNSではしばしば「炎上」と言われる現象が起こる.炎上とは「Web上の特定の対象に対して批判が殺到し,収まりがつかなさそうな状態」「特定の話題に関する議論の盛上がり方が尋常ではなく,多くのブログや掲示板などでバッシングが行われる」状態である(2).

吉野は炎上の類型を「祭り型」と「制裁型」に分けた(3).祭り型は「誰かをたたいてスカッとしたかったから」「盛り上がっていたから」「元々,相手が嫌いだったから」等の理由で参加しており,制裁型は「相手が間違ったことをしたから」「他人の批判に共感したから」「相手に忠告したかったから」等の理由によるとしている.制裁型には「炎上するのは常識がないからだ」という炎上した者を非難する態度と,「炎上には,社会正義としての意味がある」という炎上を肯定する態度が有意に高いことを示した.また,「うさ晴らし」傾向があることも示唆されている.

X(旧Twitter)では2023年8月から有料ユーザは投稿の閲覧回数(インプレッション)に応じて収益を得ることができるようになった(4).収益を得るためには「過去3か月間の投稿に対するインプレッションが累計で1,500万件以上であること」が条件になっており,投稿の閲覧回数を増やすために,炎上している投稿にわざとコメントをするなどの行為が増加している.「インプレゾンビ」と呼ばれる,それらの行為も祭り型に分類されるだろう(5).

近年,著作権関係の炎上事例が多数ある.ある特定の著作物をほかの著作物の「パクリ(類似性がある)」として批判しているものが多い.東京五輪エンブレム問題(2015年)(6),ポプテピピック×サイコガン事件(2018年)(7),編み物動画像YouTuber事件(2020年)(8)などが有名である.大阪IRの件(9)は美術家の奈良美智氏の「あおもり犬」の作品画像を無断で使用するなどの著作権侵害があり,作者本人の投稿があったことから,SNSでも批判が殺到する騒ぎとなった.

本稿では,こうした著作権に関するSNSでの炎上事例などから,SNS活用の課題について述べる.筆者の研究(10),(11)の概要を紹介するとともに,今回新たに取り組んだAIと著作権に関するSNS投稿の分析について述べる.

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著作権に関するSNSでの炎上事例

筆者らは,内閣府の「令和5年度 若年層の性暴力被害予防月間」の広報ポスターに使われたイラストについて,SNSで炎上した件を調査した(10).以下,その概要を述べる.

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帝京大学,宇都宮市

Teikyo University, Utsunomiya-shi, 320-8551

††

広島大学,東広島市

Hiroshima University, Higashihiroshima-shi, 739-8511