街plus探訪
半導体の工場誘致と研究教育で盛り上がる「熊本」
あらまし
20年以上働いていた東京を離れ,2023年4月に熊本大学に着任してから8か月が過ぎました.本記事では,半導体で盛り上がる熊本の様子や魅力を簡単に御紹介できればと思います.TSMC工場建設現場や熊本の半導体関係の教育機関に経済産業大臣,元文部科学大臣が訪問され,国が半導体に力を入れている熱を感じます.
熊本へのアクセスと
半導体工場の位置
東京から飛行機で,阿蘇くまもと空港まで2時間弱,空港からバスで,市街地まで50分ほどです.鉄道ですと,新幹線を使えば,博多から最短32分ですので,博多からとても近いです.
図1に示すように,半導体工場までは熊本空港から8 kmほどで,JR熊本駅からは20 kmほど,電車で約30分です.最短で2034年度末の開業を目指し,半導体工場から数km離れた肥後大津駅から,熊本空港まで,JR延伸が予定されています.
熊本の半導体産業と
TSMC誘致の影響
ロジックIC生産で世界シェア50 %以上(2022年)の収益を占める半導体メーカ,TSMC(てぃーえすえむしー)の工場誘致で盛り上がる熊本.TSMCが過半数出資し,ソニーセミコンダクタソリューションズとデンソーも出資する,ロジックICを製造する会社がJASM(じゃすむ,Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)です.TSMCの工場は,正確にはJASMの工場ですが,TSMCが中心的かつ不可欠なため,TSMCの工場とも呼ばれています.ロジックICは,自動車,スマホ,データセンター,通信などに不可欠ですが,日本では40 nm未満の半導体を作れませんでした(1).TSMC誘致で状況が一変します.12〜28 nmの半導体を生産するJASM第1工場(2)は,2024年末までの本格稼動を目指し,2022年4月に着工し,2023年11月末で建屋はほぼ完成しています(図2).更にTSMCは熊本に,5 nm半導体を生産する第2工場を検討中で,加えて,3 nmの半導体生産を視野に入れた第3工場についての報道もありました(3).JASM稼動に伴い,半導体の生産体制が強化されることが期待できそうです.
また,JASMに隣接して,ソニーセミコンダクタマ

図1 熊本市街,熊本空港,半導体工場等の位置関係
(地理院地図Globeを加工して作成)

図2 建設中のJASMの第1工場(2023年4月撮影)