解説論文 
Beyond 5G時代のインフラを支える高効率・高柔軟光ネットワーキング技術

小特集
社会の礎とけん引役としてのネットワーク

Beyond 5G時代のインフラを支える高効率・高柔軟光ネットワーキング技術

Highly Efficient and Flexible Optical Networking Technologies That Support Infrastructure in Beyond 5G Era

中川雅弘 Masahiro Nakagawa† 

関 剛志 Takeshi Seki† 

宮村 崇 Takashi Miyamura† 

桑原 健 Takeshi Kuwahara† 

Summery 2020年前後から世界各国で5Gサービスが開始され,我々はより快適なモバイル通信環境を享受できるようになった.今日では,Beyond 5Gに向けた研究開発が既に動き出しており,ホログラムやテレイグジスタンス,ハプティクスといった最先端技術を活用したサービス・アプリケーションの登場が期待されている.これらの革新的なサービスは我々の暮らしをより豊かにする一方で,ネットワーク負荷の急激な増大を招く可能性がある.したがって,大量のデータを効率良く遠隔地に届ける役割を担う光ネットワークには,更なる大容量化はもちろんのこと,高効率化・高柔軟化という観点でも進化が求められることとなる.本稿では,Beyond 5G時代に実現が期待されているサービス例や光ネットワークの進化の方向性とともに,光ネットワークの高効率化・高柔軟化に向けた筆者らの取組みを紹介する.具体的には,既存の光ファイバケーブルを最大限活用して効率良くネットワーク容量を拡大できるマルチバンド光ネットワーキング技術と,災害時においても残存資源を最大限活用して柔軟に通信環境を復旧できるアダプティブリストレーション技術について述べる.

Key Words Beyond 5G,光ネットワーク,高効率・高柔軟,マルチバンド,アダプティブ

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はじめに

インターネットを介した情報のやり取りが当たり前となった現代において,通信ネットワークは我々が社会生活を営む上で欠かせないものとなっている.昨今では,従来の音声通話,Webブラウジング,メールといったアプリケーションに加え,スマートフォンを介したSNS(Social Networking Service)やWeb会議,電子決済等が広く普及し,モバイル通信の利便性が高まっていると言える.そのような中,我が国においては2020年に5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが本格スタートし(1),より快適なモバイル通信環境を享受できるようになった.5Gは,従来と比べ高速・大容量なだけでなく,低遅延,多数同時接続という特長を持ち,あらゆるものがネットワークに接続される時代における通信基盤となることが期待されている一方で,5Gの次の世代「Beyond 5G」に向けた研究開発が既に世界各地で進められている.我が国では,2020年6月に「Beyond 5G推進戦略」を総務省が公表しており(2),2030年代の社会像(図1)や目指すべきBeyond 5Gの絵姿がまとめられている.

2030年代に向けて,実世界を情報化し,サイバー空間(コンピュータによる仮想空間)でその情報を解析した上で,実世界にフィードバックすることが可能な世界観が構想されている.実世界のリアルタイムな状況把握や,実世界において次に取るべき行動の最適化が可能な社会の実現が期待されているわけである.こうした超スマート社会では,あらゆる情報がネットワーク上を常時流通することとなるため,高度な無線通信インフラとしてのBeyond 5G実現だけではなく,光ネットワークの更なる進化が求められる.例えば,文献(2)によると,現在と比べて100倍以上の高速・大容量化が必要と目されている.また,決して無尽蔵ではない光ネットワーク資源を,状況に応じて効率良く柔軟に使いこなすことも極めて重要となる.

本稿では,まずBeyond 5G時代の社会像実現に向けたサービス検討例とネットワークへの要件について述べ,革新的なサービス提供の根幹を成す光ネットワークの進化の方向性を紹介する.続いて,今後重要性がより一層高まることが予測される「光ネットワークの高効率化・高柔軟化」実現に向けた筆者らの取組みを紹介する.………

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NTTネットワークサービスシステム研究所,武蔵野市

NTT Network Service Systems Laboratories,Musashino-shi,180-8585 Japan