街plus探訪
商業と鉄道の街「大宮」

商業と鉄道の街「大宮」

電気通信大学 山本 嶺 Ryo Yamamoto

はじめに

大宮は,埼玉県南東部に位置するさいたま市の中で商業,交通の要所として古くから栄えてきた地区(1)です.2001 年に浦和市と与野市とともに合併し,さいたま市となるまでは,大宮市として存在していました.私も大宮周辺に幼少期から30 年ほど住んでいましたので,今回は大宮駅で途中下車をしてその周辺を簡単に紹介させて頂きたいと思います.

大宮の成り立ち

埼玉県外にお住まいの方にとって,大宮は余りなじみの深い場所ではないかもしれませんが,古くは中山道の宿場町として近隣とともに発展してきました.また,大宮駅からほど近いところにある武蔵一宮氷川神社(図1)の鳥居前町としても発展し,一の鳥居から三の鳥居までを結ぶ氷川参道(図2)は,かつては中山道の一部であり,現在も多くの人が行き交う場所となっています.

しかし,近代化とともに街道の交通基盤としての役割が低下するに従って,宿場町の重要度も低下していくこととなります.また,県庁の浦和への移設や大宮に鉄道駅が設置されていなかったこともあり,元々,田畑が多く存在する地域であった大宮には衰退の兆しが現れることとなります.町の衰退を危惧した白井助七らは,大宮への鉄道駅誘致を進め,青森へ向かう現在の東北本線建設の際の分岐駅として大宮駅が開設されることとなります.

大宮駅開設後は,その近隣に多数の製糸工場が建設されるとともに,駅に隣接して大規模な鉄道工場である大宮工場や大宮操車場などが設置され,その後も複数の路線開業も続いたことによって,大宮駅は交通の要衝となり,これが大宮発展の契機となりました.

その後,製糸業が衰退するにつれ,大宮は多数の路線が乗り入れていたこともあり,宅地化が進むこととなります.これにより,大宮は大宮駅東口を中心に発展をしていくこととなりますが,昭和57年の東北・上越新幹線開業とともに西口も急速に商業化が進み,現在ではそれぞれ独自の商業地域が形成されています(図3).………

図1 武蔵一宮氷川神社

図1 武蔵一宮氷川神社

図2 氷川参道

図2 氷川参道

図3 大宮駅東口(左)と西口(右)の商業地

図3 大宮駅東口(左)と西口(右)の商業地