解 説
オンライン授業は学校現場でどのように使われるべきか
――私立小学校における過去20年以上の実践例に基づいて――

小特集
教育分野におけるICT 利活用の実例と展望

解 説

オンライン授業は学校現場でどのように使われるべきか――私立小学校に おける過去20年以上の実践例に基づいて――

相場博明 Hiroaki Aiba 慶應義塾幼稚舎

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はじめに

近年のコロナ禍においては,世界中でオンライン授業が注目された.対面授業ができないので代わりにオンライン授業を実施したという.

ところで,オンライン授業は対面授業の代わりになるものなのか.また,オンライン授業と対面授業は相反する授業なのか.オンライン授業と遠隔授業は同じものなのか.これらの混乱はオンライン授業自体が明確に定義されていないことが原因である.筆者は,オンライン授業の類型化を行い,その定義を行った(1).筆者の考えるオンライン授業の定義は,授業でインターネットを利用しているかどうかである.インターネットを利用していない授業はオフライン授業である.よって,対面授業の中でインターネットを利用していれば,それはオンライン授業でもある.また,オンライン授業で同期している授業をオンライン同期型,すなわちリアルタイム授業,非同期のものをオンライン非同期型,すなわちオンデマンド授業とした.よって,この定義によれば遠隔授業とは,昔からある通信教育などのオフライン非同期型も含むことになり,「オンライン授業イコ-ル遠隔授業」ではないことになる(図1).

また,筆者はそれぞれの型における教育効果のアウトカムの量の可能性を考察し,最も教育効果の高い理想の授業は「対面授業の中にオンライン授業を補足的に利用した授業」とした.すなわち,対面授業とオンライン授業は相反するものでなく,融合して実施すべきものであり,あえてここでは「オンライン対面授業」と呼ぶことにする(図1 のピンクの枠内).その結論に至った背景には,筆者自身が教育現場に40 年以上携わってきたこと.そして筆者の勤務校で20 年以上オンライン授業に関わり,筆者自身も様々なオンライン授業の実践を行ってきたことによる.

本論では,ささやかながら筆者が行ってきたオンライン授業の実践例を過去三つの時期と現在に分けて幾つか紹介し,オンライン授業がこれからの学校現場でどのように使われていくべきかという考えを述べたい.………

図1 オンライン授業の定義 文献(1)を改変

図1 オンライン授業の定義 文献(1)を改変