柏市は，千葉県北西部の東葛飾地域に位置する中核市であり，東京都心からおおむね30 km 圏に位置している．

鉄道は，都心から放射状にJR 常磐線及びつくばエクスプレスがあり，南北には東武アーバンパークラインが通っている．道路は，東京と茨城方面に国道6 号や常磐自動車道，埼玉と千葉方面に国道16 号が通っている．

柏市では，土地利用の方向性として，三つの拠点を定めている．柏市の中央に位置する中心市街地の「柏駅周辺地区」と柏市の北部に位置する新しいまちの「柏の葉キャンパス駅周辺地区」の2 地区を都市拠点，柏市の南部に位置し，手賀沼周辺の「沼南支所周辺地区」をふれあい交流拠点として位置付けている．これらの各拠点と地域が交通網等によりネットワーク化され，互いに機能を補完し合い，市全体としてまちの魅力を高めることを目指している．

また，柏の葉キャンパス駅周辺地区は，柏市の北部地域をけん引する都市拠点であるとともに，スマートシティとして先進的なまちづくりに取り組むイノベーションフィールドでもある（図1，2）．

図1　柏の葉キャンパス駅の位置

柏市域は，江戸時代に徳川幕府の馬を飼育する広大な牧場の一部として，「小金牧」と呼ばれていた．馬が逃げ出さないように牧場の周囲に築かれた「野馬土手」は，現在もその一部が残されている．

現在，千葉県立柏の葉公園がある一帯は，昭和13 年に陸軍の柏飛行場が建設され，戦後の昭和30 年には米軍の柏通信所となっている．一方，その東にあたる現在の柏の葉キャンパス駅付近は，昭和36 年にオープンした三井不動産グループの柏ゴルフ倶楽部が立地していた．このようなことから，柏の葉エリアは，都市的土地利用が進んでいないエリアであった．

しかしながら，米軍の柏通信所は，昭和54 年に国有地として全面的に返還され，昭和59 年から柏通信所跡地土地区画整理事業（187.8 ha）が施行された．この結果，住宅のほか，県立柏の葉公園，東京大学，千葉大学，国立がん研究センター，国の研究所などが立地した．

また，柏ゴルフ倶楽部とその周辺地域は，昭和60 年に「常磐新線」（現つくばエクスプレス，東京・秋葉原－茨城県つくば市）の整備が国において答申され，「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に………

図2　柏の葉キャンパス駅周辺の開発状況

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