巻頭言

小特集 Special Issue

小特集発行にあたって

小特集 Special Issue

編集チームリーダ 中林寛暁Hiroaki Nakabayashi

未来を担う通信技術者・研究者のための自由研究特集(ジュニア会員特集)

まず通信とは何か―整理すると,人間が自然に身に付けている発声能力や聴覚,視覚などによって,直接的に情報を伝えることが可能な距離限界を超え,何らかの道具や媒体を使用して意志,情報,感情などの交換を行う活動を指します.このような通信は,現在では電気を用いる方法が主流となっていることは御存じかと思います.通信技術の歴史を振り返ると,1800 年代以前ではのろし,飛脚,望遠鏡,郵便,伝書鳩などを用いた方法が生み出され,1800 年代では電気の性質の解明に伴い,電信機,電話機,無線通信などが生み出されました.1900 年代になると更に工夫が施され,ファクシミリ,ラジオ,テレビ,ディジタル通信,衛星通信,インターネット,電子メール,自動車・携帯電話,無線LAN など様々な技術が生み出されました.これからも新たな通信技術が生み出され続けるでしょう.また通信インフラに目を向けると,通信インフラは現在では人間生活や産業経済活動に必要不可欠な基盤となっています.例えば,災害発生時などに緊急通報や安否確認などの通信や,警察・防災などの通信を確保することは,安全な社会生活の維持に不可欠です.

またこのような通信インフラによって,いつでもどこでも最新のニュースをすぐに知ることや,世界中の人と電子メールなどで連絡をとることを日常的に可能としています.このような通信の重要性や利便性はこの先も高められ続けるでしょう.

さて電子情報通信学会では,2020 年6 月から小・中・高・高専・大学生などを対象としたジュニア会員制度が導入されました.本通信ソサイエティマガジンの発行の目的として,若手研究者や学生へ通信に関連する最先端の話題を分かりやすく説明すること,基礎的な技術を平易に解説することが挙げられます.このような発行の目的から,本マガジンの記事はジュニア会員に向けた情報発信源として重要な役割を果たすと考えられます.そのため,ジュニア会員や将来の通信技術者・研究者の方々が,通信分野に対し改めて興味を持ってもらえるような記事を集めて小特集として提供することになりました.

既に通信分野に興味を持って頂いている若者やまだ持っていない若者にとって,本小特集が興味の育成に寄与できれば幸いです.最後に,本小特集の発行にあたり,執筆頂いた皆様,査読,編集作業に御協力頂いた皆様に感謝申し上げます.

Special Issue

小特集編集チーム
中林寛暁,磯﨑裕臣,北尾光司郎,村上靖宜,蕨野貴之