講演抄録/キーワード |
講演名 |
2018-11-22 13:45
前庭動眼反射と視運動性眼球運動ゲイン適応の非対称関係 ○山中都史美・進士裕介・池田拓未・松山将之・平田 豊(中部大) NC2018-23 |
抄録 |
(和) |
眼球運動の主目的の一つは頭部動揺時の視野の安定化にある.前庭動眼反射(VOR)は,頭部運動時に眼球をほぼ同じ速さで反転させ視野を安定化させる.暗所での -( 眼球速度/頭部速度 )で定義されるVORゲインは約0.8であるのに対し,明所では約1となる.これは,明所では視運動性眼球運動(OKR)が,VORが補償しきれない頭部運動によって生じる網膜像のブレと同方向に誘発され,視野の安定化に寄与することによる.
VORとOKRは殆どの脊椎動物が呈する反射性眼球運動である.頭部を固定した状態で視野内の広い領域に提示された視覚パターンを一定方向に動かすとOKRが誘発される.こうした視覚刺激速度を時間的に正弦波状に変化させ,数時間与え続けると,(眼球速度/視覚刺激速度)で定義されるOKRゲインは徐々に1に近づくように上昇する.これをOKRゲイン適応と呼ぶ.一方,頭部回転速度刺激を正弦波状に与えながら,これと逆相に同じ振幅の視覚刺激を与え続けると,暗所におけるVORゲインは2に近づくように徐々に上昇する.逆に,同振幅の頭部回転速度刺激と視覚刺激を同相に与え続けると,暗所VORゲインは0に近づく.これらを各々VORゲイン増加,減少適応と呼ぶ.我々は,金魚を用い,OKRゲイン適応とVORゲイン適応の関係を調べてきた.ウサギでは,OKRゲイン適応後,暗所VORゲインが上昇した(Collewijn & Grootendorst, 1979).我々はこれまで,金魚でも同様の結果が得られることを確認した.また,VORゲイン増加適応後にはOKRゲインが上昇することを確認した.一方,VORゲイン減少適応後にも,OKRゲインが上昇した(Miki, et al., 2013).本研究では,これらの実験結果からVORとOKRゲイン適応の関係性を,小脳内プルキンエ細胞の種類を陽に記述し,それぞれにシナプス可塑性に対応するゲイン要素を付加したモデルを用いて評価した.その結果,OKRゲイン増加後のVORゲイン上昇,VORゲイン増加適応ならびに減少適応後のOKRゲイン上昇を全て統一的に模擬可能であった.次に,2周波数で構成される頭部ならびに視覚刺激を用い,一方の周波数はゲイン増加,もう一方はゲイン減少するよう,金魚にVOR適応訓練をさせた.その結果,こうした2周波数相反VORゲイン適応が誘発可能であることが示された.その際,OKRゲインはどちらの周波数でも上昇した.しかしながら,今回構築したモデルでは,こうした2周波数におけるVORゲインの相反的な適応やそれに伴うOKRのゲイン上昇を再現できなかった.これらの結果は,VOR-OKRゲイン適応には,プルキンエ細胞各種の単純なゲイン調整ではなく,小脳神経回路網による周波数に依存した非線形な信号変換が必要であることを示唆している. |
(英) |
(Not available yet) |
キーワード |
(和) |
小脳 / 金魚 / シナプス可塑性 / 長期減弱 / 長期増強 / 適応制御 / / |
(英) |
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文献情報 |
信学技報, vol. 118, no. 322, NC2018-23, pp. 3-3, 2018年11月. |
資料番号 |
NC2018-23 |
発行日 |
2018-11-15 (NC) |
ISSN |
Online edition: ISSN 2432-6380 |
著作権に ついて |
技術研究報告に掲載された論文の著作権は電子情報通信学会に帰属します.(許諾番号:10GA0019/12GB0052/13GB0056/17GB0034/18GB0034) |
PDFダウンロード |
NC2018-23 |
研究会情報 |
研究会 |
MBE NC |
開催期間 |
2018-11-22 - 2018-11-22 |
開催地(和) |
京都大学 |
開催地(英) |
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テーマ(和) |
ME, 一般 |
テーマ(英) |
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講演論文情報の詳細 |
申込み研究会 |
NC |
会議コード |
2018-11-MBE-NC |
本文の言語 |
日本語 |
タイトル(和) |
前庭動眼反射と視運動性眼球運動ゲイン適応の非対称関係 |
サブタイトル(和) |
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タイトル(英) |
Asymmetrical relationship between VOR and OKR gain adaptation |
サブタイトル(英) |
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キーワード(1)(和/英) |
小脳 / |
キーワード(2)(和/英) |
金魚 / |
キーワード(3)(和/英) |
シナプス可塑性 / |
キーワード(4)(和/英) |
長期減弱 / |
キーワード(5)(和/英) |
長期増強 / |
キーワード(6)(和/英) |
適応制御 / |
キーワード(7)(和/英) |
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キーワード(8)(和/英) |
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第1著者 氏名(和/英/ヨミ) |
山中 都史美 / Toshimi Yamanaka / ヤマナカ トシミ |
第1著者 所属(和/英) |
中部大学 (略称: 中部大)
Chubu University (略称: Chubu Univ.) |
第2著者 氏名(和/英/ヨミ) |
進士 裕介 / Yusuke Shinji / シンジ ユウスケ |
第2著者 所属(和/英) |
中部大学 (略称: 中部大)
Chubu University (略称: Chubu Univ.) |
第3著者 氏名(和/英/ヨミ) |
池田 拓未 / Takumi Ikeda / イケダ タクミ |
第3著者 所属(和/英) |
中部大学 (略称: 中部大)
Chubu University (略称: Chubu Univ.) |
第4著者 氏名(和/英/ヨミ) |
松山 将之 / Masayuki Matsuyama / マツヤマ マサユキ |
第4著者 所属(和/英) |
中部大学 (略称: 中部大)
Chubu University (略称: Chubu Univ.) |
第5著者 氏名(和/英/ヨミ) |
平田 豊 / Yutaka Hirata / ヒラタ ユタカ |
第5著者 所属(和/英) |
中部大学 (略称: 中部大)
Chubu University (略称: Chubu Univ.) |
第6著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第7著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第8著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第9著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第10著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第11著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第12著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第13著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第14著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第15著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第16著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第17著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第18著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第19著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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第20著者 氏名(和/英/ヨミ) |
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講演者 |
第1著者 |
発表日時 |
2018-11-22 13:45:00 |
発表時間 |
15分 |
申込先研究会 |
NC |
資料番号 |
NC2018-23 |
巻番号(vol) |
vol.118 |
号番号(no) |
no.322 |
ページ範囲 |
p.3 |
ページ数 |
1 |
発行日 |
2018-11-15 (NC) |