面識がほとんどない私たちを歓迎し、できる限りのおもてなしをしてくれたことは、私
にとって大変驚くべきことでした。逆の立場だったとしたら、とてもではないですが当
時の私は彼のようには振る舞えなかったでしょう。少なくとも家に招くことはなかったと
思います。
その2年後の2010年、私と夫はフランスで開催される国際会議に参加し、G氏と再
会しました。彼は前回以上に大いに歓迎してくれ、自宅に泊めてくれただけでなく、自
身の車で私たちを遠方まで観光に連れて行ってくれました。彼の自宅から300km以
上離れた場所にわざわざ連れて行ってくれたことを考えると、彼がいかに我々に時間
と労力を費やしてくれたかがよくわかります。
その後もSNSを通じて連絡を取り合い続け、2015年と2016年には彼とその妻が
来日しました。私たちは娘を連れて大阪まで彼らに会いに行きました。積もる話もあっ
たけれど、私の英語力ではさほど深い話はできず、娘がまだ小さいので落ち着かない
上、ありきたりな観光地にしか案内できなかったことが残念でした。彼らが以前そうし
てくれたように、もっと色々と手を尽くしてもてなしたかったのですが、小さい子供連れ
ではできることに限界がありました。
これ以降、2020年からの新型コロナウイルスの影響もあり、しばらく会うことができ
ませんでした。
そんな今年の7月、彼から突然「今週、家族全員で日本に行くけど会える?」と連絡
がありました。実に8年ぶりの再会です。彼らは4歳と生後7ヵ月の2人の息子を連れ
てきており、我々の10歳と7歳の娘たちを合わせて8人での観光となると、そんなに大
したことはできないと思いました。旅行中の貴重な1日を私たちに割いてくれたのに、
満足にもてなせないのではないかと不安に思っていました。
しかし、それは杞憂でした。子供たちは瞬く間に意気投合したのです。娘たちはフラン
ス語どころか英語も話せませんし、彼らの長男もその日は英語を話さず、次男はまだ7
か月なので当然話しません。それでも、子供たちは笑顔で手をつなぎ、こども美術館
では協力して作品を作り、おもちゃ屋ではお互いにお気に入りのおもちゃを見せ合い
ながら爆笑していました。親である私たちは、その光景を見るだけで、この再会が一生
忘れられない思い出になることを確信しました。帰宅後、次女は「私たちは言葉がわ
からなくても心でつながった」と言い、彼らの長男は「本当の親友ができた」と、この
出会いを心から喜んでいました。