
す。株式による資金調達は、儲かったときにVCや投資家にリターンを返せばいいのです。
でも、怖い側面もあります。株式を握られるというのは、自分の会社の意思決定の力を他
人にあげるということです。起業ほやほやのビジネスパーソンが、経営の苦しさのあまりに
株式の51%を差し出してしまい、儲かる頃には自分にはお金は全然入ってこなくなってい
た、なんてのはよくある話です。いつか起業を考えている人は、今からでも株式による資金
調達のメリットデメリットを意識しておくと良いでしょう。
さて、皆様が、起業家になるなら、何を身につけたらいいかについて、わたしの拙い経験
(私も実は自分の会社を経営しています)と起業家研究からアドバイスさせて下さい。
勝負は20~30歳です。大きなターニングポイントがあります。ジュニア会員の人たちも、
結構近い将来が勝負ポイントです。いま、がんばる短期的な分野は、医学、製薬からデータ
サイエンス、AIにシフトしていきます。まさに、この電子情報通信学会の領域です。もちろ
ん、他の分野がないのではなく、この辺の分野が伸びしろが大きく、チャンスが広がってい
ます。人間として、起業への適用力を上げるには、理系の企業にはしっかりした技術を1、2
個持つ。誰にもこの分野ならば負けない知識と技術はあるととても有利です。いくつかの
テック系と呼ばれるベンチャの企業者はその領域での世界的な有名人物だったりします。
このごろは、米国のテック系ベンチャのCTO(最高技術責任者)はPhD(博士)取得者が
非常に多いです。つまり技術は必要条件とも言えますね! 次に広い知識、さらにチーム
ワークや、強い意志でビジョンを持つ必要があります。
広い知識とは、T型人間とかリベラルアーツとか、STEAMとかいう言葉です。日本史、世
界史も本当に必要な教養ですよ! つまり、今、引き出しをたくさんたくさん作るときなんで
す。この、広い知識をどう使うのかを解説します。先ほど、ベンチャキャピタルが、どのような
視点で投資しているか? というのを見てみてください。投資というつもりではなく、どのよ
うな技術が必要なのかという判断とも言えます。ニーズ、マーケット。つまり、だれに、どこ
に、どのように売りに行くのか? どのぐらいのマーケットなのか? これは、普段の理系の
知識ではありません。たとえば、電気自動車を作るとします。これからの時代だから、電気
自動車のマーケットは、CO2つまりカーボンニュートラルとして必須です。どんどん伸びると
思います。その中の重要部品のモータを作ることにします。モータには、高性能な磁石が必
要で、それを実現するのがレアメタルですというのも知っていると思います。レアメタルのい
くつかは、70%が中国産であったりします。ここで、地政学という考えが出ます。つまり、こ
れから、中国からの輸入は、政治に利用されて日本へは輸出しない! となることもありま
す。だからダメともいえるし、レアメタル代替品を作る研究ならば、今のことを説明されたら
VCは出資すると思います。あとは、この代替品は、どう優れているか? 価格はどうだ? 量
産はどうだ? と説明をしていくことになります。VCという言葉を使いましたが、重要技術で
研究の大きな対象になります。自分が研究する技術をこのように、マーケット(電気自動車
の必要性)、支える重要技術、供給元(中国)、政治的な状況やシェア、という点への見識