生成AIとの付き合い方を考える
~今回の紹介図書『生成AIで世界はこう変わる』~
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今井翔太 【著】
SB新書(発売日:2024.1.7)
256p /新書 /990円(税込)
表紙写真提供:SB Creative Corp.
皆さんは、AIとか生成AIという言葉を聞いたことがあると思います。例えば、生成AIの一つ
であるChatGPTに「生成AIとは何ですか?」という質問をすれば、文章でスラスラと答えて
くれます。すごい技術ですよね。他にも、生成AIを使えば、特別な技能がない人でも、完成度
の高いイラストを描いたりビデオを制作したりできます。最近のニュースによると、生成AIに
共通テストの問題を解かせたら、東大文1のボーダーを超える得点を取ったそうですね。
皆さんは、生成AIに対してどんな印象を持っているでしょうか? 得体の知れない怖い技術
だと思いますか? 確かに、これまでなら人間の創造性が不可欠と思われていた知的な作業の
多くが、生成AIによってあっさりと実現されてしまうことには、不安や危機感を感じるかもし
れません。一方、生成AIは、素晴らしい可能性を秘めた夢のような技術だと思う人もいるで
しょう。生成AIの力をうまく利用することで、これまでとは違った働き方や創作活動のやり方
が生まれ、社会そのものが良い方向に変容していく可能性もあります。学生の皆さんの目線で
は、これからは生成AIに質問すれば何でも教えてもらえるので、生成AIの使い方さえ覚えてい
れば、人間が頑張って勉強する必要はない、と思(って勉強する意欲が減退してしま)う人も
いるかもしれませんね。
こんなことを考えるきっかけとして、皆さんにおすすめしたいのが「生成AIで世界はこう変
わる」の一冊です。生成AIの技術的な側面だけではなく社会的な側面についても論じている本
書は、生成AIとは何か、それが私たちの生活や社会にどう影響しているのか、今後どんな未来
が予想されるのか、という全体像を掴むのに適しています。技術的な側面については、難しい
理論や数学を使わずに、ニューラルネットワーク、トランスフォーマー、拡散モデルなどの重
要な技術をわかりやすく解説しています。社会的な側面についても、最新の学術調査を踏まえ
つつ、プログラム開発、カスタマーサービス、芸術の創作活動、医療など幅広い分野を論じ、
生成AIと共に歩む人類の未来についての展望を述べています。著者が生成AIを研究する専門家
であることもあり、全体的に平易でありながら、技術的な正確さが行き届いた解説になってい
ます。基礎知識がほとんどない方にも、ある程度知っていてこれから深く学んでみようという
方にも、広く有益な内容だと思います。
ここまで読んでくださり、今さら言いにくいのですが、実はこの文章、生成AIが書いたもの
でした、と言われたら、どう感じますか? そういう観点も本書では扱われています。是非、
本書を手に取ってみてください。
(名古屋大学 高橋桂太)