IEICE ICT PIONEERS WEBINARシリーズ~第11弾~

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主催:(一社)電子情報通信学会サービス委員会

本当の感覚通信を求めて
ーリアルハプティクスの歴史と未来ー

大西 公平(慶應義塾大学 ハプティクス研究センター特任教授)

【開催日時】2021年5月18日(火)13:30~15:00

講演内容

 私たちが感覚信号を人工的に利用しようとした場合必要になる機能は信号のデータ化、伝達、記録、そして再現である。五感のうち聴覚・視覚に関する感覚伝送に関しては、先人の努力で立派な学問体系が打ちたてられているが、その他の感覚、なかんづく力触覚に関してはデータ化すら行われていない。果たして聴覚や視覚と同様な感覚伝送が可能なのであろうか。もし可能なら、どんな応用が拓けるのであろうか。このような長年の疑問が氷解したのはごく最近のことである。その最初の挑戦はすでに1940年代における米国でのパイオニア的な研究であった。21世紀になり、ロボティクスでの人工感覚の必要性が認識されるようになり、ようやく学問体系を作ろうという動きが始まってきた。もし私たちがこの技術を普遍化してeasy-to-useという段階に至ると、少子高齢化や製造業・農業などにおける非定型作業の自動化といった日本の社会や産業が抱えている諸問題を解決する一助になるであろう。力触覚における感覚伝送技術の鍵となるリアルハプティクスについてご紹介し、私たちにどのような種類の幸せをもたらせてくれるかを皆様と一緒に考える。

山中直明 副会長からの紹介文

 音声とビデオ、テキストの通信しかできないスマートフォンであっても人々の生活に大きなインパクトを与えました。大西先生は、そこに人間の5感の一つである感覚通信を取り入れようと長く取り組み、世界で初めてリアルなハプティックス(感覚通信)を完成させた方であります。これは、実際に触って実験をしてみるのが一番ですが、離れたところろの「やわらかい」だけではなく「ざらざらしている」等の感覚まで伝送します。距離の克服がまた一つ進む確信が持てます。大西先生は、理論的な研究からシステムの開発ではとどまらず、学内にリアルハプティックス研究センターをたちあげ、産学官連携のコンソーシアムを組織し、ベンチャ企業も立ち上げて、難しい制御をチップにして配布することにより世界的に普及さえようとされています。本日は、そのとんでもないご苦労や、ひらめき、ブレークスルーによる飛躍といった歴史とそれから、ハプティックスが作る未来についてご講演いただきます。

講師略歴

大西 公平

大西 公平

1980年 慶應義塾大学工学部助手、専任講師、助教授を経て
1996年 同大学理工学部システムデザイン工学科教授
2018年 同大学ハプティクス研究センター特任教授
2008年-2009年 IEEE Industrial Electronics Society President
2015年度 電気学会会長
2012年福澤賞、2016年紫綬褒章、2019年藤原賞などを受賞
著書に“Motion Control Systems”(Wiley 2011 Sabanovic教授と共著)など
IEEE Life Fellow、電気学会フェロー、工博
1990年にモーションコントロールに関する初めての国際会議を主宰して以来、人工的な動作の研究を続けてきた