■7. インターネットとグローバルオペレーション

 インターネットはグローバルな空間を作る.このグローバルな空間で,ディジタルコミュニケーションを基盤とした情報の交換と共有が自由にできる.これがインターネットの最も大きな役割で,グローバルな空間で常に動いていなければいけないところに,インターネットのオペレーションの使命がある.

 インターネットの,接続の広さ,ノードの員数と粒度,そのダイナミックな変化を考えたときに,それを中央集権的なシステムで動かすことが不可能であることは自明である.つまり自律分散協調システムとして動かなければならないインターネットが,どうやってこのグローバルな空間の基盤としての役割をしかも公共的な基盤としての役割を果たしていくのか.そのためのメカニズムとして標準化のIETF,番号の管理,運用体系としてのIANA,NANOGやJANOGなどのオペレーションのグループ,DNSのオペレーションのグループ,そしてその調整の役割をするICANNやISOC,こういった自律分散的組織を基盤にしながら,組織的にも法務的にも一つの国,あるいは中央のコントロールではなく,インターネットが動くための仕組みが作られている.中でもプロトコル体系の技術推進の中でのIPv6の確立というのは今回のIETF 54のときにほぼ実現したと思う.これに対する日本の取組みについては大変大きく評価されていて,階層的ドメイン名の先駆性,日本語化の問題,メッセージの国際化の問題など,グローバルな運用の中で大きな役割を担いそれにこたえてきた.このような基盤技術の発展に加えて,インターネット上の遠融教育に対する取組みの展開も急速に進んでいる(図2).DNSの運用においてもMサーバの運用は日本の中で責任を持っている.様々な意味でインターネットのグローバルオペレーションに対して,責任を果たしていかなければならない分野である(図3).


図2 インターネットを利用したアジア地域の遠隔教育基盤SOI-ASIA アジアの全域を6Mbit/s の衛星を用いたインターネット通信を行うAI3のネットワークは,広帯域の映像を用いた遠隔教育のマルチキャスト基盤として利用されている.

図2 インターネットを利用したアジア地域の遠隔教育基盤SOI-ASIA
アジアの全域を6Mbit/s の衛星を用いたインターネット通信を行うAI3のネットワークは,広帯域の映像を用いた遠隔教育のマルチキャスト基盤として利用されている.


図3 世界で分散運用されているルートネームサーバ ドメイン名の基盤を作るルートサーバは世界に13のコピーが独立した組織により運用されている.日本にはMルートサーバがある.

図3 世界で分散運用されているルートネームサーバ
ドメイン名の基盤を作るルートサーバは世界に13のコピーが独立した組織により運用されている.日本にはMルートサーバがある.


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