論文賞 推薦の辞 | ||||
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株式の自動取引やRFIDを利用した物流管理などの応用分野では,時々刻々と大量に発生する最新の株価データや物流データをマイクロ秒レベルで即時に処理して応答することが求められている.このように即時にデータストリームを処理することは現在の潮流であるビッグデータの応用領域において重要な位置付けにあり,かつ技術的にも難しい問題であることが知られている. 本論文は,システムとアルゴリズムにまたがる見地から,高速にデータストリームを処理する技術に取り組んでおり技術的な完成度が高い. 具体的には,本論文ではマルチコアCPUを活用してデータストリームを高速に処理するため,二つの技術的な貢献を行っている.1点目は,平均レイテンシを最小化する問題を定義し,この最小化問題を解決するため,動的計画法に基づいてストリーム処理のロジックを最適にCPUコアに割り当てる手法を考案したことにある.2点目の貢献は,時間の経過に従い変化する入力データの傾向に追従して,システムを停止することなく,ストリーム処理のロジックをCPUコアに低コストで再割当てする方法を考案したことである.この二つの貢献は,データストリームをマルチコアCPU上で処理する際に有力な技術であり,特に先進的な応用でのニーズが高い.この二つの提案技術を試験的に実装して評価を行った結果,動的計画法により処理ロジックの複雑さに応じた高スケールなデータストリーム処理を実現し,動的なロジックの再割当て方法により入力データの負荷の変動に追従して高速にデータストリームが処理できることが報告されている. 本研究の今後について,著者らは上記の提案技術をオープンソースのデータストリームエンジンであるQueueLinkerで実装を行って公開すると述べており,本技術が多くの先進的なビッグデータ応用で利用されることを期待したい. |
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