2021年度

2021年度研究奨励賞受賞者について

オンライン開催されました第6回研究会(若手企画)の若手選奨(研究奨励賞)における審査の結果,以下の3名の講演者への授賞が決定しました.

(研究奨励賞は,講演原稿の著者のうち講演者のみ(個人)が対象となります.講演者を除く,他の連名著者は対象ではありませんので,ご注意ください.)

研究奨励賞受賞者一覧

  • 程子軒(東京理科大学)
    「 力覚装置を用いた電磁気学学習支援システムの評価 」
  • 柴田拓海 (電気通信大学)
    「 深層学習と多次元項目反応理論を用いた複数観点同時自動採点手法の開発」
  • 古池謙人 (東京工芸大学)
    「 誤りの可視化を重視したTeachable Agentモデリング手法の提案 」

受賞者の講演概要

「 力覚装置を用いた電磁気学学習支援システムの評価 」
○程子軒・加納徹・赤倉貴子(東京理科大)

力覚情報を物理学の学習に取り込むことで,概念理解に繋がりやすく,認知的基盤の構築に役立つ,といった学習効果が示唆されている.しかし,力覚情報を学習に取り込んでいる研究の多くは力学分野に適用しており,場の概念の理解が困難な電磁気学分野への適用は少なく,初歩的な内容にとどまっている.そこで著者らは,力覚装置を用いた電磁気学学習支援システムの開発を行ってきた.さらに,システムを利用することで,自発的な学習を促進させるため,インストラクショナルデザインを適用し,改良した.本研究では,これまで開発したシステムの利用による学習効果の検討,および力覚情報の電磁気学学習への有用性について検証する.本実験は,力覚情報と視覚情報を使用する群と視覚情報のみを使用する群に分けて実施した.評価実験の結果,力覚情報は電磁気学学習に有用であり,本システムは電磁気学分野の効果的な学習につながることが示唆された. 

受賞者からの声

この度は,教育工学研究会より栄誉ある研究奨励賞を頂き,誠にありがとうございます.
今回の受賞を励みに,力覚装置を用いた体感学習についてさらに調査・分析を行い,研究の発展に貢献していきたいと思います.
研究を支えてくださった東京理科大学の赤倉貴子先生と加納徹先生,共に研究生活を過ごしてきた研究室のメンバー,評価実験にご協力してくださった皆様に心より感謝申し上げます.


「 深層学習と多次元項目反応理論を用いた複数観点同時自動採点手法の開発 」
○柴田拓海・宇都雅輝(電通大)

近年,深層学習を利用した小論文自動採点手法が多数提案されている.これらの手法の多くは単一の全体得点のみを予測対象としているが,主に学習場面などで小論文試験を運用する場合には,受験者へのより詳細なフィードバックを行うために評価観点別の得点を活用したい場面も少なくない.このような需要に応えるため,全体得点に加えて複数評価観点に対応する細目得点も同時に予測できるモデルが提案されている.しかし従来モデルは各評価観点に応じた複雑なニューラルネットワーク層を持つ構造であるため,得点予測の根拠について解釈性が低いという問題があった.この問題を解決するため,本研究では多次元項目反応理論を使用し,予測根拠の解釈性を高めた新しい複数観点同時自動採点モデルを提案する. 

受賞者からの声

この度は,教育工学研究会研究奨励賞を授与していただき,誠にありがとうございます.
栄誉ある賞をいただき身に余る光栄です.
今回,研究会奨励賞を受賞できたのは,日頃から丁寧なご指導をいただいている宇都先生や研究室の皆様のお陰です.心より感謝申し上げます.
今回の受賞を励みに,小論文の自動採点技術のさらなる発展に貢献できるよう,より一層精進して参りたいと思います.
今後とも,ご指導ご鞭撻のほど,よろしくお願い申し上げます.


「 誤りの可視化を重視したTeachable Agentモデリング手法の提案 」
古池謙人・樋村いづみ・東本崇仁(東京工芸大)

学習者が他の共同学習者に教えることで自身の学びを深めることの有用性は広く認められ,その共同学習者の役割を計算機が担うことで学習を支援するTeachable Agentの研究がこれまで盛んに行われてきた.しかし,このような教育支援技術の普及においては,教育効果の向上と,導入コストの低減の双方が同時に課題となる.本研究では,これらの2つの課題の解決を指向し,誤りの可視化と制約充足問題を応用したTeachable Agentのモデリング手法として,TAME(Teahcable Agent Modeling for Error-visualization)を提案する.また,TAMEを用いたケーススタディとして,算数文章題における作問学習を対象としたTeachable Agentを開発し,その評価を行う. 

受賞者からの声

この度は,名誉ある賞を頂き誠にありがとうございます.これを励みに,今後もより一層研究に励みたい所存です.
この研究は,僕にとっては大変挑戦的な研究で,共著者である東京工芸大学の東本崇仁准教授の御指導や,後輩である樋村いづみ氏の協力,多くの先行研究をなくしては成し得ませんでした.ここに感謝を示します.

(○は講演者[受賞者])

選奨規定に関わる審査対象件数および受賞件数の公表

  • 審査対象の講演件数:12件(当日の全講演件数:14件)
  • 受賞講演件数:3件(25%)

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