報告
第13回 回路とシステム (軽井沢)ワークショップ 奨励賞授賞者発表
(実行委員長 山村 清隆 (中央大))
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第13回 回路とシステム(軽井沢)ワークショップ
(主催:システムと信号処理サブソサイエティおよび
非線形問題研究専門委員会)実行委員会では,このた
び奨励賞授賞者を選出致しましたので発表・報告させ
て頂きます.皆様方もご存じのように,本ワークショ
ップは若手研究者の研究発表などを通じた産学の交流
の場であり,若手研究者の研究への意欲,動機付けを
さらに高める場でもあります.その主旨を遂行するた
めの一つの方策として,論文発表を行った若手研究者
の中から特に優れた方々を奨励賞として選出しており
ます.本年も実行委員会におきまして厳正に選考を行
い,5名の方々を選出致しました.以下に,研究概要
(推薦文)と共に紹介させて頂きます.
坪根 正 (法政大):「従属スイッチトインダ
クタを含む4次元重区分線形回路について」
複雑な非線形現象を解析し,さらにその現象を有効
利用した工学的応用を考える上で非線形自律系発振器
の研究は非常に重要である.本論文では新しい4次元
重区分線形回路を提案し,その系の基本現象を区分線
形な2次元リターンマップを厳密に導出し解析を行っ
ている.このような高次元自律系に対して本論文のよ
うな理論的な解析を行っている研究結果はまだあまり
報告されておらず,将来有望な解析結果が期待できる
点で非常に評価できる.講演も非常に分かりやすく,
質疑応答も申し分なかった.以上の理由により,本講
演は奨励賞に十分値するものと考えられる.
飯島 隆 (三洋電機):「0.5Vddポンプアップ
方式による高効率チャージポンプ回路」
CCD駆動回路等に必要なプラス,マイナスの高電圧
大電流を発生させるチャージポンプ回路の効率におけ
る問題点を分かりやすく解析し,効率低下の原因とな
っている電源電圧Vddステップの昇圧ステップ電圧を
$1/2$Vdd, $1/4$Vddとする新しいチャージポンプ回路を提
案した.さらに,電源電圧の変動に対して,常に最適
の昇圧電圧を得るように自動的にポンプ段数を切替え
ることにより,電力効率の向上を図る新技術を提案し
ており,今後のチャージポンプ回路の方向性を示唆す
るものとして意義が大きい.発表も理解しやすく,質
疑応答も的確であった.以上より,本発表は奨励賞に
値するものと考えられる.
阿部 正英 (東北大学):「分割形進化論的デ
ィジタルフィルタの収束特性」
本論文では,進化論的ディジタルフィルタの収束特
性の改善を目的として,並列処理を前提としたアルゴ
リズムを係数更新に適用することを検討している.シ
ミュレーション結果は,個体群を分割しても収束特性
がほとんど劣化しないことを示しており,進化論的デ
ィジタルフィルタが並列処理の導入により現実的とな
り収束特性の向上に有効であることを示唆している.
また,講演も研究内容と問題点をできるだけ的確に伝
える工夫が随所に感じられ,今後の発展も十分に期待
される. 以上の理由により,本発表は奨励賞に十分値
するものと考えられる.
橋本 昌宜 (京都大学):「静的統計遅延解析
に基づいたゲート寸法最適化による回路性能最適化手
法」
回路の遅延時間の不確かさを生む要因として,製造
ばらつき,電源電圧や温度の変動,配線容量の見積も
り誤差,物理設計段階での配線容量の不確かさ,信号
波形の多様性などがある.本論文では,遅延時間の統
計的分布に基づくランダムな変動成分を考慮した静的
統計遅延解析に基づく遅延・電力最適化手法を提案し
ている.提案手法では,回路最適化のために各ゲート
に対してクリティカリティとインフルエンスという新
しい指標を導入し,その指標を用いた非常に明解なア
ルゴリズム提案し,その結果,遅延変動を考慮せずに
最適化した回路の遅延や消費電力を更に削減すること
が可能となった.今後の回路最適化の方法性を示唆す
る論文としても非常に意義があると思われる.以上の
理由により,本発表は奨励賞に十分値するものと考え
られる.
長井さやか (群馬大学):「A Linear-Time
Algorithm to Find Independent Spanning Tree in
Maximal Planer Graphs」
独立全域木を求める線形時間アルゴリズムを極大平
面グラフの場合に限って提案している.提案アルゴリ
ズムは,既存の手法と講演者らが考案した新しい手法
を上手く融合させることで未解決問題を解いている.
その結果,平面グラフに関して知られていた従来の時
間計算量が改善される等,理論的貢献度は非常に大き
いものである.発表も対象としている問題,極大平面
グラフにおける独立Spanning木の発見について的確か
つ明解であった.以上の理由により,本発表は奨励賞
に十分値するものと考えられる.