報告

国際会議「QCM&C-Y2K」報告

(山崎浩一 (玉川大))

第5回量子通信国際会議 (International Conference on Quantum Communication, Measurement & Computing: QCM & C-Y2K) が2000年7月3日〜8日の日程でイタリア南西 部のカプリ島に於て開催された.カプリ島は``青の洞くつ''で有名なイタリア有数の リゾート地であり,西暦2000年ということもあってか,青空のもと初夏のカプリ島は 大勢の観光客でにぎわっていた. 量子通信国際会議は,量子情報理論,量子コンピュータ,量子通信理論, 量子暗号,量子雑音,量子確率過程,量子測定をメイントピックスとして 1990年に第1回目がパリで開催されて以来,今回で5回目となる. 今回の参加者は約210名,日本からも19名が参加した. 会議構成はオーラルセッション60件とポスターセッション92件であ った.参加者が一堂で議論することを最重要視してシングルセッションの形態を取っ たため,今回はすべての口頭発表が招待講演となった. 会議は朝8:30から夜11:00というハードスケジュールであったが,その間に昼食(+ シエスタ)に4時間が充てられていたところにイタリアの生活習慣を感じた.会議の ホテルはカプリ島のなかでも一等地にあり,さらに,既に述べたようなハードスケジ ュールにもかかわらず常に参加者でほぼ満杯状態の会場で白熱した議論が繰り広げら れたのはプログラムコミティの努力のおかげである. 量子通信国際会議は物理,数学,技術者が一堂に集まるところにその特色があるが, 今回は,数学系に比べ物理の色合いが強く感じられた.講演題目の詳細は会議のホー ムページのプログラムを参照していただきたいが,総じて量子通信路の超加法性,量 子コンピュータ,量子暗号に関する研究の報告が多数あった.この分野の一つの特徴 として,理論の進展とそれを実証する実験技術の進歩がほぼ同じ速さで進んでいるこ とが挙げられるが,今回も実験に関する報告も多かった.個人的に特に強い印象を受 けたのはStratchclyde大学のBarnett 教授による``Experimental Progress on quantum state discrimination''である.この発表では確率作用素測度で表現される 量子受信機の実験系による実現が報告された.机上の学問的な印象の強い量子通信分 野における実験技術の大きな進歩である. さて,量子通信国際会議では第3回目よりこの分野の発展に優れた業績を残した個人 またはグループに対して,その功績を賛えて量子通信国際賞(International Quantum Communication Awards)を授与している(賞金50万円/個人(グループ),設立:玉川 大学).その授与式が会議3日目の夕食会場で行われた.今回はPaul Benioff 博士 (Argonne National Lab.)と David Wineland博士,Chris Monroe博士 (NIST Boulder) のグループが受賞した.受賞理由は,Paul Benioff博士が量子計算の可能性を示す基 礎理論の構築に貢献したことであり,David Wineland博士とChris Monroe博士のグル ープは量子情報処理と量子エンタングルメントをイオントラップ技術を用いて実証し たことである. 会議のプロシーディングはKLUWER ACADEMIC/PLENUM PUBLISHERSから出版される予定 である.また,本会議のホームページに講演プログラムやスナップ写真(集合写真, コーヒーブレーク,夕食の風景)が掲載されている. 2回目以降,隔年で開催されている量子通信国際会議であるが次回については2002年 開催の予定で計画が進められている. QCM&C-Y2K Home Page : http://camcat.unicam.it/qcm&c/index.html