平成12年度基礎・境界ソサイエティ会長挨拶

中村 僖良 (東北大学)


 石井前会長の後を引き継いで,平成12年度の 電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ会長を仰せつかることになりました. 会長就任に当たり一言ご挨拶申し上げます.
 2000年を迎え,また新しい世紀を迎えようとしている この大きな節目の時に会長を務めることは 光栄であると同時に大変責任が重いわけですが, 本ソサイエティの発展のため微力ながら全力を尽くす所存ですので, 会員の皆様のご支援をお願い申し上げます.
 本ソサイエティは,まさにその名のとおり 電子情報通信技術の基礎領域ならびに他の学問分野との 境界の領域をカバーするソサイエティであり, 個性とバラエティに富んだ多くの専門分野から成っております. 創造性に富んだ新しい学問は, 異なる文化のぶつかり合いがおこる 境界領域や基礎領域から生まれ出るのが常であり, このことは過去の歴史がよく物語っているところであります. 新しい世紀を迎えるにあたって, 将来の新しい学問・技術の萌芽となるような研究が望まれており, その意味で本ソサイエティの役割は大変重要であると言えます. 私の専門である超音波の研究分野では, 半世紀も前に芽生えた技術が, 最近になって花開いたという例がいくつかあります. このことは,すぐには使えそうもないような技術でも, 将来使えるようになる可能性があるということを示唆しております. 数年先といった近未来をにらんでの研究だけではなく, 50年,100年先をにらんだ研究が望まれるところであります.
 ソサイエティ制度が発足したのが平成7年ですので, 基礎・境界ソサイエティが創設されて本年でちょうど5年たったことになります. 歴代の会長ならびに運営委員のご努力でソサイエティ制が ようやく定着してきた観がありますが, また同時に様々な課題も出てきております. その一つは,電子情報通信学会の会員数が 5,6年前から漸減傾向にあることであります. 経済不況などの影響もあるのでしょうが,それだけとも思えません. 近い将来少子化による影響も出てくることが予想されます. いずれにしても,21世紀の電子・情報・通信の分野を背負って立つ 多くの若い方々に会員になっていただけるよう, 魅力ある学会・ソサイエティにしていく必要があります.
 総合大会やソサイエティ大会への参加者の減少傾向も気になるところです. このような大会は,学問発展の最前線であると同時に 若い会員の登竜門でもあり, 会員であることを実感できる最も重要な催しであります. 研究発表を聴いてくれる聴衆が少ないと, 学会に対する魅力も乏しくなってしまいますので, 大会の活性化は大きな課題であると考えております. 現在,ソサイエティ大会活性化の方策として, ポスターセッションの導入やソサイエティ独自の賞の創設などが検討されており, 一部は秋のソサイエティ大会で実施される予定です. また,新しくフェロー制度がスタートし, ソサイエティ大会において第1回のフェロー贈呈式が 開催されるはこびとなりました. 新フェローの方々にソサイエティ大会にご参加頂くことで 大会が大いに盛り上がるのではないかと期待しております. もちろんソサイエティ運営に関しても 大所高所から貴重なアドバイスをいただきたいと思っております.
 この他,新しい分野の開拓,ホームページやニュースレターの 更なる充実も重要な課題です. また,ソサイエティの独立採算制への移行が 平成14年度実施に向けて検討されており, そのための準備を開始する必要があります. 本年度は財政シミュレーションを行うことを予定しておりますが, 同時にソサイエティ運営を強化しソサイエティ全体の 活性化を図る必要もあります. こういった様々な課題に果敢に取り組んでいきたいと考えております.
 最後に,ソサイエティ運営につきまして ボランティアでご尽力いただいております 各種委員の方々に心から御礼申し上げますとともに, 会員の皆様には,基礎・境界ソサイエティの発展の為に ますますのご支援を賜りますようお願いして, 会長就任の挨拶といたします.