国際会議報告

「1999 IEEE/IEEJ/JSAI International Conference on Intelligent Transportation Systems」 (ITSC '99) 報告

影沢 政隆 (東大)

会 期:1999年10月5日〜8日 (ただし 8日はテクニカルツアーのみ)
会 場:早稲田大学国際会議場
参加者数: 383 名
参加国数: 日本, ドイツ, 米国, 韓国, シンガポールなど17ヶ国

米国電気学会(IEEE)等が主催, 電子情報通信学会 ITS 研究グループ等が協賛 した ITSC '99 が上記日程で開催されました. ITS に関する国際会議としては, ITSC の他に, ITS 国際会議(ITS World Congress)や IV(Intelligent Vehicle Symposium)などが有名ですが, ITSC の特長としては ITS 国際会議に比べ技術色が強く, また, IV に比べると電子情報通信系の 色彩が濃いということなどがあげられます.

参加者は開催国日本が多数を占めましたが, 韓国, 香港, シンガポール等アジア 諸国の発表や参加も目立ち, アジア地域での ITS に関する国際会議の 重要性が認識されました.

基調講演は, 初日が日本から東京工科大の高羽禎雄教授, 2日目が米国から ITS America 会長のコリンズ(John Collins)氏, 3日目がヨーロッパから INRIA のパレント(Michel Parent)氏によるものでした. 高羽先生は, 主に現在までの ITS の歩みを総括され, それを受けて コリンズ氏は主に米国における ITSの現状について述べられ, 最後に パレント氏が, 将来の夢という楽しい話につないでいきました.

テクニカルセッションは, 講演とポスターセッションとからなり, 講演は 3トラック並行して行われました.

1トラックは, 8セッションから構成され (初日2セッション, 2日目と3日目が3セッション), 合計 24(3×8)の セッションが開かれました. 1セッションでは5件の論文発表が, 1日1回のポスターセッションでは 30件弱(3日間合計80程度)の論文発表が予定されていましたが, ヨーロッパからの発表の一部が東海村の臨界事故により キャンセルされるという残念な出来事もありました.

3つのトラックのうち1トラックのセッションはすべてオーガナイズド・ セッションとして, オーガナイザーが自由に形式を決定する形態でした. その結果, 最初の3つのセッションはテクニカル セッション, 残りの5つは パネル ディスカッションとバラエティに飛んだ形式になりました.

3つのオーガナイズド・テクニカル セッションは, 次のようなものでした. 最初は, Perception for Vehicles and Roads と題して米国カーネギーメロン大学のソープ(Chuck Thorpe)教授が 主に視覚を用いた ITS への応用技術に関する発表を主宰され, 続いて, 機技研の津川定之先生が Vehicle Control という車両制御技術に関する セッションをオーガナイズされました. 2日目に入り, 3つめのテクニカル・ オーガナイズドセッションは東大の桑原雅夫先生が, Road Infrastructure と 題し, 主にわが国の AHS (Advanced Cruise-Assist Highway System; 走行支援システム) に関する発表からなるセッションを用意されました.

オーガナイズド・セッションの残り5つはパネル ディスカッションでしたが, その内容は標準化, 社会, 交通管制, 法律, 知能自動車とのマージなど, 非常に多岐に渡り, ともすれば技術的な問題ばかりに終始してしまう 学会の会議に色を添えていました.

一般の技術発表では, センシング, トラッキング等の情報収集系に関する 発表が多く見られ, ソープ教授のオーガナイズド・セッションも含めて 19 のテクニカル セッションのうち実に7つが情報収集に関するセッションで した. 中でも画像を使った車両認識や追跡の研究が, 地上側, 車両側とも 数多く発表されました. 逆に通信に関連するセッションは2つしかなく, しかも純粋に通信だけの セッションは1つだけしかありませんでした. わが国では種々の通信システムが 提案されていますので, 今後 ITS における通信分野での国際発表をより 積極的に考えていく必要もあると思われます. その他の技術論文としては, 制御や自動運転に関するもの, 交通管制システムや動的経路誘導に関するものなどがありました. 発表論文の技術水準は概して高く, 近年の ITS に関する研究熱の 高さが示されていたとの印象を得ました.

また, 合計3回のポスターセッションでも, 同様の発表傾向がありましたが, 特筆すべきことは, 数多くの技術論文に混じって, 各都道府県警察における ITS への取り組みが発表されていた ことでした. それぞれの地域における個性的な活動が一同に会した様は 大変ユニークかつ貴重で, しかもポスターセッションにふさわしい内容でした.

最終日には2つのコースからなるテクニカルツアーが開かれ, 1つは 警視庁の交通管制センタ, 東京湾アクアラインでの ETC (自動料金収受システム) 及びみなとみらい地区での電気自動車の見学, もう1つは富士山麓で行われて いる大学と民間との自動運転に関する共同研究のデモなどの見学が行われました.

なお, ITSC は今後毎年開催され, 次回2000年は IV と一緒に 10月1日〜2日に米国デトロイト近郊のディアボーンで開催される予定になっています.