国際会議報告
SampTA'99 報告和田 成夫 (東京電機大) |
第3回サンプリング理論と応用に関する国際ワークショップ
(International Workshop on Sampling Theory and Applications:略称SampTA)が1999年8月11日よりNorwayのLoenで開催されました. 会場となった
Alexsandra Hotelは1996 IEEE DSP Workshopも開かれた場所で,
フィヨルド地帯の一角に位置した豊かな緑と澄んだ水に囲まれた景観の中で,
サンプリング理論とその応用に関する実りある議論が展開されました. 4日
間に亙った会議は, 最新のトピックスに関する招待講演を含めて,
全てがオーラルセッションで行われ, 欧州と米国の大学関係者を中心とした
参加者間で示唆に富む活発な意見交換がなされました.
SampTAの名称は 耳慣れない方も多いかと思いますが,
このワークショップは, ``サンプリング''をキーワードに唱え
最近誕生したばかりで, 第1回は95年にLatviaのJurmalaで,
第2回は97年にPortugalのAvairoで開催されています.
一般にサンプリングの概念は広範囲に亙り, また,
数学と工学を横断する古典的なフーリエ解析から近年の
ウェーブレットとも密接であることから,
今回も極めて多方面の基礎と専門分野からの参加者がありました.
70件あまりの発表は,それ程多くはないものの, 日頃ジャーナルを異にする
人々が集う場になりました. セッションのテーマも,
Shannonのサンプリング定理の一般化と応用, データ
圧縮と復元, 分析合成システム, スプライン補間, 予測, 近似,
スペクトル推定, 調和解析, 数値解析, 級数展開と収束性,
誤差解析, フレーム, 関数空間と不等間隔サンプリングなどに
拡がり, 工学系と応用数学系の研究が混在するものとなりました.
このようなプログラム構成は, 他の国際会議と比べても特徴的であ
り, 発表を通して工学と数学の交流, いわば, 学際研究の場が実現
されました. 理論がどのように利用され実用化に結びつくのか,
数学や理論という理想(実現目標としての夢)と
エンジニアリングの現実とのちがいは何かなどについて,
具体的事例に基づいた指摘や発見が多々ありました. 同時に,
双方からの未解決問題や先端的技術課題が提示され,
それらについても多角的視点から討論がなされました.
最終日前夜の晩餐会では, ユーモアあふれるJerri
教授(サンプリング定理についてのレビューペーパー
で著名)とBenedetto教授の演説がきかれ, 始終和や
かな雰囲気でした. 総じて, 小規模小人数であるが故,
研究者間のより自由な意見交換が頻繁になされ得たと
感じました. 次回は2001年にFloridaで開催されるこ
とがZayed教授よりアナウンスされました. なお,
SampTA'99の概要は http://www.math.ntnu.no/conferences/sampta/sampta.htmlで
参照可能であることを付記します.