平成11年度基礎・境界ソサイエティ会長挨拶

石井 六哉 (横浜国立大学)


 平成11年度電子情報通信学会の基礎境界ソサイエティの会長に就任するにあたり一言ご挨拶を申し上げます.
 基礎境界ソサイエティは, 電子情報通信学会の他のソサイエティとは異なり, 回路, 信号処理, 情報理論, 音響などの非常に多岐な分野に所属している人から構成されています. 各専門分野や所属している組織を越えた人的な交流や研究面での交流が持てる所が本ソサエティの特徴かと思われます. 専門分野は多岐に渡っておりますので, 新しい分野の創出というのも積極的に行う事が本ソサエティの役割かと思われます.
 私自身を省みますれば, 学会との最初の関わりが研究成果を全国大会や研究会での発表でした. 研究成果の発表を通して, 同じ専門分野の人と知り合い, 研究面での討論を行うようになり, 大会や研究会の運営面での関わり合いを持つように成って行きました. 全国大会や研究会の運営面での関わり合いを通して, 更に多くの分野の人と知り合いになり, 学会誌や論文誌を構成する面での活動へと移っていきました. また,電気電子系の世界最大の学会であるIEEEへの関わりが出来たのも, 同じ様な経緯をたどっております. つまり皆さんが学会活動が必要であると思うのであれば, 本ソサエティが企画している各種のイベントに参加して, 大いに友人を作ってください. そして本学会のボランティア活動をして下さい.
 本ソサエティに属している研究会やサブソサエティの活動は, 国内でも活発でありますが, 中心となって国際的な会議を開催する事にも活躍しております. 多くの国際会議をアレンジしており, 学問的にも専門分野をリードしております. また論文誌でも和文論文誌と英文論文誌があり, 日本に留学した外国人の和文誌への投稿や日本に留学したことの無い外国人の英文論文誌への投稿も増えてきております. 採録された外国人の論文の投稿料の補助等も積極的に行っていることも投稿論文の増えた一因かもしれません. IEEEも発展途上国の論文投稿には掲載料を考慮した方策を採っております. 経済的格差があるので仕方がないと思われます.
 このように本ソサイエティの活動は国内に止まらず, 国際的にも発展して国際化しております. 米国を中心とした国際学会としてIEEEがあり, ヨーロッパの制御関係を中心とした国際学会としてIFACがあります. これらの学会に対抗するわけではありませんが, 本学会はアジア地区を中心とした国際学会に着実に成長していっております. 本ソサエティは, 本学会の中でこれらの推進役となり, 重要な役割を担っております. IEEEでもIFACでもボランティア活動が中心です. 本ソサエティも学会事務局の支援を受けて, ボランティア活動が中心となって運営されていくことが必要でしょう. 着実にこの方向に向かっております. また皆さんのボランティア活動の支えが皆さんが考えている様な学会へと育てて行く力となります. 学会がソサエティ制になり, ソサエティ単位で独自の活動もし易い制度になりました. 変革することも容易になりました. ソサエティが発足してからすでに4年が過ぎて, ソサエティの活動にも慣れ, ソサエティとしての独自の活動を積極的に模索していく時代になりました. われわれ役員一同も会員皆様の活動がやり易いように, 努力していくことを意気込んでおりますが, 会員の皆様もいつまでも学会にただ乗りするのでは無くて, 是非いろいろな面で, 積極的に御協力をお願い致します. 学問的な面で学会との関係を持つことは必要ですが, 学会活動に参加し, 学会のボランティア活動もしてこそが, 学会活動です. 参加しなければ, 何も得られません. 積極的な会員皆様の参加を御待ちしております.