システムと信号処理サブソ サイエティ会長(ソサイエティ副会長)挨拶

山田 尚志 (東芝)

 今回システムと信号処理からのソサイエテイ副会長をお引き受けすることになりました.
 最近の技術の流れとしてLSI技術の進展により, 信号処理の流れが, 従来アナログのフィルターと回路でやっていたものや, 固定ロジック回路での処理から, DSPを使ったもの, 更には通常のマイクロプロセッサーによる信号処理へと処理方法が変化しております. 一方でこのような信号処理の原理はアナログの信号処理が基本であり, 物理的なイメージが必要であると共に, 効率の良い処理には, デジタル独特のアルゴリズムが適用されるようになっています. ソフトウエアでの信号処理は世の中全体の流れですが, 物理的なイメージが無い開発はありえず, 基礎的なアルゴリズムの地道な開発が常に必要です.
 このような話と, OSに代表される純粋のソフトウエア技術は, 本質的に異なり, 違った資質が要求される事は意外に意識されていないように思われます. 実際に国際的な競争力のあるシステムの開発には, 物理的なイメージと, 数式的なアプローチ, ソフトウエアの知識, これに加えて, 実際にこれをシステムとして実現する時にどの技術を使えば良いかなどの, 実現方法に関する知識などが要求されます.
 私事に亘りますが, 私は回路が専門ですが, 最近はDVDの開発と世界規格化に関連した仕事をしており, これに絡んでコピイプロテクションの問題に携わっています. このため, 米国技術者と直接交渉の機会が多く, 国際化を肌で感じるようになりました.
 最近は米国の景気が良く, 日本の景気が悪いため, 彼らの態度もかなり自信に満ちてきて, いろいろな要求をストレートに出してくるようになりました. 率直な意見交換は, もっとも米国の良いところであると同時に, 議論の過程で彼らの弱点もかなりはっきりわかるようになりました. 最大の弱点は, 技術者の知識の幅が意外に日本より狭いところにありますが, 一方で少数ではあるが, 非常に優れたシステムエンジニアがおり, これらの人が全体を引っ張っています. しかし, 基本的には, 分業化が進んでいます. もっともこれは彼らだけでなく日本人技術者においても共通の欠点のように思われます.
 本ソサイエテイは, このようなシステムの基礎と境界領域を担当していますが, システムの基礎を掘り下げると共に, 全体を見渡す事の出来る, 視野を広げるような活動により, 将来への貢献が出来るのではないかと考えています.