事業担当ソサエティ副会長挨拶

小澤 時典 (半導体理工学研究センター)

 ボランティア活動をベースにしたソサエティ活動は, 昨年までの役員諸先生のご苦労により軌道に乗ってきたわけですが, 今年は社会的貢献について考えてみたいと思います. 学会活動で社会に貢献する方法は色々ありますが, 産学のギャップを埋める活動もそのひとつと考えて事業担当の仕事に取り 組みたいと考えます.
 学の活動は教育と研究で, これはなかなか不可分の関係にあると思います. したがって, 産学協力はこの両面を考えながら進める必要があるようです.
 最近の科学技術の進歩は, LSI技術と切り離しては考えられない状況にありますが, 日本の大学でLSIの設計教育にどれほどの力を入れているか仕事柄興味があり, 今年の春に先生方にアンケートをお願いしました. アンケートに応じて頂けた先生は, LSI関連に関心の高い先進的な研究者であった ように思いますが, 講義内容の改革はなかなか難しいとの印象を受けました. 米国の大学のEE(Electrical Engineering)とかCS(Computer Science) では, データが不確かですが80%以上がHDL記述の講義と演習を行っていると聞きましたが, 今回のアンケートでは30%を下回っていました. もし, アンケートを一般的に対象を広くとればこの比率は更に低下すると予想されます. さらに演習の内容まで詳しく見ると日米格差があると言われています. 一方, 半導体産業界の調査によれば入社してくる新入社員の1/3は, 半導体・LSIと無関係であるということです. 産業界が今もっとも必要としているLSI設計に関する研究を行っていたものは 10%以下という状況です.
 これは産学ギャップのほんの一例に過ぎませんが, 産学協力は日本の将来を左右する重要な課題であるとの認識から, 両者の情報交換の企画を実行したいと考えます.