パネル討論報告

「回路シミュレータをよりユーザフレンドリにするにはどうすればよいか」

小久保 優 (日立)

 3月27日に開催された平成10年度総合大会パネル討論を報告する. この パネル討論は「回路シミュレータをよりユーザフレンドリにするにはどうすればよいか 」というテーマで, 座長が堀田回路とシステム研究会副委員長(日立), パネリストとして, 回路設計者の立場から谷本氏(東芝), 高木氏(東工大), 赤澤氏(NTTエレクトロニクス), シミュレータ開発の立場から横溝氏(日立), 藤澤氏(富士通研究所), モデル開発の立場から谷沢氏(三菱), 三浦氏(広大), および, 会場の多数の参加者により行われた. 前半はパネリストによる シミュレータについての問題点と意見が説明された.
 まず, 回路教育を行う立場から高木氏が回路シミュレータの限界の明確化と 目的を達成するための使い方の提案が重要と切り出した. また, 回路設計者の谷本氏は, モデルパラメータの品質と解析の信頼性, 回路設計の流れに対応し階層的に利用できることが重要と述べ, 同じく回路設計者の赤澤氏は, シミュレータは設計のための補助的実験手段なので 使いこなしの簡便性が必要と述べた. 次に, シミュレータ開発者の藤澤氏は, 設計者が求めている結果が 簡単に早く得られることが重要とコメントし, 横溝氏はアナログHDLの標準化が今後進み, ユーザでの再利用が促進されると述べた. さらに, 谷沢氏はLSI開発においてツールの標準化が図られると述べた. また, モデル開発者の三浦氏は正確性, 高速性, パラメータが少なく理解し易いという 点がモデルへの要求であり, それに対応できる核となるモデル開発が重要であると 述べた.
 引き続き会場の参加者を含めた討論に移り, ナビ機能の効果, アナログHDLの状況と 標準化の進み具合, LSI配線の解析結果への影響, 統合ツールの重要性などの質問に対する討論が行われた. さらに, 日本でのシミュレータ開発の停滞についての指摘があり, 企業内ユーザだけでは投下資金回収が困難であり推進役となれないが, 大学も含めたシミュレータ開発者と 回路設計者である利用者との連携開発が活性化に重要という議論となった.
 最後に, 堀田座長がシミュレータ開発者は利用者がほしい物 を提供する必要があるが, 同時に回路設計者にとって 回路シミュレータもフレンド(友人)ならば, 相手(シミュレータ)を良く知ってから利用するのが設計者にとって重要であると述べ, パネル討論を締めくくった.