研究集会報告
第11回 回路とシステム(軽井沢)
実行委員長 辻 孝吉 (愛知県立大)
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昨年4月に開催されました「第11回 回路とシステム(軽井沢)ワークショップ」
の奨励賞受賞者5名が下記の通り決定し, 第12回回路とシステム(軽井沢)ワーク
ショップ懇親会の席上で表彰されましたことを報告させて頂きます。
□ 西尾 芳文(徳島大)
「Four-Phase Synchronization of Chaos in Coupled Chaotic Circuits」
4個のカオス発生回路を結合した系にみられる4相同期カオスの不規則なパターンスイッチング現象を, 数値実験・電子回路による実験にて明らかにした.
また, 本系の2次元格子ネットワークにみられる複雑なパターンスイッチング現象
も調べている. 本論文で紹介された現象はこれまで実物理回路で報告された例はな
く, 今後の新しい研究テーマとなりうる. このように本論文の内容は創造的・先駆的で
あると言える. また, 発表構成も連続力学系の結合系における同期現象についての興味
深い事例を交え, 研究の立場を明確に示した優れたものであり, 質疑応答も申し分ない
. 以上より, 本講演は奨励賞に値するものと考え, ここに推薦する.
□ James Okello(鳥取大学)
「Minimization of Multipliers in an IIR Adaptive Filter Based on Estimation
of Allpass System」
AllpassとFIRフィルタを縦続接続した適応IIRフィルタのAllpass部にラティス構成を導入することによって, 乗算器の数を最小化した構成を提案してい
る. また本構成におけるラティス部の直交性も証明している. 従来の構成の持つ収束
性などの特長を, 提案する構成が損なわないこともシミュレーションにより示されて
おり, その有効性が明確に示されている. 提案された構成は理論・応用の両面から
有効であり, 適応信号処理の発展に大きく貢献するものと期待される. また, 発表も
理解しやすく質疑応答に関しても的確に答えていた. 以上から奨励賞にふさわしい研
究・発表であるといえる.
□ 内田 賢治(テラテック)
「ランダム・サンプリングの波形抜け防止法」
ランダム・サンプリングにおける未知の波形抜けメカニズムを新たに解明し, これを合理的に回避する対処法(コンスタント・ホールド・オフ法)を考案
した. この方法が, ディザを使う従来の方法と比べて低雑音であり, かつ波形獲得
時間を2/3に短縮できることをシミュレーションで示した. 境界分野の新しい問題
を取り扱っており学術的に興味深く, 今後の実システムへの適用も期待される. 発表
における論理の展開, 質疑応答ともに申し分ない. 以上の理由により, 本講演は奨励
賞に値するものと考え, ここに推薦する.
□ 田中 正和 (松下電器)
「正確な容量/面積推定モデルに基づくトランジスタサイズ最適化手法」
LSIセルライブラリ開発におけるトランジスタサイズ最適化のため, 配線密度も考慮してトランジスタの拡散領域共有と折り返しを行う正確な面積/遅延見
積りモデル, ならびにこの高精度なモデルを用いたトランジスタサイズ最適化手法を
提案している. 実験結果は良好であり, 提案モデルと最適化手法の有効性を示してい
る. また, 発表はわかりやすく質疑応答も的確であり, 奨励賞にふさわしい研究・発
表である.
□ 宮本 俊幸(大阪大学)
「アンフォールディングを用いたペトリネットの可達性のためのアルゴリズム」
アンフォールディングを用いた一般ペトリネットに対する可達性判定のアルゴリズムを提案している. 計算機実験による他の手法との比較により, 提案す
るアルゴリズムの有効性が明確に示されている. アルゴリズムは理論面・応用面のい
ずれからみても有効であり, 今後の展開が期待できる. ペトリネット理論の発展に対
する貢献が大きく, また, 発表もわかりやすくうまくまとまっており, 奨励賞にふさ
わしい研究発表である.