ソサイエティ大会報告

パネル討論
「情報教育の新しい展開の可能性」報告

伊藤 洋 (山梨大)

大きな時代の変曲点としての情報化時代を向かえ, 未来に向かって情報教育は どのように位置づけられるべきであるか, について熱心な発表と討論が展開さ れた. もとより, 一日にして結論の出せる問題ではなく, 引き続き議論を継続 していくことが大切だという合意を持って終了した. 大変有意義なセッション であった. 以下その概略を報告する.

日時: 平成10年9月29日(火) 13:30〜17:30
会場: 山梨大学教育人間科学部N113番教室
座長及びコーディネータ: 伊藤 洋 (山梨大学)
パネリスト:
 1. 笠原正雄 (京都工芸繊維大学)
  「情報教育の新たなる展開の可能性」
 2. 内藤治雄 (ATLシステムズ)
  「情報化の進展と社会的ニーズ」
 4. 成田雅博 (山梨大学)
  「小学校教育における情報教育の新動向」
 5. 降矢俊彦 (上野原町立巌中学校)
  「中学校のおける情報教育」
 6. 手塚芳一 (山梨県立甲府工業高等学校)
  「高校教育における情報教育実践例」
 7. 米崎直樹 (東京工業大学)
  「大学における情報教育とリテラシー教育」

はじめに20分の時間で, 上記パネラーの皆さんから, それぞれの主題にしたがっ て意見の陳述・報告を行って頂いた. それを議論のたたき台として, 休憩の後 にパネル討論に入った. パネラーは, 笠原正雄・内藤治雄・成田雅博・米崎直 樹の4氏, コーディネータは伊藤洋がつとめた. 会場からも随時参加をして頂 きながら活発な討論が行われた. 以下はその概略である. 詳細は, 予稿集を是 非参照されたい.

笠原正雄

いきなり, EC が出てくるようなただ追いつけ追い越せ式の情報教育では問題 がある. 自己のプライバシーを守ることができ, 他者の尊厳を侵犯しないモラ ルの確立など, 急がなければならない主題が山積している. 教科書や指導要領 などの改訂を早急に行うべきだ.

内藤治雄

情報化という社会状況が, ある意味では明確にもなっているのであるから, 学 校教育全般を見直すべきである. 特に, 現実的な問題にソリューションが提出 できる問題解決能力の涵養こそを企業は求めているのだ.

成田雅博

初等中等教育では, 総合的な学習の時間の中で教育現場の自由度が増加してい る. ここでネットワーク上に用意されている膨大な情報資源をどのように活用 していくか, 教師の力量が問われている. そういう中で, 学習資料の新しい開 発が焦眉の急である.

米崎直樹

大学におけるリテラシー教育も模索の段階は過ぎて一定のビジョンを確立すべ き時期に来ている. バーチャルながら可視的になってきた世界の中で, 法と倫 理, コンピュータサイエンスをリテラシー教育の中核にしていくことがよいの ではないか.

コーディネータ

近代工業化社会の中で必要とされた人間類型から情報化の進展の中で要求され るそれは異なる. そういう中で如何なるエトスで生きていくのがよいのかを大 人や社会は提示してみせなくてはならない. それが何であるか, とことん議論 を継続していく必要がある.

以前から見ると, このテーマでの議論がかみ合ってきたという印象は間違いな い. 今後もこのテーマを精力的に継続していくことを確認して熱心な討論を終 了した.