パネル討論:PA-2
「福祉工学とヒューマンコミュニケーション」
9月4日 13:00〜16:00 56号館 101教室
鎌田 一雄 (宇都宮大)
我が国は世界に類をみないような急速に高齢化社会へと移行しつつある。これ まで、障害を持つ人達が社会生活の中で不利益を受けないような生活環境実現 のために、福祉用具、および社会システムの整備に多くの人達が努力を続けて きた。しかしながら、高齢者、障害者を含めたすべての国民が生活の中で必要 とする福祉用具等の適切な開発・供給などを含めた総合的な社会サービスシス テムの実現には、依然として多くの課題があるとの指摘もある。豊かな福祉社 会の実現のためには、福祉機器開発・供給などの技術的な支援と、「ノーマラ イゼーション」の理念として表現されているように一人一人の考え方・行動も 含めた社会システムによる人的な支援、の2つの協調的支援が必須である。こ れを別の視点から見れば、一人一人の意識から社会システムの整備までの個人 ・集団の動きと、これらの行動を支援する技術の役割の正しい認識が、豊かな 社会の構築には必要であるとも言うことができる。
本パネル討論は、福祉工学と呼ばれる新しい学術研究分野がヒューマンコミュ ニケーション分野と密接な関連があるとの認識に立ち、福祉工学の理解を深め ることを目的としている。機器とその使用者との整合を図るユーザインタフェー スの適切な設計はあらゆる機器設計・開発における基本的な要請である。福祉 機器と呼ばれる機器においては、使用者の多様性等からその重要度はさらに大 きく、細やかな設計が要求される。機器が持つこのような特性が、従来の工学 というイメージにおける技術開発・機器開発・商品化・産業化とは、発想など においても大きく異なるとの認識が重要である。また、これらの過程を効率良 く処理するための新しい設計論・技術論の確立も必要である。
パネル討論では、まず、大学、行政、企業における福祉機器/技術開発への取 り組みを、今後の動向等も含め、それぞれの立場からパネリストに紹介いただ く。次に、障害者のコミュニケーション環境の改善を目指した技術開発の具体 例として、肢体不自由者、視覚障害者、および聴覚障害者(ろう者)を対象と したシステム開発例をパネリストに紹介いただく。パネリストの講演・討論を 通して、福祉工学研究分野の認識を深めるとともに、これまでのヒューマンコ ミュニケーション等の主として人を対象とする多くの学術研究分野との関わり についての理解も広めたい。