IEICE conference 1997年総合大会ソサイエティ特別企画
シンポジウム「大規模集積システム設計教育研究
センター(VDEC)の状況と今後」の報告
鳳 紘一郎 (東大)

掲題のセンター(VDEC)は、国公私立大学、高専等におけるVLSI設計教育の 高度化と充実を目的として、平成8年5月に全国共同利用センターとして 東大に設置され、平成8年度末には試行的なテストランを終えたところで あった。標記シンポジウムはこの時期を捉えて、VDECの活動状況の周知を はかり、また今後の進め方につきオープンに討論いただく場として 企画されたものであった。シンポジウムは下記の次第で開催され、50名を 超える参加者を得て、 内容のしぼられた集中的な講演と討論が繰りひろげられた。以下に概要を 報告させていただく。

日 時: 平成9年3月25日(火) 9:00〜12:20
会 場: 関西大学 千里山キャンパス第4学舎2号408教室
座 長: 鳳 紘一郎、浅田邦博(東京大学)

講演者:

  1. 浅田 邦博(東京大学)
    「インフラとしてのVDECの機能」
  2. 安浦 寛人(九州大学)
    大学によるライブラリ整備活動」
  3. 末吉 敏則(九州工業大学)
    「カリキュラム教材整備活動」
  4. 小野寺 秀俊(京都大学)
    「先行プロジェクト(設計事例:フルカスタム/セルベース)」
  5. 天野 英晴(慶応大学)
    「先行プロジェクト(設計事例:セミカスタム/LPGA)」
  6. 家田 信明(NTTエレクトロニクステクノロジ)
    「ファウンドリ側からの経過報告と助言(1)」
  7. 山下雅樹(日本モトローラ)
    「ファウンドリからの経過報告と助言(2)」
  8. 上田 潤(半導体産業研)
    「今後のVDECと産業界との関連」
最初に浅田氏からVDECのこれまでの準備状況と平成8年度のテストランの 成果および平成9年度の活動計画の説明があった。次いで安浦氏が 平成8年度からVDECに協力して行っているライブラリ整備活動につき、 氏の従前からの教育、研究における知見をも交えて説明された。次に 末吉氏が九州工大で従来から熱心に行なわれているVLSI設計教育の カリキュラムと教材(Web上のものも含む)の整備活動を紹介され、 VDECの活動とも結びつける方途を示唆された。小野寺氏と天野氏はVDECに 先行してそれぞれの大学で個別に行ってきた設計・試作のプロジェクトを 紹介され、一大学で行う苦労とVDECに結集することのメリットを語られた。 家田氏と山下氏は企業側でファウンドリとして試作を引き受けられての 経過を報告され、経験に基づいた具体的かつ有益ないくつかの提言をされた。 上田氏は産業界側で近年発足した研究支援プログラムにおいてもVLSI設計力の 強化が重要な課題と見なされていると紹介され、VDECとの協力関係を強化する 途についてコメントされた。

いずれの講演に対しても具体的で熱心な質問が寄せられ、講演者同士も 議論に加わって、活発で有意義な時間をもつことができた。VDECは 準備の段階から何度か本学会の大会でオープンに討論する場を作って いただき、それが大方のご理解を得るのに役立って現在のまずは順調な スタートの一助となったと信じるが、一方さまざまな立場からの100%の ご理解を得るにはまだ努力が足りないと感じる点もわずかながらあり、 今後もこうした公開での質疑討論を自己点検・評価の契機にしたいと 思った次第である。