【報告】

「機構デバイス研究専門委員会の活動報告」

機構デバイス研究専門委員会 委員長          

長谷川 誠(千歳科学技術大学)

hasegawa2013

 機構デバイス(EMDElectro- Mechanical Devices)研究専門委員会は、1962 年に設立された機構部品(EMCElectro-Mechanical Components)研究専門委員会を前身とする歴史を有しています。もともとは、一対の電極の物理的接触の有無で通電制御を行う電気接点に関わる接触・放電現象、ならびにそのような電気接点を有するメカニカルリレーやスイッチ、電気コネクタが中心的な研究分野であり、当時の電話交換機で多用されていた部品類の長寿命化や高信頼性化が重要な検討課題でした。その後、交換機の電子化、伝送路の光ファイバ化、さまざまな分野でのエレクトロニクス化などの動きに応じて、EMD 研専の活動範囲に求められる要求も拡大・多様化してきました。現在では、前述の接触・放電現象やその関連デバイス類に加えて、光コネクタをはじめとする光部品・オプトエレクトロニクス、小形モー夕やアクチュエータなどの電気機械変換系、センサや各種センシング技術、実装技術やマイクロマシニングなど、幅広い分野を対象とするに至っています。

 2012 年度は計10 回の第1 種研究会を開催し(4 月及び9 月は休会)、計121 件の発表がありました。図1 には、その121 件の発表を、大まかに分野別に分類した結果を示します。接触現象の検討・解析に関する内容に加えて、リレー・スイッチ・ブレーカや電気コネクタなどのデバイス類、直流機やブラシ・摺動機構など、EMD 研究会における伝統的な分野の発表がある一方で、光部品やアクチュエータ・センサ・センシング技術など新しい分野での発表も多いことが分かります。光関連分野の発表は、毎年8 月開催の光分野での共催研究会にて主に発表されています。

2013zu11 2012 年度のEMD 研究会における発表内容の内訳

 図2 には、発表機関別の内訳を示します。約2/3 が大学などからの発表であり、大学院生・学部生からの発表も多くあります。特に毎年3 月は卒論・修論特集として開催しており、若い学生の皆さんに学会発表を経験してもらう貴重な場としています。

2013zu22 2012 年度のEMD 研究会における発表機関の内訳

 さらに、図2 の発表機関内訳には海外から発表が9 件とありますが、これは国際セッションIS-EMD で発表されたものです。国際セッションIS-EMD は、技報原稿を英語で作成し、発表・質疑応答も英語で行うもので、第1 種研究会の枠組みの中でミニ国際会議的な雰囲気で開催しています。2001 年度から開始して2012 年度は12 回目の開催となりました。毎年、中国などのアジア諸国、及び欧米からの発表・参加者がある一方で、学部生・大学院生や企業の若手研究者が初めて英語での学会発表を行う場としても活用されています。本年の国際セッションIS-EMD2013は、2 回目の海外開催として11 月に中国・武漢の華中科技大学にて開催します。60 件を越える発表が予定されており、盛会にすべく現地担当者と共に準備を進めています。

 このように、長い歴史の一方でさらなる発展を続ける機構デバイス研究会へのご参加を、是非お待ちしております。

 

著者略歴:

1986 年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業、1991 年同大学大学院理工学研究科電気工学専攻博士課程修了。工学博士。2001年千歳科学技術大学光科学部光応用システム学科専任講師に着任。現在、同大学総合光科学部グローバルシステムデザイン学科教授。機構デバイス研専幹事補佐・幹事・副委員長、英文論文誌C編集委員を歴任。平成17 年度エレクトロニクスソサイエティ活動功労者表彰。