「機構デバイスに関する研究・開発活動のさらなる持続的発展を目指して」

機構デバイス研究専門委員会 委員長          

長谷川 誠(千歳科学技術大学)

顔写真   今年度より機構デバイス研究専門委員会(EMD:Electro- Mechanical Devices)の委員長を務めることになりました 長谷川と申します。EMD 研究会には、今から20 数年前の 学部生・大学院生の頃から参加し、諸先生方のご指導、ご 助言を頂いて参りましたが、今度は研専委員長という大役 を仰せつかることになり、身が引き締まる思いでおります。

 現在のEMD 研究会は、リレー・スイッチ・コネクタな ど電気接点を有する接触部品やそこに生じる接触・放電現 象、光コネクタをはじめとする光部品・オプトエレクトロ ニクス、小形モー夕やアクチュエータなどの電気機械変換 系、センサや各種センシング技術、実装技術やマイクロマ シニングなど、幅広い分野を対象としています。EMD 研 究会の前身の機構部品研究会(EMC:Electro-Mechanical Components)は1962 年に設立されましたが、当時は電話 交換機などに大量の接触部品が使用されており、その長寿 命化や高信頼性化が重要な研究課題でした。そうした歴史 的背景もあって、一対の電極の物理的接触の有無で通電制 御を行う電気接点に関わる接触・放電現象が、長く中心的 な研究分野となってきました。その後、交換機の電子化、 伝送路の光ファイバ化、さまざまな分野でのエレクトロニ クス化などの動きが進むにつれて、EMD 研究会の活動範 囲に求められる要求も多様化し、対象となる研究分野も次 第に拡大して現在に至っています。

 現在のEMD 研究会の年間活動計画は、おおむね以下の 通りです(4 月、9 月は休会)。

5 月 一般研究会(東北・北海道地区で開催)
6 月 エレソ 材料デバイスサマーミーティング
7 月 放電・EMC 特集
8 月 光部品・電子デバイス・実装技術特集
10 月 トライボロジー特集
11 月 国際セッションIS-EMD
12 月 一般研究会
1 月 一般研究会
2 月 信頼性特集(東海・関西地区で開催)
3 月 卒論・修論特集

 これらの活動の中では信学会内の他研究会との共催に 積極的に取り組んでおり、毎年6 月はCPM/OME、7 月 はEMCJ、8 月はLQE/OPE/CPM/R、2 月はR の各研 究会との共催となっています。

 研究会活動における大きな特色として、年1 回の国際セ ッションIS-EMD の開催(主に11 月)が挙げられます。

 国際セッションIS-EMD は、技報原稿を英語で作成し、 発表・質疑応答も英語で行うもので、第1 種研究会の枠組 みの中でミニ国際会議的な雰囲気で開催しています。2001 年度から開始して本年が12 回目となりますが、最近では 2 日間で30〜40 件ほどの発表が集まり、その約半分が中 国などのアジア諸国、及び欧米からの発表になるなど、国 内外にすっかり定着しました。また、学部生・大学院生や 企業の若手研究者が初めて英語での学会発表を行う場と しても活用されています。さらに、この国際セッションで の発表内容を中心とする小特集を毎年英文論文誌Cで企 画し、多くの投稿が集まります。国際セッションや小特集 を機に新たに信学会の海外会員となる人もあり、学会活動 の国際化に多少とも貢献できていると自負しております。

 以上のような研究会開催に加えて、総合大会・ソサイエ ティ大会では一般・シンポジウム講演を実施し、多くの発 表があります。その他、機構デバイスの基礎と応用に関す る専門講習会を毎年開催し、学生や企業の若手研究者に関 連研究分野の知識を獲得する場を提供しています。

 歴史のある機構デバイス研究専門委員会において、国際 化の動きに積極的に取り組むとともに、伝送信号の高周波 化や直流給電の進展など新しい技術動向にも迅速に対応 し、さらなる発展を目指していきたいと考えています。

 

著者略歴:

1986 年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業、1991 年同大学 大学院理工学研究科電気工学専攻博士課程修了。工学博士。2001 年千歳科学技術大学光科学部光応用システム学科専任講師に着 任。現在、同大学総合光科学部グローバルシステムデザイン学科 教授。機構デバイス研専幹事補佐・幹事・副委員長、英文論文誌 C編集委員を歴任。平成17 年度エレクトロニクスソサイエティ 活動功労者表彰。