「機構デバイス研究会の重要性と活動」

機構デバイス研究専門委員会 委員長          

吉田 清(日本工業大学)

テキスト ボックス:     機構デバイス研究会は 1962年に設立された機構部 品研究会が、1992年に機構 デバイス研究会に名称変更 を行い、今日まで半世紀に わたる活動を続けています。 発足当時は、電話交換機に 膨大な量の電気接点が使用 され、信頼性や寿命に問する問題が非常に重要で、 接点・接触現象に多くの研究者が取り組んでいまし た。その後、交換機は電気接点から半導体へ、伝送 路は同轍ケーブルから光ファイバヘ置き換わってい きました。これはアナログ通信からデジタル通信時 代の転換と重なります。

 電子回路は高速化し、電気・光信号の転送速度は 増加する一方です。高速化に伴い、コネクタやスイ ッチなど機構デバイスに対する要求は厳しくなり、 接点・接触問題には今でも多くの課題が残されてい ます。また、信号の高周波化により新たな問題も生 まれている状況です。

 機構デバイス研究会は,先に述べた通信分野を中 心とする接触・放電現象以外にも『接触部品とその 材料,ばね・機構系とその材料,小形モー夕などの 電気機械変換系とその材料,継電器・スイッチ・コ ネクタなど機構部品・光機構部品,オプトメカトロ ニクス,情報入出力機器,その他の機構部品,機構 部品・装置の実装技術,光センシング,マイクロマ シニング』など幅広い産業分野に関係する問題を対 象として,その重要性は増加する一方です。

 機構デバイス研究会は,年10回の研究会と年1 回の専門講習会を関催しています。今年で10年目を 迎えた国際セッション(IS-EMD)は,第1種研究会 (参加費無料)として海外からの発表者を受け入れ 開催しています。毎年2日間の日程で、30件〜40 件の発表があり、そのうち10件以上は海外の研究者 が占めています。第1種研究会ですが、原稿は英文、 発表は英語で行い、学生や若手研究者が国際会議へ 発表する際のよい経験の場となっています。また、 このセッションと連携して英文論文誌にIS-EMD特 乗号を企画して、優秀な論文を発表しています。今 年は、中国の西安交通大学で11月102口に開催さ れる予定です。海外での第1種研究会開催には、色々 な問題があるのですが、幹事の協力を得て成功させ たいと考えています。さらに、単独の研究会のほか に、エレソ内外の研究会や他学会との共催研究会が 4回前後行われ、異なる分野の研究者の意見交換の 場を提供しています。

 専門講習会は、「機構デバイスの基礎と応用講習 会」と称して毎年開催しています。学生や企業の若手 研究者が多く参加して、本研究会の知識を広く社会 のために役立てています。今年は9月に工学院大学 で聞かれます。最近、太陽光発電や電気自動車(ハイ ブリッドを含む)の普及により直流遮断のニーズが 高まり、その基礎技術に開する講演は注目されてい ます。

 専門委員長として、研究会活動をさらに活性化さ せるよう研専の幹事、専門委員の皆様と協力しなが ら、今後も微力ながら尽力する所存です。

 

著者略歴:

 1984年日本工業大学修士課程電気工学専攻修了、1981 年より日本工業大学助手、1995年工学博士(日本工業大学)、 1995年同講師、2010年同准教授、電気接点のアーク放電現象の研究に従事、IEC/TC94国内委員会幹事.