EMC Zurich 参加報告
(通信ソサイエティ ニューズレター第17号より転載)

 ポーランドと隔年で行われている,スイスにおける環境電磁工学の国際シンポジウムである13th International Zurich Symposium & Technical Exhibition on electromagnetic compatibility (EMC Zurich)は,チューリッヒにて,現地時間の2月15日から2月18日まで(2月19日はテクニカルツアー等の開催日)の日程で行われた.
 初日15日は,チュートリアル及びオープンミーティング3つがパラレルセッションで行われた.チュートリアルは午前と午後で内容が違い,午前は電子機器からの電磁界放射の予測・計算手法,または放射電磁界の人体への影響などについての講演,午後はモーメント法を中心としたアンテナなどからの電磁界放射パターンなどの計算手法についての講演が行われた.オープンミーティングはESD(静電気放電)に関するセッション(ESDEM),URSIのE分科会及び電磁界の人体に対する影響に関するセッション(COST)の3つで,筆者はESDEMのオープンミーティングに参加した.内容は主にESDによる電流の流入や放射電磁界に強い半導体素子の設計方法や,ESDによる誘導電流量の計算手法などの発表があった.

 16日から18日までは通常のセッションで,一件の発表時間は17分から20分,言語は英語で行われた.当シンポジウムの投稿件数は212件で,そのうち採択された論文数は119件で,EMCのシンポジウムとしては採択率が低い.発表者の国籍の内訳は,一番多かったのはイタリアで23件,次いで米国とドイツが各々19件,フランスが12件,オランダと英国が各10件の順であった.日本は9件でそれに次いでいる.主催国のスイスは意外にも6件と少なかった.

 セッションの構成は3パラレルセッションで,各セッションにおける件数は6〜9件である.午前と午後ではテーマが違うので,一日に6テーマのセッションが行われる.各講演部屋にはスクリーンが4枚用意され,中央の2枚は講演者用,左は伝達事項用,右は各部屋の現在の講演者の表示となっており,右の表示は同時進行の複数のセッションを聴きたい場合などの利便のために設けられている.どのセッションも一件当たりの質問数は3〜7件と多く,活発な討論,質問,コメントがあった.

 この期間中,同時にEMC用のアンテナ,測定器,暗室などのメーカーによる展示会も開催されていた.出展企業数は約40社であった.

(執筆者:石上 忍 CRL)