1998年アンテナ・伝搬,環境電磁工学,電磁界理論に関する日韓合同会議参加報告
(通信ソサイエティ ニューズレター第15号より転載)

(1)会議の名称:1998 Korea-Japan AP/EMC/EMT Joint Conference (KJJC-AP/EMC/EMT'98)
(2)主催: 通信ソサイエティのアンテナ・伝播研究専門委員会及び環境電磁工学研究専門委員会、エレクトロニクスソサイエティの電磁界理論研究専門委員会、韓国電子工学会マイクロ波・アンテナ・伝搬ソサイエティ,韓国電磁工学ソサイエティ
(3)日時:9月3日(木)〜5日(土)
(4)開催場所: 大韓民国 釜山市パラダイスビーチホテル
(5)参加人数:138名(韓国76名、日本62名)
(6)セッション数:18セッション(EMCは4セッション)
(7)論文数:74編(韓国28編、日本46編)
(8)概要
 本研究会は電子情報通信学会の第2種研究会でアンテナ・伝搬,環境電磁工学,電磁界理論の分野に関し,日本と韓国の研究者の間に学術交流の場を提供することを目的としている.一昨年にソウルで行われて以来、今回が2回目である.日本のAP研が初めて加わったこともあり,参加者は前回の約70名から2倍近くとなったため,A,Bの2会場に分かれて発表が行われた.EMCに関する論文数は、日本からは招待論文1件と一般論文11件であった.一方,韓国からは一般論文6件であり,韓国側の発表が若干少なかったことが残念である.

 招待講演では,仁田前委員長が,「EMI測定における再現性欠如の原因に関する研究」と題して発表され,その原因の一つが,周波数領域での測定データが有限の観測時間に基づいているためであるとの指摘がなされた.一般講演では,徳田九工大教授グループによる,発泡フェライトに関する電波暗室に関する一連の論文が発表され熱心な討議が行われた.韓国からも送電線からのノイズ,低周波磁界の生物影響に関する実験結果など,興味深い発表が行われた. また,最後の講演では,杉浦委員長による「サイトアッテネーション測定のための不確定さの評価」が行われ,今後EMC測定分野全般において不確定さの評価が重要になるとの指摘があった.

 韓国経済混乱時における会議ではあったが,会議場やレセプションに関しては,韓国側の配慮・支援により,非常に良い設備,環境での会議であった.2日目の会議終了後,会場のホテルにて,盛大な懇親会が行われ,委員長のRa教授(Korea Advanced Institute of Science and Technology)の司会のもと,両国の参加者代表(重鎮から学生まで数多く)のスピーチが行われ,参加者の交流を深めるとともに,会議の成功と次回の開催を確認した.また,この日の午後に日韓各研究会の代表者が集まり,この合同研究会の趣旨と今後について議論が行われ,(1)本研究会の本来の趣旨は、双方の研究者の交流と若手研究者の教育の場を提供することであり,一般の国際シンポジウムと異なり,少人数で議論することが主眼であること.(2)次回は,2年後の2000年に、韓国で開くことが決まったとの報告があった.

(執筆者:山中幸雄 通信総研)