2000 IEEE EMC シンポジウム参加報告
(通信ソサイエティ ニューズレター第23号より転載)

 
(1)名称:2000 IEEE International Symposium on EMC
(2)日時:2000年8月21日〜25日
(3)会場:Washington Hilton & Towers,ワシントンDC,USA
(4)参加者:約3500人
(5)テクニッカルセッション論文数:約180件
 
本シンポジウムは,EMC分野で世界最大規模を誇り,EMC全般の研究成果を網羅する同分野の代表的な国際会議である.その特徴は,テクニカルセッションに加えて,ホットトピックスに関するワークショップと大規模展示会の併催にある.
テクニカルセッションは8月22日〜24日の三日間行われ,その総数はオーラルセッションが26,ポスターセッションが1であった.内訳は,PCB/IC/システムレベルEMCが4セッションで最も多く,ついで測定法と計算機モデリングが各3セッション,放射・エミッション,reverberation chamber,シールド関係がそれぞれ2セッション,カップリング,テストchamber, TEM,過渡現象,雷,EMCマネジメント,無線デバイスのEMC及び認証問題がそれぞれ1セッション,その他が4セッションであり,全体的な傾向としてはPCB関連の話題に人気が集まった.初日開催のエミッションとPCBモデリングの両セッションは,100人程度の部屋から300人収納可能な大部屋の会場に急遽変更されたが,それでも立ち見が出るほどの盛況であった.また,互いに関連するセッションが多く,それらが並列開催されたためか,聴衆は発表ごとにあちこちのセッションに移動するなど,他学会ではあまり見られない現象が目立った.26ヶ国にも及ぶ発表論文総数は約180件であり,国別には米国が72件(40%)で最も多く,続いて日本とイタリアがぞれぞれ20件(11%)であった.
 これ以外に,21日と25日の二日間に13のワークショップが開催され,例えば,「医療環境でのワイヤレスEMC」,「EMCモデリング」,「Reverberation Chamber」などのトピックスに注目が集まった.
 展示会は,例年盛況であり,今回も出展企業が200社近くにのぼり,EMC業者にとっては年に一度の大イベントと定着した感であった.
 なお,24日開催の恒例のAwards Luncheonでは,EMC Transactions論文賞とシンポジウム論文賞が発表されるが,今年は共に筐体シールド関係の論文が受賞されたことが注目される.また,5月に逝去されたNISTの故Kanda博士を含む17人にIEEE Third Millennium Medalが授与されたこと,東北文化学園大学の高木相先生がHonorary Life Member Award,福井工業大学の芳野赳夫先生がCertificate of Technical Achievement,東京農工大学の仁田周一先生がCertificate of Acknowledgmentをそれぞれ受賞されたことを付記しておく.

( 執筆者: 王 建青 名工大)