第2回環境電磁アジア太平洋会議(上海)参加報告
(通信ソサイエティ ニューズレター第20号より転載)

 
Asia-Pacific Conference on Environmental Electromagnetics
(CEEM'2000/Shanghai)May 3-7,2000, Shanghai, China
Proceedings: Catalog Number 00EX402, ISBN 7-5635-0420-6
 
 本国際会議は北京郵電大学が中心となる組織委員会が主催し、中国通信学会、日本の電気学会、電子情報通信学会が共催、IEEEが実務的支援をする会議で、1996年に西安で開催されたものに引き続く第2回である。General Chairman は北京郵電学院の高攸綱教授、 Co-chairman は東京農工大学の仁田周一教授である。
 会期は日本のゴールデンウィークに当たったが、中国でも今年からのゴールデンウィークの実施が急に決まり、中国側の現地委員は会場の確保などにとんでもない苦労をしたようであった。参加者数は100人。採択論文数は95であったが、これは採択率を80%に絞った結果である。前回のCEEM’96に比べ、レベルは確実に上がっていた。中国以外からの参加は、ヨーロッパから5ヶ国、それに、日、米、韓、タイ、香港を加えた11カ国で、中国側の努力が読みとれた。 日本からの参加者は8名。
 初日は、7件の Keynote Speech のみに充てられ、内容の濃い発表と討議が行われた。日本からは豊橋技科大学の宮崎保光教授がモバイル通信システムにおいて問題となる密集したビルディング間での電波干渉のシミュレーションについての報告が行われた。翌日からの一般の発表は、電磁気学、電波伝搬・アンテナからEMC測定・試験までの広い範囲をカバーする割には参加者数が少なく、少々寂しい感じはしたが、逆に研究室のゼミのような雰囲気で、ゆったりとソファーに座り、くつろいで討議するという国際会議らしからぬ情景も
あった。中国側からの登壇者には、時として時間にかまわず悠揚迫らざる態度が散見され、日本や欧米からの発表者が時間を気にして内容まで犠牲にするのとは対照的であった。
 準備と設営は郵電部の事務部門が担当し、運営は会期中のエクスカーションなどはいっさいなし、という実質的なものであった。隣のホテルではExihibition が並行開催され、24社が出展していた。
 ちなみに、本報告の表題の一部”環境電磁”は誤植ではなく、日本で環境電磁工学と言うべきところを中国語ではこう言う。

(執筆者:古賀隆治 岡山大学)