通信ソサイエティからのお知らせ
2024年度 通信ソサイエティ論文賞・マガジン賞 〜受賞論文・記事と総評〜

2024年度
通信ソサイエティ論文賞・マガジン賞
〜受賞論文・記事と総評〜

通信ソサイエティ編集会議

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はじめに

通信ソサイエティは,20回目となる2024年度通信ソサイエティ論文賞の選考を行い,11編の論文を選定した.また,和文マガジンの論文以外の記事も対象とする「通信ソサイエティマガジン賞」(以下,マガジン賞)の8回目の選考を行い,1編を選定した.

本稿では,今年度(2023年10月~2024年9月)の受賞論文・記事と総評を,和文論文誌、英文論文誌,ComEX,和文マガジン,及びマガジン賞の順に紹介する.

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和文論文誌

和文論文誌は,研究経験の少ない学生や若手研究者,開発に携わる企業の技術者も母国語で読める貴重な文献である.和文論文誌の編集委員会では,1)候補論文推薦,2)予備投票,3)審査査読,4)候補論文絞込み(審議),5)候補論文選定(投票),6)受賞論文決定(編集会議)のステップを経て,優秀論文賞3編,チュートリアル論文賞1編を受賞論文として選定した.

優秀論文賞は,複数台の光ファイバ給電デバイスの給電及び機能実行のための割当時間算出方法に関する論文,分散アンテナシステムへの電力供給と制御に関する論文,Wi-Fiの受信信号強度とスマートフォンを用いた屋内位置推定システムの開発に関する論文の3編である.また,チュートリアル論文賞は,後方散乱通信の原理と技術課題について解説した招待論文である.いずれも,新規性,有効性,信頼性,了解性で高い評価を得ており,今後論文を執筆する研究者や技術者にとってお手本となるものである.

良い論文を読むことは,技術知識の蓄積とともに,良い論文を書くことにもつながる.受賞論文を論文執筆のお手本として,各位の技術成果を積極的に投稿して頂きたい.今後も新規性の高い論文から綿密な調査と体系化を行うサーベイ論文まで,幅広い成果が報告されることを期待している.なお,2006年以降の各受賞論文は下記 URLから無償で閲覧できるので,御活用頂きたい.

https://search.ieice.org/bin/open_access_paper.php?journal=JB&lang=J

■ 優秀論文賞

「複数台の光ファイバ給電デバイスの給電及び機能実行のための割当時間算出方法」

野添紗希,渡辺 汎,大串幾太郎

Vol. J107-B, No. 10, pp. 489-497, Oct. 2024.

受賞理由:本論文は,光ファイバを用いて電力供給と通信を行う次世代の光通信網において,複数台のデバイスの光給電及び機能実行の割当時間の算出方法を提案している.光ファイバ給電の実現に向けては,少ない電力を効率良く確保してデバイスを動作させるため,新たな発想と注意深い検討が必要である.筆者らは各ノードを充電しつつファイル更新時間を分割して巡回し,複数ノードの機能が停止することなく更新可能となる手順を提案し,更新完了時間を算出できることを具体的に示した.本論文は複数デバイスを対象とした光給電の安定動作に重要となる課題を初めて指摘し,その対策を提案したことに高い新規性が認められる.また,提案手法及び電圧シミュレーションと測定による妥当性の検証手法が丁寧に述べられており,読者が実践的に論文を利用できる点においても有効性が高い.以上のことから,通信ソサイエティ優秀論文賞にふさわしい論文であると判断した.

「分散アンテナシステムへの電力供給と制御に関する研究」

唐 琼顔,山田博仁

Vol. J107-B, No. 3, pp. 91-98, March 2024.

受賞理由:本研究は,分散アンテナシステムのリモートアンテナへの電力供給と制御について,ソーラーパネルとバッテリーを備えた耐災害性に配慮した自立電源システムを構築し,電力の不足分を収容局からの送電………