開発物語
工学院大学VRプロジェクト:IVRC 2024決勝出場への道のり
1.はじめに
IVRC(Interverse Virtual Reality Challenge)(1)は,日本バーチャルリアリティ学会(2)が主催する,バーチャルリアリティ(VR)技術を主に用いたインタラクティブ作品を競うチャレンジ(コンテスト)である.作品は,学生を中心としたチームで制作する.1993年に始まり,実施形態を変えながら30年以上続いている.現在(2024年度)は,企画書を提出して審査される書類審査,実機を制作して展示する予選大会のSEED STAGE,ここでの上位作品が集められる決勝大会LEAP STAGEの3段階で競われる.
本稿では,工学院大学VRプロジェクトのIVRC 2024への挑戦を,筆者の取材とIVRCチームへのインタビューで紹介する.工学院大学VRプロジェクトは,86件の応募の中からの10件の一つとして,LEAP STAGEまで進出した.
2.工学院大学VRプロジェクト
工学院大学VRプロジェクトは,スマートフォンを利用した拡張現実感,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)など身近になったVR技術を背景として,2019年に発足した.2024年度は,105人が所属している(活動の様子は図1).これは,VR関連の学生団体としては国内でも有数の規模である.その活動は,VR関連技術を習得し,作品を制作したり展示したりすること.IVRCへの参加は,その中の主な一つである.2022年度から応募を始め,そのIVRC 2022,続くIVRC 2023ではSEED STAGEまで進出した.2024年度はSEED STAGE突破を目指すべく,前年度の3月にIVRCチームを立ち上げた.
本稿では,IVRCに参加した大谷駿介さん(情報学部情報通信工学科3年),山下朋也さん(情報学部情報通信工学科2年),竹島光一さん(情報学部情報デザイン学科2年)の話も交えて,LEAP STAGEまでの道のりを紹介する(以降,敬称略).

図1 工学院大学 VR プロジェクトの活動の様子
3.書類審査
IVRC最初の関門は書類審査である.概要と9ページ以内の企画書を提出する.この審査に通過しなければ,実機審査はない.締切は5月31日.新入生は大学生活に慣れながらの取組みである.
IVRCチームは,連日議論の場を持った.空きコマや授業終了後に,学生ラウンジなどに集まってアイデアを議論した.50個以上のアイデアの種を出したあと,絞っていく.10個程度まで絞り,新規性を考慮し,過去の作品を研究し,作品の魅力を吟味し,実現性を考慮して,うち3件を応募することにした.
「打合せスペースを借りて,アイデアをプレゼンし合ったりしました.それに基づいてメンバーで議論し合うと,ホワイトボードがあっという間に一杯になりました」(竹島)
「体験する側も作った側も,面白いと思える企画を応募できるよう,議論を重ねた自信はありまし