子どもに教えたい通信のしくみ
「電気」と「磁気」が織りなすコイルの不思議
ジュニア会員向けページ
1. はじめに
コイルは,電気回路や電子回路に利用される受動素子の一つです.この応用範囲は,AI(人工知能)用データセンターなどの情報通信産業から,自動車などのモビリティ,生活を支える電力インフラ,身の回りの家電製品など電気を利用するほとんどの機器に利用され,私たちの生活になくてはならない存在です.コイルの歴史をひも解くと,1820年デンマークの物理学者エルステッドが「電気」と「磁気」の不思議な関係を“偶然”発見したことから全てが始まります.そんな現代で,幅広く利用されるコイルはどんな効果があるのでしょうか.また,最初の発見から約200年経過した現代で,どんなことに使われているでしょうか.皆さんと一緒に考えてみたいと思います.
2. エルステッドさんによる「電気」と「磁気」の不思議な関係の発見
「電気」と「磁気」の不思議な関係は,エルステッドさんが導線に電流を流す実験中に偶然発見されました.図1に示す回路に電流を流したところ,偶然,導線の上に置かれていたコンパスの針が,北とは異なる方向を指したことから始まります.この理由は後に分かるのですが,電流が流れると導線の周囲に「磁石の世界」が発生していたためです.この発見をきっかけに,世界中の物理学者が「電気」と「磁気」の不思議な関係解明に挑み,その結果,現代社会ではこれらの原理を応用した製品が数多く利用されるようになりました.
図1 電気と磁気の不思議な関係の発見
3. コイルのしくみ
コイルのしくみを述べる前に磁石の世界について説明します.磁石の周りには磁石の強さを表す「磁束」と呼ばれる,目には見えない流れのようなものがあり,N極から出てS極に入る方向に向かって発生しています.磁石では図2に示すような紫色の磁束が発生していますが,実は導線に電流を流しても磁束は発生します.ここでコイルは,図3に示すように導線をら旋状に巻いて作られます.このら旋状の導線に電流を流すと,空間
図2 磁石の周りに生じる磁束
図3 コイルの外観と磁束