無線通信シミュレーションのための電波伝搬基礎

講師

岩井 誠人(同志社大学)

主催

アンテナ・伝播研究専門委員会実行委員長 唐沢好男

協賛

IEEE Japan Chapter Antennas and Propagation Society

  アンテナ・伝播研究専門委員会では,関連する研究専門委員会と連携して,1994年度から第二種研究会として「アンテナ・伝搬における設計・解析手法ワークショップ」を開催して参りました.これは,アンテナ・伝搬研究者や技術者を主たる対象に,設計・解析の力向上を図ることを目的とするもので,これまでにモーメント法およびFDTD法によるアンテナ解析,アレーアンテナの適応信号処理および高分解能到来波推定法,移動通信における多重波伝搬理論,アンテナ測定法,人体ファントムとアンテナ評価技術,アレーアンテナ設計の基礎などをテーマに,これまで34回のワークショップを企画し好評を頂いております.
 今回の第35回ワークショップでは,移動通信における電波伝搬をテーマとした初級コースを開催します.本講義は,無線通信システム・方式の研究者および開発者を対象とします.無線通信システムの性能評価のための計算機シミュレーションを実施するにあたり,前提として知っておくべき伝搬モデルに関する基礎知識を習得することを目的とします.

講義内容

以下の内容に沿って講習を進める予定です.
(1) 電波伝搬に関する基礎理論
(2)移動通信環境における信号強度変動特性
(3)移動通信環境におけるマルチパス遅延の影響
(4)セルラ移動通信環境の信号強度変動に関する伝搬モデル
(5)遅延プロファイルモデル
(6)計算機シミュレーションにおける伝搬モデルの使用例
上記の講習内容は、若干変更することもございますので、ご了承下さい。なお,テキストは受講者に約3週間前に配布され,予習していただくことを前提としています.また,テキスト目次(暫定版)を本ページ末にてご覧いただけます。ご参照ください。

日時

2008年9月8日(月) 9:30~17:00

会場

東京工業大学大岡山キャンパス 西9号館ディジタル多目的ホール
〒152-8552 東京都目黒区大岡山2-12-1 東京工業大学キャンパス内

受講定員

100名

受講料

テキスト代金を含み 
一般/会員 13,000円,非会員 20,000円
学生/会員  3,000円,非会員 7,000円
 申し込み受け付け後,事務局から受講受付番号と受講料振り込み案内をお送りしますので,それに従って受講料をお支払い下さい.

 なお,会員価格での受講を希望される方は,受講申込書に会員番号の記載が必要になりますので,ご注意ください.また,学会への入会手続き中の方は,学会へ提出した入会申込書のコピー等,入会を確認できる資料の提出をお願いします.会員/非会員の受講料の差額は,一般の方については電子情報通信学会年会費のほぼ半額,学生の方についてはほぼ年会費に相当いたします.非会員の方には,この機会に,電子情報通信学会への入会をお勧めいたします.入会に関する情報は下記のURLをご参照ください.

電子情報通信学会入会案内: http://www.ieice.org/jpn/nyukai/index.html

受講申込み期間

2008年6月2日(月)~ 7月25日(金)
(先着順:満員になり次第締め切ります.期日前の申し込みは無効です.)

受講申し込み方法

下記(申し込みフォーム)の受講申込書の全項目にご記入の上,E-mailにより,下記の受講申込先にお申し込み下さい(郵送,電話,FAXは不可).なお受講申込後1週間以内に事務局からの回答がない場合には事務局へ申込受付確認の連絡をお願いいたします.

受講申込先

アンテナ・伝搬における設計・解析手法ワークショップ 第35回実行委員会
事務局 長尾 圭子(東京工業大学大学院電気電子工学専攻 安藤研究室気付)
  email: workshop@antenna.ee.titech.ac.jp

問合先

アンテナ・伝搬における設計・解析手法ワークショップ 第35回実行委員会
総務担当幹事 藤元 美俊(福井大学)
 E-mail: fujimoto@fuis.fuis.fukui-u.ac.jp
 TEL: 0776-27-8913, Fax: 0776-27-8751

受講申込書

受講申込書の電子ファイルはこちら( Wordファイルpdfファイルテキストファイル)をご利用ください.

【無線通信シミュレーションのための電波伝搬基礎】

【目次】
第1章 はじめに
第2章 電波伝搬に関する基礎理論
 2.1 確率分布
  2.1.1 確率密度関数
  2.1.2 累積確率関数
  2.1.3 確率分布の各種統計量
  2.1.4 二項分布
  2.1.5 正規分布
  2.1.6 レイリー分布
 2.2相関関数
  2.2.1 相互相関関数
  2.2.2 確率変数の独立性と従属性
  2.2.3 自己相関関数
 2.3信号の時間領域表現と周波数領域表現
  2.3.1 時間信号のフーリエ変換
  2.3.2 自己相関関数とパワースペクトル
第3章 移動通信環境における信号強度変動特性特性(フェージング特性1)
 3.1 移動通信環境とは?
 3.2 移動通信環境における信号強度変動の三要素
 3.3 伝搬損失距離特性
 3.4 シャドウイング
 3.5 マルチパスフェージング
  3.5.1 レイリーフェージング
   3.5.1.1 振幅分布と位相分布
   3.5.1.2 ドップラスペクトル
   3.5.1.3 空間相関特性
  3.5.2 仲上ライスフェージング
 3.6 各特性の相互関係
 3.7 WSSUSチャネル
第4章 移動通信環境におけるマルチパス遅延の影響(フェージング特性2)
 4.1 遅延がある伝送路の表現(その1)―時間領域の表現
 4.2 遅延がある伝送路の表現(その2)―周波数領域の表現
 4.3 各特性の相互関係
 4.4 ディジタル伝送特性に対するマルチパス遅延の影響
第5章 セルラ移動通信環境の信号強度変動に関する伝搬モデル
 5.1 伝搬損失距離特性モデル
  5.1.1 マクロセルモデル
   5.1.1.1 経験的モデル
    5.1.1.1.1 奥村-秦式
   5.1.1.2 理論的モデル
    5.1.2.1.1 Walfischモデル
    5.1.2.1.2 池上モデル
    5.1.2.1.3 COST-231 Walfisch-Ikegamiモデル
   5.1.1.3 各モデルの比較
  5.1.2 マイクロセルモデル
   5.1.2.1 経験的モデル
    5.1.2.1.1 市坪モデル
   5.1.2.2 理論的モデル
    5.1.2.2.1 Wiartの解析モデル
 5.2 シャドウイングのモデル
  5.2.1 シャドウイングの信号強度生成法
  5.2.2 シャドウイングの時間変動特性の実現
  5.2.3 複数基地局間・上り/下りリンク間のシャドウイングの相関
 5.3 マルチパスフェージングのモデル
  5.3.1 レイリーフェージングの生成法
   5.1.3.1 レイリーフェージングの時間変動特性の実現
    5.1.3.1.1 周波数スペクトルをフィルタにより実現する方法
    6.1.3.1.2 マルチパス環境を模擬し計算する方法
  5.3.2 仲上ライスフェージングの生成法
第6章 遅延プロファイルモデル
 6.1 静的遅延プロファイルモデル
 6.2 動的遅延プロファイルモデル
第7章 計算機シミュレーションにおける伝搬モデルの使用
 7.1 レイリーフェージング環境におけるシングルキャリアディジタル伝送方式の伝送特性
  7.1.1 フラットフェージング環境
  7.1.2 周波数選択性フェージング環境
 7.2 CDMAにおける受信信号強度変動特性シミュレーション
 7.3 空間相関がある場合のダイバーシチ性能の評価
 7.4 マルチセル環境におけるSIR特性評価
第8章 レイトレーシング
 8.1 決定論的伝搬モデルとレイトレーシング
  8.1.1 レイ探索手法
  8.1.2 レイの合成による受信信号の合成
  8.1.3 反射係数と回折係数の計算手法
 8.2 レイトレーシング計算の反射および回折計算回数について
第9章 おわりに