以下順次ファイルの作成方法について説明します。もっとスマートな方法もあるとおもいますが、ここでは比較的簡単な方法を説明します。またここでは、Excel2000を使っています。
まず近傍界をNEC2で計算します。NEC2はWeb上で検索すれば比較的簡単に入手可能です。下記は、今回用いた入力ファイルの例です。無限地板上の四分の一波長のモノポールアンテナです。
NEC2の入力ファイルの作り方や、計算のやり方は、同じくWeb上で入手可能なNEC2関連のマニュアルを読んでみてください。
CM
CE
GW
51 1 .000000 .00000000 .00000000 .00000000 .00000000 .0030000
.0003000
GW 1 6 .000000 .00000000 .00300000 .00000000 .00000000 .0280000
.0003000
GE 1
EX 0 51 1 01 1.0000000
.00000000
GN 1
FR 0 1 0 0 2450.0000
0.00000
NE 0 1 40 20 0.000 -0.24001 0 0 0.012 0.012
NH 0 1 40 20 0.000 -0.24001 0 0 0.012 0.012
NE 0 1 40 20 0.000 -0.12001 0 0 0.006 0.006
NH 0 1 40 20 0.000 -0.12001 0 0 0.006 0.006
XQ
EN
出力ファイルには、適当な名前をつけておいてください。ここでは、mnp1.txtという名前にしました。
図1は出力ファイルです。次にこのファイルをExcelに読み込ませます。
図 1 出力ファイル mnp1.txt
データ形式はアスキーなので、txtとして読み込ませます。そのときには、スペース区切で、分割してください。図2は、そのときの表示の様子です。ここで完了をクリックすれば、OKです。図3は読み込みが完了した様子です。次に、このデータから、マトリクス型のファイルを形成します。
図 2 ファイルの読み込み
図 3 読み込みの完了
ここでは、ファイルの形式を3要素型からマトリクス型に変形する方法を説明します。ここでは、Excelのピボットテーブル作成機能を使います。(Excelのマクロがいじれる方は、マクロで並べ替えのプログラムを作成する方が簡単です。)
まず、必要な部分を取り出します。必要なのは、位置のデータと、電磁界の振幅と位相の値です。
データファイルを下に見ていくと図4のような部分が見つかります。ここから、まず位置のデータをコピーして、新しく作成したワークシートに貼り付けます。今回の場合、YとZを変化させていますので、YとZの部分をコピーします。(図5、6、7)
図 4 近傍界のデータの部分
図 5 コピーの初めの位置
図 6 コピーの最後の位置
図 7 新規作成したワークシートへ貼り付け
ワークシートに位置データを貼り付けたら、一行目に各々YとZとして名前をつけてください。
次に、データの電磁界の振幅値をコピーし、先ほど作成したデータシートに貼り付けます(図8,9)。同じくこれにも一行目に名前をつけてください。
次に、AからC行目までを選択し、Excelのコマンドラインからデータ>ピボットテーブルとピボットグラフレポートを選択します。(図10)ラジオボタンが図10のようになるように設定し、「次へ」をクリックしてください。
まず範囲指定が出ますので、三要素全体を選択するように、「$A:$C」と選択してください。(図11)「次に」を押すと、図12のような表示が出ますので、新規ワークシートのラジオボタンを押し、次に「レイアウト」をクリックしてください。すると、図13の表示が出ますので、マトリクス型のレイアウトに要素をドラグ&ドロップで当てはめてください。これが済んだら、次に、レイアウトの真ん中に配置した「データの個数:EY-A」をクリックしてください。現在、データの個数になっているのを合計としてください。「OK」をクリックして、図12まで戻ったら、「完了」をクリックします。
以上の作業をEyの振幅、位相、Ezの振幅、位相に関して四回繰り返すことで、新しくよっつのデータシートが作成されます。このときに同じデータシートに上書きして新しいデータシートを作成する場合、作成のたびに、ファイルサイズの抑制のために、同じファイルを使うかと聞かれるが、これは「いいえ」と答えます。
次は、マトリクス型ファイルのデータを所望の形式に書き換え、マクロでアニメーション動作させます。
図 8 振幅値データのコピー
図 9 貼り付け
図 10 ピボットテーブルのウィザード
図 11 範囲指定
図 12 ここでレイアウト(左下)をクリック
図 13 配置が済んだら、ここで「データの個数:EY-A」をクリック
図 14 合計を選択
図 15 マトリクスファイル(その1)の完成
次に、作成したデータファイルの電磁界の値をひとつにまとめます。ここでは、マクロとの関係付けのため、A行1列を変数とします。
今回は、電界のx成分とy成分の二乗値を足して、ルートを取ったものを表示することにします。
新たにデータシートを挿入し、このデータシートのB行2列から、マトリクスを形成します。
式は、次のようにあらわされます。
=SQRT((Sheet2!B5*SIN((Sheet3!B5+$A$1)*3.141592/180))^2+(Sheet4!B5*SIN((Sheet5!B5+$A$1)*3.141592/180))^2)^0.5
ここで、Sheet2は、電界のy成分の振幅を記述したマトリクスのデータシートを意味し、Sheet3はy成分の位相、Sheet4がz成分の振幅で、Sheet5がz成分の位相に相当します。
上記の式をマトリクスの大きさ分貼り付ければ、マトリクスデータは完成です。
次に、このマトリクスデータを鳥瞰図にします。
図 16 データの完成
作成したデータを鳥瞰図で表示します。
データ範囲をドラグして選択してから、グラフボタンを押して、グラフウィザードを呼び出します。ここでは、カラー表示をさせるため、右下の等高線グラフを用います。(図17)
次へを押して、データの範囲が間違っていなかったら(図18)、完了をクリックしてください。
図 17 グラフウィザード
図 18 グラフウィザード
グラフの大きさを調整したら、凡例をクリックします。ウィザードで、値の大きさを設定します。ここでは、最小値0、最大値20、メモリ間隔を2としました。(図19から21)
図 19 等高線グラフ
図 20 凡例のウィザード
図 21 グラフの完成
先に示した式で「$A$1」の「$」は固定した場所からのデータ参照を意味します。あとは、マクロで、この「$A$1」の値を変化させれば、アニメーションが実行されます。次にマクロの設定を行います。
まずマクロを呼び出します。ツール>マクロ>マクロで、ウィザードを呼び出したら、ウィンドに「連続変化」のようにマクロの名前を記入して作成をクリックします。(図17)
ここで、図23のようにVisualBasicのウィンドウが立ち上がります。マクロはこのVB上で作成します。下記はマクロの例です。これを記入すれば、マクロは完成です。
Sub 連続変化()
はじめ = Cells(2, 1)
おわり = Cells(3, 1)
ステップ = Cells(4, 1)
For i = はじめ To おわり Step ステップ
Cells(1, 1) = i
Next i
End Sub
ここでは、
A行1列が位相の値
A行2列が位相変化の開始角度
A行3列が位相変化の終了角度
A行4列が位相の変化量(変化速度)
を意味しています。(図18)
図 22 マクロの名前をつける
図 23 マクロの入力
ここまできたら、VisualBasicのウィンドウを閉じてください。
次に、ボタンをセットします。
Excelのツールバーのボタンをクリックして、画面上でドラグすると、ボタンが現れ、同時に、マクロの設定のためのウィンドウが開きます。(図24)ここで、データシート上にボタンを配置してください。連続変化を登録して、OKをクリックすると、Excelの画面上にマクロの開始スイッチであるボタンが表示されます。ボタンには適当に名前を記入して置いてください。
またデータシート上に、A2に開始角度、A3に終了角度、A4に変化量を入力しておいてください。
図 24 マクロの登録
図 25 ボタンの配置
以上で終了です。ボタンを押すと、画面が変化してアニメーションが表示されます。
以上