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【 2019WPTコンテスト~目の前の壁を越えろ!!~ 開催報告 】

2019年5月8日 新規作成

 電子情報通信学会は「WPTコンテスト~目の前の壁を越えろ!!~」を2019年3月20日に早稲田大学西早稲田キャンパスにて開催いたしました。  無線電力伝送(WPT)はスマートフォンや電気自動車などへ非接触で電力供給できる技術として広い分野への応用が期待されています。本コンテストでは、WPTのメリットの1つである「貫通孔を設けなくとも、障壁の向こうに電力伝送ができる!」をアピールすべく、非接触でも電子機器に電力供給できることを提案するアイデア対決を行いました。高専・大学の学生の全14チームが個性あふれる「壁」を設定し、その壁を超えるWPTアイデアをプレゼン・デモ展示・動画などで披露しました。
 厳正な審査により最優秀賞は九州大学の「45% RF-DC Efficiency of Compact WPT System through Non-Human Primate」、優秀賞に豊橋技術科学大学の「整流回路でスイッチ常識と大電力の壁を越える整流回路スイッチ」が受賞しました。また、来場者の投票による特別賞に豊橋技術科学大学の「1秒の壁を越える電界結合WPT ミニ四駆」が選ばれました。


 次回のWPTコンテストはミニ四駆がWPT受電台車を牽引するミニ四駆ワイヤレス給電走行レースを9月に大阪大学で開催する予定です。

受賞者

最優秀賞 45% RF-DC Efficiency of Compact WPT System through Non-Human Primate
Kyushu University
Ramesh Pokharel,Sumin Chalise,Adel Barakat
優秀賞 整流回路でスイッチ常識と大電力の壁を越える整流回路スイッチ
豊橋技科大
宜保遼大,西岡正悟,阿部晋士
特別賞 1秒の壁を越える電界結合WPTミニ四駆
豊橋技科大
阿部晋士,西岡正悟,正木敬章,馬場涼一,宮地啓輔,宜保遼大,磯谷庄一

参加チーム(全14チーム)の発表タイトル,参加者名,審査員や会場からのコメントなど

● エントリ番号:タイトル
◇発表者、参加者:ご所属
概略説明
・コメント1
・コメント2
・コメント3
● 1:マイクロ波融雪用の電力を用いて走行するEV走行中自動給電の実現
◇小板侑司、見附明繁、大野寿紗、丸山珠美:函館高専
マイクロ波融雪用の電力を用いて走行するEV走行中自動給電の実現
・マイクロ波を用いたことで今後の応用範囲の拡大に期待します
・北海道らしい着想
・産業応用が出来るといいですね
● 2:水を入れたホースによる非接触電力伝送
◇大黒康平、粟井郁雄:リューテック
水が入ったホースを「導場路」として用い、誘電体である水によって電力が送れることを実演で示す。水中を電流が流れるわけではないので、勿論ホースは1本だけで良いところが面白いのではないか。この原理はまだはっきりとは分かっていないし、そもそも「導波路」ではなく「導場路」が成立できるかどうかも分かっていないので、このような奇妙な現象がWPT の世界に存在することを知って戴き、解明へのご協力を戴ければと願う。
・水をコンデンサの媒体として活用するアイディアは面白い
・何に使えるのかの明確なイメージが欲しいが水を使うのは面白い
・今後の発展が期待できそう
● 3:電熱インソールに向けた広域ワイヤレス電力伝送システム
◇川端康平、大橋達矢、磯貝昇吾、今岡一章、川合崇大:奈良先端大
近年、電力によって熱を放射するインソール(中敷き)が商品化されており、ワークデスクなど足元の冷える環境で用いられている。この電熱インソールには現在、有線によって電源から継続的に給電するものと、付属するバッテリーから給電するものの2つのタイプが存在している。私たちのシステムでは、この電熱インソールへ無線で給電する手法を提案する。このシステムでは、受電側に配置した補償回路によって、4×4の格子状に配置した16個の送電コイルのうち受電コイルが接近したコイルにのみ電流が流れる。これによって、消費電力の抑制および放射妨害波の低減が期待できる。
・もう少し利用シーンのひねりが欲しい。課題をもう少し具体的にイメージしたい
・足が寒くなるという日常の問題に着目したのはおもしろかった
・斬新な発想で興味をひかれます
● 4:整流回路でスイッチ 常識と大電力の壁を越える整流回路スイッチ
◇宜保遼大、西岡正悟、阿部晋士:豊橋技科大
WPTの実運用において電力反射の低減のために大電力切替整合回路が求められる。大電力切替整合回路に使用するスイッチは、大電力に耐え,長寿命であることが望まれる。2つの課題を解決できるスイッチとして、整流回路技術を応用して切替を行う整流回路スイッチを提案する。今回の発表では、整流回路スイッチを利用した6.78 MHz、数 W級の切替整合回路のデモンストレーションを行う。
・スイッチに使うという観点が面白い
・電圧ではなくインピーダンス変化で大電力(DC)スイッチを実現できるのには驚いた。面白い!
・デモが良く作りこんであった
● 5:ガラス越しの電力伝送
◇大畑遼汰:東京都市大
電力伝送方式は電界結合方式を用いて電力伝送に使用する周波数は 13.56 MHz 付近を使用します。電界結合方式は、平面電極を対向させ容量結合によって電力伝送を行う方式であり、水平方向の自由度が高く、また用いる電極の厚み及び材質の制限が無いことが特徴としてあります。具体的には、ガラスの表裏に 2 対の平行平板電極で構成し、ガラスの厚み方向で電力伝送します。
・どのようにカメラのシグナルを送るのか?どこまでできるのか?今後に期待します。
・コンデンサを1個とするアイディアが欲しい
・すぐにでも使えそう
● 6:稼働中のロボット型掃除機への常時マイクロ波電力伝送
◇松原広之、楚杰、北出大樹、椴木涼介:京都大
周波数は5.8GHz帯を用い、天井に配置した給電用アレーアンテナから移動しているロボット掃除機へマイクロ波電力伝送を行う。ロボット掃除機は常時移動しているので、位置推定を行う。この手法を用いれば、掃除中の掃除機に常時充電ができ、バッテリーによる稼働時間制限という壁を踏破できる。
・WiFiのCSMAシステムに合わせて送電システムの提案は面白い
・アンテナ技術と電力伝送の壁をなくす課題であり期待します
・ルンバへの応用を軸に、理論を展開しておりわかりやすかった
● 7:廃線レールを応用したEV走行中自動給電
◇大野寿紗、佐藤大輝、小板侑司、見附明繁、山本愛理、丸山珠美:函館高専
廃線レールを応用したEV走行中自動給電
・廃線レールを使う着想は面白い。技術的な見極めが欲しい
・考えが独創的で面白い!
・実験結果に期待します
● 8:45% RF-DC Efficiency of Compact WPT System through Non-Human Primate
◇Ramesh Pokharel, Sumin Chalise, Adel Barakat: Kyushu University
This idea presents a co-design approach for a highly efficient wireless power transfer (WPT) technique considering the complex impedance matching by taking the electrical properties of biological tissues into account and the WPT system is implemented using defected ground structure (DGS) resonators.
At first the system is matched in the air and later used in biological tissues where impedance mismatch is estimated between the WPT Receiver (Rx) and rectifier circuit. Then to overcome this mismatch the system in Non-Human Primate (NHP) is matched by the proposed complex conjugate impedance matching technique.
The proposed matching technique is able to bring back the RF-DC power conversion efficiency (PCE) very close to that of the system being used in the air.
Experiment in different cases was carried out where the fabricated system achieves the overall RF-DC PCE of 49.8% in the air 34% in the chicken with conventional conjugate matching technique and improved to 45% in the chicken with the proposed matching technique. Also the overall efficiency is almost constant over wide input power range.
・鶏肉を使用した電力伝送実験を行っている。
・体内でマッチングを取り直すアイディアは評価できる
・低周波では当たり前に使えるのに高周波で経費マッチングをとっていて小型化軽量化は面白い
● 9:電波利用用途の壁を超えるレーダ波エネルギーハーべスティング
◇森下史也、藤野義之:東洋大
電波方式における無線電力伝送が検討されつつある。この分野から見るとレーダの分野においては利用用途の壁を越えてX帯に対応するレクテナ用整流回路を作成しレーダ用機器の併用の可能性に関して述べる。
・レーザの強いパワーに着目した点が面白い
・将来に期待します
● 10:台風戦記 ~WPT技術を応用した台風時の停電対策~
◇田仲風花、外間円佳、安山千鶴、西銘ティナ:沖縄高専
私たちの提案する技術は、電柱間における電力伝送を有線と無線でハイブリット化することを目的とする。私たちの地元沖縄では台風の影響で停電することが多いが、その原因は主に電線の断線によるものである。そういった災害時に安定して電気を届ける技術があることで、安心した生活を送ることができると考える。そこで、既存の電柱に無線電力送信の送受信機を取り付け、断線した場合に無線電力伝送に切り替える手法を提案する。
・光という視点は面白い。実現性の肉付けの検討を期待します。
・地域性のある良いアイディアです
・台風のみでなく様々な災害時に有用だと思います。ぜひ実用化させてください。
● 11:(参加辞退)
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● 12:工場内での移動型産業用ロボットへの無線電力伝送
◇泉谷和博、志村洸太、依田憲佑、須田順子:東京工科大
昨今の無線電力伝送では磁界および電界の結合により近距離の無線給電を実現しているが、遠距離における伝送は拡散の少ない高周波の電磁波により行われる。従来の無線給電に対応した移動型の産業用ロボットは特定の場所の限られた充電スポットでしか給電が出来なかったが、本発表では移動している状態においても連続的に給電できる無線電力伝送システムを考案し、より広範囲の距離に伝送する課題を克服する。
・まだ電力伝送できていないが、アンテナと回路を組み合わせて考えているものが面白い
・良く検討されていました。
● 13:ウェアラブル端末への"ウェア"を介した給電
◇馬場涼一:豊橋技科大
ウェアラブル端末へ、椅子や布団に埋設した電極から、服に埋設した電極を介してウェアラブル端末へ無線給電を行う。
・もっとユースケースを広げてほしい
・人体にどのような影響がでるかなど色々心配なところはあるが、発想はおもしろい。
・WPTの可能性をみました
● 14:1秒の壁を越える電界結合WPTミニ四駆
◇阿部晋士、西岡正悟、正木敬章、馬場涼一、宮地啓輔、宜保遼大、磯谷庄一:豊橋技科大
これまでに行われたミニ四駆コンテストの世界記録 1.192秒を越え更に1秒の壁の突破を目標とした発表です。13.56MHz を使用した電界結合方式を用いて電源、結合器整流回路全てを設計・試作したオリジナルマシンで挑みます。
・何に使えるかはともかく目的が分かりやすい。進化を感じた
・整流回路の工夫が良い
・さらなるスピードアップが楽しみです
● 15:目の前の壁を伝え!構造物を伝送路とした無線電力伝送
◇大島尭隻:名古屋工大
筐体や配管などの、既設の金属製構造物を伝送路とした無線電力伝送の実証を行う。28MHz帯における、自己共振型のアンテナを用いる。アンテナと構造物の間は電界により結合する。アンテナと対地間の容量により回路が構成され、構造物中の電荷の移動によって電力が伝送される。
・見えないものを利用する着想は面白い
・建物の鉄筋などを活用した電力伝送のアイディアは面白い
・実用化が期待できますね

会場スナップ

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