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第21回研究会
●第21回Webインテリジェンスとインタラクション研究会
日時 2011年11月7日(月) 9:30〜16:35
   2011年11月8日(火) 9:00〜15:45
会場 大阪大学中之島センター
(〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53)
http://www.onc.osaka-u.ac.jp/

→プログラム →特別講演 →学生奨励賞 →質疑応答議事録 →学生参加報告(PDF)
→運営委員会

2011年11月7日(月)〜8日(火)に,大阪大学中之島センターにて「第21回Webインテリジェンスとインタラクション研究会が開催されました.講演件数は,18件(ロング発表は7件,ショート発表11件)で,参加者数は104人(内学生63人)でした.一般講演では,地理空間情報,情報ナビゲーション,情報推薦,ユーザ行動分析とWeb,テキストマイニングなどに関する発表がありました.



招待講演は,「オントロジーの構築と利用」というテーマで,大阪大学の古崎晃司氏に「専門性の高い領域での大規模オントロジー構築」について,青山学院大学の森田武史氏に「日本語Wikipediaからの大規模オントロジーの半自動構築と応用」について,大阪大学の笹嶋宗彦氏に「オントロジー利用アプリケーションの構築と実応用」についてご講演いただきました.また,第20回研究会から実施している学生奨励賞の評価も行い,優秀な研究・発表に対して同賞を進呈することにいたしました.懇親会は,新世界の串かつ屋で行い,大阪ならではのグルメを堪能していただきました.


一般発表の様子です


一般発表の様子です


一般発表の様子です

一般発表の様子です


懇親会は新世界で行いました

懇親会の様子です


串カツは当然二度漬け禁止です

表彰式の様子です

発表者の方には,写真掲載の許可をいただきました.ありがとうございました.
 
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プログラム
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■11月7日(月) (9:30〜受付)

□9:50-10:00 開会の挨拶 (土方嘉徳 委員長)

□10:00-11:30 セッション1:地理空間情報
座長:宮森 恒 (京都産業大学)
副座長:梶並 知記 (東京工科大学)
 (ロング発表)
 1. ジオコーディングにおけるランドマークの地理的特徴と非地理的特徴の
  依存度調査
  細川 宜秀(群馬大学)
 2. 地域に依存した呼称分布の類似性に基づくオブジェクト抽出
  山口 由貴, 北山 大輔, 角谷 和俊(兵庫県立大学)
(ショート発表)  3. 複数情報端末間の画面重ね合わせ操作による地域情報検索方式
  安達 萌絵,北山 大輔,角谷 和俊(兵庫県立大学)

□11:30-13:00 昼休み (90分)

□13:00-15:00 招待講演: オントロジーの構築と利用
司会:笹嶋 宗彦 (大阪大学)  4. 専門性の高い領域での大規模オントロジー構築
  古崎 晃司(大阪大学)
 5. 日本語Wikipediaからの大規模オントロジーの半自動構築と応用
  森田 武史(青山学院大学)
 6. オントロジー利用アプリケーションの構築と実応用
  笹嶋 宗彦(大阪大学)

□15:00-15:15 休憩 (15分)

□15:15-16:35 セッション2: テキストマイニング
座長:松下 光範 (関西大学)
副座長:灘本 明代 (甲南大学)
 (ショート発表)
 7. リンクとコンテンツを利用したスパムブログ検出
  吉田 大修,青野 雅樹(豊橋技術科学大学)
 8. 電子掲示板からの違法文章抽出の一検討
  一野瀬 翔吾, 湯川 高志(長岡技術科学大学)
 9. A Basic Study of Semantic Relatedness Estimation Using Layout
  Information of Wikipedia Documents
  Patrick Chan, Yoshinori Hijikata, Shogo Nishida(大阪大学)
 10. テキストデータの理論的サンプリング
  松村 真宏(大阪大学)

□18:00-20:00 懇親会(開始時刻には,若干の変更がある場合がございます)


■11月8日(火) (9:00〜受付)

□9:30-11:20 セッション3: 情報ナビゲーション
座長:高間 康史 (首都大学東京)
副座長:杉原 太郎 (北陸先端科学技術大学院大学)
    北山 大輔 (兵庫県立大学大学院)
 (ロング発表)
 11. 看護手順知識の構造化とタブレット型閲覧支援ツールの試作
  西村 悟史,笹嶋 宗彦,來村 徳信,ウイリアムソン彰子,木下 智香子,
  服部 兼敏,溝口 理一郎(大阪大学)
 (ショート発表)
 12. 時系列データの探索的分析を支援するグラフ型インタフェース
  蓮井 大樹,田中 和広,松下 光範(関西大学)
 13. 比較対象に着目したグラフの言語表現の生成
  末吉 れいら,田中 和広,松下 光範(関西大学)
 14. モバイル環境におけるサーバ位置情報に基づくデータ配信方式
  永嶋 涼平, 酒田 信親, 土方 嘉徳, 西田 正吾(大阪大学)
 15. 企業SNSを利用した就職広報に対する大学生への指導方法の展望
  山口 大輔,丸山 達也(桐蔭横浜大学)

□11:20-12:40 昼休み (80分)

□12:40-14:00 セッション4: 情報推薦
座長:大向 一輝 (国立情報学研究所)
副座長:有吉 勇介 (尾道大学)
 (ロング発表) 
 16. 価格個人化推薦システム
  神嶌 敏弘,赤穂 昭太郎(産業技術総合研究所)
 17. 口コミに含まれるオノマトペを用いた食品嗜好性検索システムへの応用 
  加藤 亜由美,深澤 佑介,佐藤 知正,森 武俊 (東京大学)
 (ショート発表)
 18. グループ内の人間関係による選好変化を考慮した推薦手法の提案
  高間 康史,和泉 広史(首都大学東京)

□14:00-14:10 休憩 (10分)

□14:10-15:30 セッション5: ユーザ行動分析とWeb
座長:井口 誠 (Kii)
副座長:奥 健太 (立命館大学)
 (ロング発表)
 19. Wikipediaにおける編集者間議論ページの分析とそのモデル化
  朱 成敏,武田 英明(総合研究大学院大学)
 20. Web空間上の情報伝播に伴うユーザの行動特性の分析
  岡田 尚,桑名 栄二,赤埴 淳一(NTT)
 (ショート発表)
 21. DataWikiにおけるユーザ行動の分析
  濱崎 雅弘,江渡 浩一郎(産業技術総合研究所)

□15:30-15:45 閉会の挨拶 (土方嘉徳 委員長)

 
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招待講演:「オントロジーの構築と利用」
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司会:笹嶋 宗彦 (大阪大学)
専門家の持つ深い知識や集合知を知的システムで利用するための技術として, オントロジー工学に対する関心が高まっている.本講演では,医療など専門性 の高い知識のオントロジー構築,既存の知識資源からのオントロジー半自動構 築,応用アプリケーション構築の実際など,様々な側面からオントロジー構築 と利用について紹介する.
タイトル:専門性の高い領域での大規模オントロジー構築
講演者:古崎 晃司 (大阪大学)
概要:
オントロジーは対象世界に現れる概念の本質的な性質を捉え体系化することにより,知識処理システム開発の基盤を与える.オントロジー構築においては,対象とする概念群の共通性と相違点を適切に捉えることができる一貫性を持った概念化が重要となる.特に,専門性の高い領域での大規模なオントロジー構築の際には,対象領域に関する深い理解と,その知識を適切に概念化するオントロジー的な考察の両立が必要とされる.本発表では,校正労働者事業の一環として実施されている「臨床医学オントロジーの構築」を例として,専門性の高い領域での大規模オントロジー構築について述べる.



タイトル:日本語Wikipediaからの大規模オントロジーの半自動構築と応用
講演者:森田 武史 (青山学院大学)
概要:
本講演では,日本語Wikipediaにおける様々なリソース(カテゴリーツリー,一覧記事,ダイレクトリンク,Infobox,Infoboxテンプレート)から,概念及び概念間の関係(Isa関係,クラス−インスタンス関係,プロパティの定義域及び値域,同義語,インスタンス間関係)を抽出することにより,高精度かつ大規模な汎用オントロジー(日本語Wikipediaオントロジー)を半自動的に構築する手法を紹介する.また,日本語Wikipediaオントロジーを検索するためのインタフェースおよびWeb APIとその応用として,日本語Wikipediaにおけるデータ比較分析ツールおよび動作を伴う対話を実現可能なヒューマノイドロボットNAOについても紹介する.



タイトル:オントロジー利用アプリケーションの構築と実応用
講演者:笹嶋 宗彦(大阪大学)
概要:
オントロジー構築ツールの整備が進み,特に医療,バイオ,法律といった専門家同士が高度な知識を共有することが必要とされる分野では,ドメインの専門家が主導する形で様々なオントロジーが構築されつつある.また,専門性が高くない分野でも,検索や推薦などの様々なタスクを意味レベルで支援するための道具として,オントロジーが利用され始めている.しかし,オントロジーを活用するソフトウェアの開発は現状では決して簡単とは言えず,構築支援の方法論が望まれている.

これまでに,オントロジー利用アプリケーション構築の定式化を目指して,モバイルサービス,自動車内での情報推薦,看護マニュアル統合など,異なる様々な分野で産学共同研究を行い,オントロジーを利用する実規模アプリケーションを研究開発してきた.本講演では,これまでの経験から得たアプリケーションにおけるオントロジー利用実態の決定,オントロジーの構築,アプリケーション規模の拡大,構築システムの評価などについて紹介する.

 
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学生奨励賞
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WI2研究会では,学生による優秀な研究発表に対して学生奨励賞を授与し,学生のさらなる研究活動を奨励することにしております.学生による全ての発表に対して,WI2研究会実行委員の全員と,各セッションの座長・副座長(ご自身の担当のセッションだけでなく,他のセッションも審査していただております)により,研究内容とプレゼンテーションの両方の観点から,評価を行っております.今回は,評価の高かった,以下の発表者が学生奨励賞を受賞されました.

学生奨励賞
加藤 亜由美さん:「口コミに含まれるオノマトペを用いた食品嗜好性検索システムへの応用」 (東京大学)
 (共著者:深澤 佑介,佐藤 知正,森 武俊)



受賞された加藤亜由美さん


 
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質疑応答議事録
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■ 平成23年11月07日(月)
10:00-11:30 セッション1:地理空間情報
座長:宮森 恒(京都産業大学)
副座長:梶並知記(東京工科大学)
(ロング発表)

1. ジオコーディングにおけるランドマークの地理的特徴と非地理的特徴の依存度調査
 ○細川 宜秀(群馬大学)
概要
本稿では,ランドマークの地理的特徴と非地理的特徴が,著者らが開発したジオコーディングの精度におよぼす影響を実験的に調べ,ジオコーディング における地理的特徴と非地理的特徴を組み合わせて使用することの有効性を明らかにする.さらに,それを踏まえたランドマーク・メタデータベース自 動生成機能の構成方式の簡素化の可能性について検討する.
Keywords: ジオコーディング,情報抽出,メタデータ自動生成,コーパス解析

質疑応答議事録
聴講者からの質問は,予稿集の図1(発表スライドでも用いられていた)に関するものと,TFIDFの使用に関するもの,応用に関するものの3点に大別された. 図1に関して,聴講者からレイヤ-1とレイヤ-2を隔てる破線の意味を問う質問があった.発表者は,まず,住所が階層構造(木構造)を持つことを説明した.次に,図1の例は,ニューヨークという語が与えられた場合の木構造を示し,ニューヨークは葉であり,ニューヨークの出現箇所の下に破線を引いた形であると説明した.破線より上方の空間であるレイヤ-1では複数のニューヨークという語が現れており,これが水平方向の曖昧性を示し,破線より下方の空間であるレイヤ-2は特定のニューヨークの語に対する複数の候補が現れる垂直方向の曖昧性を示していると回答した. TFIDFの使用に関して,聴講者から「TFのみ使用しているのではないか?」との質問があった.発表者は,TFIDFを使用している旨を回答した.続けて聴講者から「TFIDFを用いる根拠はなにか?」との質問があった.発表者は,特に根拠は無いがよく使われているので試しに使用した旨を回答し,また直前の質問に関連して,実はTF(1になってしまうことが多い)よりむしろIDFを利用していると回答した. 応用に関しては,聴講者から「緯度経度情報を取ろうというわけではなくて,地名の包含関係をつかまえて,“ウォール街にある美味しい店”のような言葉による検索に使うものか」といった質問があった.発表者は,言葉による検索とは異なるものであり,緯度経度情報を加えている,また今後は実世界に配置されているセンサからの情報との統合も視野にいれて応用を考えている旨を回答した.
2. 地域に依存した呼称分布の類似性に基づくオブジェクト抽出
 ○山口 由貴, 北山 大輔, 角谷 和俊(兵庫県立大学)
概要
方言や特徴のある食べ物のように,呼称とオブジェクトの対応関係は地域ごとに異なる.我々は,Wikipediaから文の構造パターンを用いて呼称‐地域‐オブジェクトの一連の組を抽出し,呼称とオブジェクトの対応関係を発見する手法をこれまでに開発した.本研究では,オブジェクトに対して存在する地域に依存した呼称の分布の類似度を定義し,意味的関係が存在するオブジェクトを抽出する手法を提案する.本稿では,分布の類似度に関して実験を行い,関係のあるオブジェクト抽出が行えることを確認した.このように複雑な呼称とオブジェクトの対応関係を明らかにすることで,地域依存のクエリ拡張や,地域依存のオブジェクト検索などのアプリケーションに応用可能である.
Keywords: Wikipedia,地域情報検索,知識抽出

質疑応答議事録
希望せず
(ショート発表)

3. 複数情報端末間の画面重ね合わせ操作による地域情報検索方式
 ○安達 萌絵,北山 大輔,角谷 和俊(兵庫県立大学)
概要
街角における地域情報の取得手段として,近年,デジタルサイネージが普及しつつあるが,そのコンテンツの提示は,サイネージの提供者によって静的に決定されており,ユーザの情報要求に適したコンテンツが提示されない.一方,個人用携帯端末を用いて任意の地域情報を検索することが可能であるが,小型の携帯端末では入力操作が煩雑である.そこで本研究では,地図案内板に対して携帯端末を重ね合わせて画面に部分的な案内板を表示する操作と地理情報から,ユーザの要求を推定し,自動的にクエリを生成する方式を提案する.本稿では,定義した操作のパターンから情報要求を推定し,地域情報検索を行うための方法について述べる.
Keywords: 地理情報,検索意図,ユーザ操作,クエリ生成,デジタルサイネージ,携帯端末

質疑応答議事録
聴講者からの質問は,携帯端末でアナログ案内図内のオブジェクト位置情報を取得することに集中した. 聴講者から,対象としている案内図がどのようなものか,またデジタルかアナログなのか確認する問いがあり,発表者は,駅構内にある地図が描かれている周辺地域案内図のようなもので,デジタルとアナログ両方を対象にしていると回答した.次に,聴講者より,案内図内の位置と,携帯端末のカメラに映した地図画像の座標の対応付けの方法について質問があった.質問の主旨は,「地図のどこを映しているのか,何が映っているのかが大体ではなく正確に取得できないと,映っていない他の関連情報が何であるかわからないのでは?」ということである.そして,正確な座標の対応付けを行うためには高精度で画像認識する必要があり,それは高コストではないかとの質問もあった.発表者は,現状は正確性を犠牲にして,大体映っているものが何か取得しているが,精度やコストについては今後検討する旨を回答した. その他の質問としては,地図上のオブジェクト間の関連をどのように取得するのか問うものがあった.発表者は,オブジェクトの持つカテゴリと,オブジェクト同士の位置関係により取得していると回答があった. 聴講者からのコメントとして,先の質問にあった座標の対応について,フォトマップを参考にすればよいのではないかというものがあり,発表者は検討する旨を回答した.また,研究の発想は面白いが,ユーザが案内図上で着目しているところに絞り込むのは勿体ないというものがあった.「案内図は公共性の高いものである一方,個人の端末は公共性の低いものであるから,公共性の高い案内図からの情報を個人化して端末に取り込むことを考えるのも良いのではないか」とのことで,発表者はこのコメントを肯定的に捉え,今後検討する可能性がある旨を回答した.

15:15-16:35 セッション2: テキストマイニング
座長:松下 光範(関西大学)
副座長:灘本 明代(甲南大学)

(ショート発表)

7. リンクとコンテンツを利用したスパムブログ検出
 ○吉田 大修,青野 雅樹(豊橋技術科学大学)
概要
近年,ブログのウェブコンテンツ作成と配信の容易さが引き金となり,アフィリエイト収入を得ること目的とするものや,特定サイトに誘導することを目的としたスパムブログが増えている.そのため,スパムブログの分析や検出といった研究が進められている.本研究では機械学習を用いて日本語ブログ中のスパムブログを特定し,より高確率でスパムブログを検出することを目的としている.そして,スパムブログの2つの目的に着目した素性を提案する.また,提案した素性を機械学習のひとつであるSVMを用いた検証実験結果を報告する.
Keywords: スパムフィルタリング,スパムブログ,機械学習,SVM

質疑応答議事録
聴講者より,スパムと非スパムをどう分類するのか?との質問があり,発表者からは本研究ではオリジナルの文章が載っていないのをスパムブログとして扱っているという回答があった.さらに同聴講者より,その定義だとリブログもスパムブログになってしまうのではとの質問があり,発表者からは,現段階ではスパムブログになってしまうが,今後の課題であるとの回答があった. また,別の聴講者より,研究の目的が不明瞭ではないかとの質問に対しては,発表者からは本研究の一番の目的はブログ検索品質の向上であるとの回答があった. さらに,別の聴講者より実験の正解データの収集方法に関する質問に対しては,独自に収集したとの回答があった.
8. 電子掲示板からの違法文章抽出の一検討
 ○一野瀬 翔吾, 湯川 高志(長岡技術科学大学)
概要
ブログやSNS,電子掲示板といった消費者生成メディアへ,犯罪の予告・誘導・告白など違法な情報が投稿され社会問題となっている.このような問題に対し,インターネット上の投稿文章から違法な投稿を自動的に抽出することが求められている.本稿では,電子掲示板を対象として,一般的な機械学習手法を応用した違法文章抽出システムについて実験的に評価した.機械学習手法としてPaul Graham手法,Robinson手法,Robinson-Fisher手法の3種類のベイジアンフィルタと,SVMを用いた.その結果,Paul Graham手法でF値60.5%と最も高い性能が得られた.また,違法な文章は非違法な文章に比べて非常に少なく,同一の文章が数多く投稿されていることが分かった.
Keywords: 消費者生成メディア, 違法文章抽出, ベイジアンフィルタ, サポートベクターマシン

質疑応答議事録
聴講者より実験の違法文章と非違法文章の重なり等は区別していないのかとの質問に対して,発表者からは特に区別していないとの回答があった. その回答に対して,重なりの多い文章の特徴はなにかと再度質問があり,発表者からは犯罪を誘発するような文章が多かったとの回答であった. また,違法なデータとはどんなデータかとの質問に対しては,言葉自体が違法な言葉ではなく,その前についている人名が違法であると考えたとの回答であった. さらに,違法な行為に誘導するような単語とはどういう単語かとの質問に対しては,単語レベルではなく,犯罪を薦めるような行為の投稿を違法としたとの回答であった. 最後に,訓練データを振り分けるときの基準はどうしているのかとの質問に対しては,発表者一人が人手で判定したとの回答だった.
9. A Basic Study of Semantic Relatedness Estimation Using Layout Information of Wikipedia Documents
 ○Patrick Chan, Yoshinori Hijikata, Shogo Nishida(大阪大学)
概要
Computing semantic relatedness is an important problem for fields such as information retrieval and natural language processing. Recent research finds out the semantic relatedness by examining the relationships of the words and phrases from the Wikipedia data, which contains diverse, rich human knowledge. Our work attempts to extend the most representative Wikipedia mining approach, ESA (Explicit Semantic Analysis). ESA uses TFIDF to compute the relevance of a word and a concept, although it cannot fully capture the relevance. We aim to consider both TFIDF and layout information, such as a word's text style and a word's location of an article, to better estimate the relevance.
Keywords: ESA, Semantic Relatedness, Regression, Wikipedia, Layout Information

質疑応答議事録
回帰分析を行ったのになぜ結果が悪くなったのかとの質問に対し,正解データを3人が作成したので,3人の結果が一致していないケースが多い為,結果が悪くなったとの回答であった. また,線形回帰の正解データは平均値をつかったのかとの質問に対しては,平均をつかったとの回答であった.
10. テキストデータの理論的サンプリング
 ○松村 真宏(大阪大学)
概要
本稿では,テキストマイニングの分析対象となるテキストデータの分量について考察する.これまでは基本的に「多ければ多いほどよい」と見なされてきたので,入手できるデータは全て使うことが前提であり,分量が多すぎるときはサンプリングして使われることが多かった.しかし,分析に必要なテキストの分量を見積もることができれば,データ収集およびデータ分析のコストを最適化できる可能性がある.そこで本稿では,テキストデータの理論的サンプリングに関する基礎的考察を行う.
Keywords: テキストマイニング、テキストデータ、理論的サンプリング、理論的飽和度

質疑応答議事録
聴講者からつぶやきの種類によって,異なる傾向があるかとの質問に対し,発表者からは,今回はiPhoneのみなので多数の種類では実験していないとの回答であった. さらに,twitter以外のデータに関してはどうなのかとの質問に対しては,たぶん異なる傾向がでると思うが,今の段階ではわからないとの回答であった.


■ 平成23年11月08日(火)
9:30-11:20 セッション3: 情報ナビゲーション
座長:高間 康史(首都大学東京)
副座長:杉原 太郎(北陸先端大学)・北山 大輔(兵庫県立大学)
(ロング発表)

11. 看護手順知識の構造化とタブレット型閲覧支援ツールの試作
 ○西村 悟史,笹嶋 宗彦,來村 徳信(大阪大学),ウイリアムソン彰子,木下 智香子(三木市民病院),服部 兼敏(神戸市看護大学),溝口 理一郎(大阪大学)
概要
看護師が看護現場での対応力を高めるためには,看護手順だけでなく,手順の目的や代替手段,予想される結果,回避すべき事象などを学ぶ必要がある.看護マニュアルからそうした知識を学ぶことを支援するために,著者らは,人間の行動の表現モデルCHARM(Convincing Human Action Rationalized Model)を提案する.CHARMは,治療目的を達成するための行為の列,すなわち新人看護師が学ぶべき看護手順だけでなく,それら手順の目的や,同じ効果を得られる代替手段,手順実施の際に回避すべき事象などの知識も構造化して表現する.看護マニュアルをCHARMによって構造化することによって,看護師の現場対応力向上に貢献するマニュアルを実現できると考えられる.著者らは,実際に三木市民病院で使用されている心肺蘇生マニュアルをCHARMの形式で記述し,さらにタブレット型のPC上で閲覧するためのプロトタイプシステムを開発した.
Keywords: CHARM,看護手順,知識の構造化,オントロジー

質疑応答議事録
聴講者より、マネジャー1名のコメントだけで評価として良いのかとの質問があり、発表者より、近々行われる集合研修で複数の看護師を対象とした本格的な評価を行う予定であるとの回答があった。聴講者より、教育のアプリケーションとして開発している本システムが、現場でどのように適用できると考えているのか教えて欲しいという質問があり、発表者からはOJTではなく、個人学習用の道具としての利用を考えているという回答があった。聴講者より、自然言語で記述されているので、構造化されているメリットを生かしていないのではという意見があり、発表者から、本システムのメリットは木構造で描かれていることで、目的と行為の関係が明示できる点である、つまりオントロジーの利点は生かされているとの回答があった。聴講者より、症状など、ユーザが調べたいことをキーに検索できるようにはならないのかという要望が出された。発表者からは検討したいとの回答があった。聴講者より、看護師だけを対象としているのかと質問があった。医師の支援は診断支援になり、ルールが記述しやすいのではないか、看護師を対象とするのは明文化されていないルールの理解を促進させることが目的かが知りたいことが質問の意図であった。それに対し発表者より、理解は正しい旨の見解が出され,その上で看護師の支援に注力したいとの回答があった。聴講者より、学習支援のツールとしては未完成ではと疑義が呈され、現状は閲覧支援ツールとしての性格が強いとの回答があった。聴講者から、デバッグのためにログが記録可能なはずであるから、それを利用して詳細な分析して欲しいとのコメントがあった。聴講者から、看護師の業務ではルールを遵守することだけが重要ではないので、ルールの厳密な記述に基づく本支援システムの適用限界について説明が求められ、発表者および共著者から、まずは新人教育支援のためにルールを守ることを記述することに力点を置きたい。いずれ、対象をベテランなどに広げていく予定であり、その段階になって初めて適用限界が見えてくると考えているとの見解が示された。
(ショート発表)

12. 時系列データの探索的分析を支援するグラフ型インタフェース
 ○蓮井 大樹,田中 和広,松下 光範(関西大学)
概要
本研究では、探索的データ分析におけるユーザの試行錯誤を支援するためのグラフ型インタフェースを提案する。探索的データ分析では、ユーザは複数のデータを見比べて相関を見出したり、自らの仮説を支持するデータを探したりする。このような分析を支援するため、提案するインタフェースでは2つのグラフを並べたり重ね合わせたりする機能や、グラフから詳細な情報へアクセスするための機能を備えている。これらの機能により、ユーザは異なるグラフの比較や、背後にあるデータへのアクセスを、同一のインタフェースからシームレスに行えるようになる。
Keywords: 探索的データ分析、情報編纂、時系列データ、情報可視化

質疑応答議事録
聴講者より、グラフを移動表示できる機能を実装していたが、最初からグラフを重畳して表示するほうが良いのではと意見があり、発表者から、探索的データ分析を行いたいのでグラフを操作可能にしていることは重要である。今回例示した年数を一致させる移動表示だけではなく、季節や年数をずらすことも可能と回答があった。聴講者より、グラフを重ね合させた際、軸に表示された文字(年数)が重なって見えづらいので改善の必要があるとのコメントがあった。聴講者より、試行錯誤して比較することに適したトピックとそうでないものがある。それについて何か知見や考えはあるかという質問があった。発表者から、まず試作のために比較容易なものだけをピックアップしたので今後の課題としたいとの回答があった。聴講者より、データ探索と言っているが、データの一覧性が良くないとのコメントがあった。聴講者から、新聞から価格の時系列データを拾い出しているが、どのように抽出したのかと質問があり、文章内の数字の部分だけを手動で抜き取ったと回答があった。
13. 比較対象に着目したグラフの言語表現の生成
 ○末吉れいら、田中和広、白水菜々重、松下光範(関西大学)
概要
本研究では、時系列データの特徴に着目し、複数の時系列データを比較した場合にその特徴の重み付けを変更する手法について提案する。 折れ線グラフは時系列データの傾向を理解する場面で有用な表現方法であるが、言語表現を用いてそれらを検索する場合、ユーザの質問に合致したグラフを得るのは困難である。そのため、あらかじめグラフを言語化し、その言語表現とユーザの質問とのマッチングを行う手法が提案されている。しかし複数のグラフを比較する場合、その形状の類似性に応じて、着目すべき特徴は変化することが考えられる。そこで本研究では、言語化された特徴に重み付けを行い、比較する対象に応じて特徴に付与する重みを変化させることを試みる。これにより、状況や文脈に応じた検索が可能になると期待される。
Keywords: 情報編纂、グラフ理解、時系列データ検索

質疑応答議事録
聴講者より,グラフの見方は人によって様々なので,それぞれに対応させようとすると言語表現が膨大なことになるが.網羅するつもりなのか,値の上り下がりだけで対応するのかとの質問があり,発表者より, 一般的な人がグラフを見る時に,上り下がりを注目することが多いので,現在は上り下がりのみで対応するつもりであるとの回答があった.聴講者より, 証券ツールなどで,前日終値からのあがり幅とか出す機能があるが,提案ツールはそれ以上のことができるのかという新規性を問う質問があり,発表者より,グラフから言語表現を作る所と,言語表現をマッチングさせて検索できるようにするところである.例えば,「今期注目の株はなんですか?」という質問に対して,注目の言語表現にたいして検索を可能にすることが従来できないことであるとの回答があった.聴講者より,言語表現のバリエーションはどのようなものがあるかという質問があり,発表者から,徐々に増加,乱高下,安定とかの増加減少に対して様々なバリエーションがあるのでそれらへの対応を考えているとの回答があった.聴講者から,周期性を表現するというのが重要じゃないかと思うのですが,拡張して行けば対応できるのかという質問があり,発表者から,トレンドから対応付けを見つけるというのもあったので,それらを参考に拡張可能だと考えているとの回答があった.聴講者から, 2次元の折れ線グラフがほとんどですが,他のグラフへの対応は考えているのかという質問があり,発表者から, 時系列なので,折れ線グラフのみを対象と考えているとの回答があった.それに対し聴講者から,円グラフとか言語表現が必要な物があるので,それらに対応できるようになると面白いと思うというコメントがあった.聴講者から,2つのグラフの変化の比較,例えばある増加に別のグラフで後追いで増加しているなど,を扱うとおもしろいという意見があり,発表者から,1つをメインとして,それに対しての変化を見るのは面白そうで実施したいという回答があった.
14. モバイル環境におけるサーバ位置情報に基づくデータ配信方式
 ○永嶋 涼平, 酒田 信親, 土方 嘉徳, 西田 正吾(大阪大学)
概要
小型高性能なモバイル端末の普及によりモバイル端末でも大容量のデータ通信が可能となった.特にユーザは外出時に周囲の情報を取得するためにモバイル端末を利用することが多い.そのため位置情報に基づいて情報を提供する位置情報サービスが注目されている.一方で,モバイル端末でのデータ通信量が需要予測を上回るスピードで伸びており,携帯電話キャリヤ各社が用意しているモバイル端末用の回線に大きな負荷が掛かり,近年では輻輳や通信障害などが問題となっている.本研究では,インターネット回線の負荷を軽減し,高速なデータ取得を実現するために,WiFiアクセスポイントとキャッシュサーバを一体化し,ユーザとサーバの位置情報に基づくデータ配信手法について考える.
Keywords: モバイル, GPS, 自己位置推定, WiFi, キャッシュサーバ

質疑応答議事録
聴講者より,どのような利用モデルを考えているのかという質問があり,発表者から,FONのサービスのルータのキャッシュメモリに対して行うことを考えているとの回答が会った.聴講者から,Wifiでアクセスするのではなく,ルータとはbluetoothで通信して,Wifiのアクセス量を減らすというのはできないのかという質問があり,発表者から,Wifiのみを検討しているとの回答があった.それに対して聴講者から,災害の時にはWifiすら使えないということがあったので,対処できると良いというコメントがあった.聴講者から,移動体端末だとハンドオーバーの問題があると思うが,Wifiだと切り替えが大変だという意見があり,発表者から,移動していると確かに問題だが.提案手法では移動することは想定していないという回答があった.それに対して聴講者から,キャッシュサーバにデータを置くとプライバシの問題とか,位置情報の問題があるので考慮されると良いというコメントがあった.聴講者から,誰に取ってどういうメリットがあるのかという質問があり,発表者から,キャリアにはメリットはないと思うが,ユーザに対しては速度の高速化,災害時など避難所のWifiで位置情報サービスが使えるなどのメリットがあるという説明があった.聴講者から,位置情報だとリアルタイムに変更するデータが必要だと考えられる,また,元のデータとキャッシュデータの整合性などの問題も解決しないといけないという意見があり,発表者から,地図などの静的なデータを対象としている.整合性は災害時とか通常時の切り替えができるようにしたいという回答があった.聴講者から,災害時にはやはりタイムリーな情報が必要だと思うという意見があり,静的な情報であれば,わざわざ集めてこなくてよくて,災害時用としてあらかじめ用意することができるという意見があった.発表者からは,この静的なデータをあらかじめ用意しておくというのを提案手法により自動的に対応したいという説明があった.
15. 企業SNSを利用した就職広報に対する大学生への指導方法の展望
 ○山口 大輔、丸山 達也(桐蔭横浜大学)
概要
インターネットの普及は, 企業の情報配信においてSNSの利用にまで発展, 新卒採用などの雇用にも利用され, 社会的大きな影響力を持つまでに成長した. しかし学生は, 情報の発信と受信に関して, 自己責任がどの程度あるのか, また自分の情報がWebにおいてどのくらい認知されるのか, 影響力の効果を認識できていない. そこで本稿では, 学生を対象とした企業が提供するSNSの利用意識, 認知状況を調査するため, 学生のインターネット利用に関する現状を調査した. 今後, 自己表現方法として適切な指導を行うことへの必要性を検討した.
Keywords: SNS,就職活動,意識調査,情報発受信

質疑応答議事録
聴講者から,「インターネットぐらい...」という表現はアンケートとして誘導的ではないのかという意見があり,それに対し発表者から,指摘のとおりで,適切な表現ではなかったように思う.今後改善したいとの回答があった.聴講者から,就職活動でSNSを使う場合にリテラシをきちんとしましょうということを目的としているのか,教育に活かすというのはどういうことかという質問があり,発表者から, 学生がどの程度把握しているのかを大学側が理解しないと行けないという見識が示され,それをアンケートして,把握して教育に活かしたいという説明があった.それに対し,聴講者から, SNSを使っている学生は多いが就職活動に使っておらず,リクナビとかがメインではないかという感想を持っているというコメントがあった.聴講者から,企業SNSの定義は何かという質問があり,別の聴講者から,企業内でSNSを使って,業務マネジメントなどを行うもので,学生からは通常は見えていないものという回答があった.聴講者から,学生から見えていない企業内のSNSを就職活動に利用するというのはどういうことかという質問があり,共著者から,企業内SNSという文化に触れていない学生に対しての,外部のSNSのような感覚で使うと問題が起こるのでそうならないように教育したいというのが目的ですという説明があった.

12:40-14:00 セッション4: 情報推薦
座長:大向 一輝(国立情報学研究所)
副座長:有吉 勇介(尾道大学)
(ロング発表)

16. 価格個人化推薦システム
 ○神嶌 敏弘,赤穂 昭太郎(産業技術総合研究所)
概要
既存の推薦システムは,顧客の行動履歴に基づき,顧客が好む商品を見つ出すが,これに加え,値引き提案というより積極的な対応ができるような拡張を提案する.この値引きは個人ごとに行う価格個人化の形式をとる.また,この価格個人化の,商業的に運用されている推薦システムへの顧客の信頼の影響について論じる.価格個人化機能を組み込んだ推薦システムを実現するため,協調フィルタリングを用いた推薦システムと,多腕バンディットを組み合わせ,顧客に対する行動を決定できる枠組みを提案する.嗜好データに,人工の購入履歴を加えた半人工データを用い,提案手法の有効性を示す.
Keywords: 推薦システム,多腕バンディット,価格個人化,不均衡データ

質疑応答議事録
聴講者から、「秋葉原では電化製品などの価格は、価格.comの最安値にはりついているが、そのような場合も価格の個人化は有りえるのか?」という質問があり、発表者から「狭義の価格は硬直しているかもしれないが、送料等まで含めた広い意味での価格は吾人ごとに異なると考えている。」と回答があった。 別の聴講者から「顧客型というアイデアが導入されているが、同じ一人の顧客でも商品によって顧客型は違うのではないか?」という質問があり、発表者から「顧客型は顧客と商品の組ごとに設定されている。」と回答があった。 また、「現実の販売店では価格の個人化が実際に行われていつのか?」という質問があり、発表者から「付与ポイントや送料の割引き等も含めると価格の個人化は行われている。」と回答があった。 ついで、「実験では学習は行われたのか?」という質問があり、「推薦については学習による更新は行ってないが、顧客型については学習により更新している。」と回答があった。 さらに、「実験で、活用-探索についてのパラメータは変更したのか?」という質問があり、「今回は、パラメータを変更した実験は行っていない。ただ、不買顧客型の報酬についてのパラメータγの変更は、影響が大きいと考えられる。」との回答があった。 また、「割引が有るか無いかで顧客の行動が変わるモデルを採用しているが、割引の量で行動が変わる顧客モデルも考えられるのでは?」という質問があり、「米Amazon.comが顧客ごとに割引量を乱数により変えるという実験を行っているという記事がワシントンポストにあった。」との回答があった。 さらに、「この価格個人化推薦のメリットを享受するのは販売者と顧客のどちらか?」という質問があり、「両者とも利益があると考えている。」との回答があった。
17. 口コミに含まれるオノマトペを用いた食品嗜好性検索システムへの応用
 ○加藤 亜由美,深澤 佑介,佐藤 知正,森 武俊 (東京大学)
概要
食品や飲食店の口コミにおいてオノマトペが多く利用される.本稿では食品カテゴリごとに異なるオノマトペを未知のオノマトペも含め自動で抽出する方法を提案,評価を行う.評価結果から46%以上の精度で食品ごとのオノマトペを抽出できた.また,ベーグルなど3種の食品において,62個がその食品にふさわしいオノマトペとして抽出され,うち既存辞書に登録されていない18個を見つけることができた.さらに,抽出したオノマトペを利用し飲食店に応じたオノマトペを提示する嗜好性検索システムを構築した.評価結果からシステムにおいて,オノマトペを用いることで直感的な検索ができ,その食品や店を選ぶ際の有意な差になることを示すことができた.
Keywords: オノマトペ,TFIDF,辞書の構築,嗜好性検索,口コミ抽出

質疑応答議事録
聴講者から「食品嗜好性検索では何が出力されるのか?」という質問があり、発表者から「頻出オノマトペのレーダーチャートが提示される。」との回答があった。 さらに「個人によって食感はばらつきがあると考えられるがそれに対応しているのか?」という質問があり、「この検索では個人化はしていない。」との回答があった。 また、「食品関係のオノマトペについて新語の時間的な発生頻度はどの程度か?」という質問に対して、「今回の実験では抽出された62個のオノマトペ中18個が辞書にない未知のオノマトペであった。 しかし、時間的な発生頻度は調べていない。」と回答があった。 さらに、「TF-IDFでは、何の個数を使っているのか?」という質問があり、「あるオノマトペの食べログ全体での出現回数と、あるオノマトペの特定の食品についての食べログ中での出現回数であり、単語の出現回数でカウントしている。」との回答があった。 ついで、「この研究でのオノマトペ辞書は、オノマトペを集めただけのものであるが、オノマトペの意味が分かる辞書やシソーラス・例文集などを自動的に作ることは出来るか?」という質問に対して、「今回の研究は食品嗜好検索システムに重点があり、検索処理を効率化するためにオノマトペ辞書を作った。」と回答があった。 また、「オノマトペを使って、自分と嗜好の近い人を検索出来た方が、利用者に役立つのではないか。」というコメントがあった。
(ショート発表)

18. グループ内の人間関係による選好変化を考慮した推薦手法の提案
 ○高間 康史,和泉 広史(首都大学東京)
概要
近年,利用者の興味・嗜好に合ったアイテムを推薦する情報推薦技術の研究が行われており,実サービスも多く存在する.既存の情報推薦システムでは,個人に対する推薦を扱ったものが多い.一方,デジタルサイネージによる広告や,旅行計画立案,忘年会などの会場決定などにも情報推薦技術の活用が期待できるが,これらに対しては個人ではなくグループが推薦対象となるため,それに適した推薦手法が必要になる.本稿では,グループにおける人間関係や立場,個々のこだわり度といった嗜好以外の要因も考慮して推薦を行う手法を提案し,実際のグループによる意思決定結果と比較して有効性を考察する.
Keywords: 情報推薦,グループ向け推薦,人間関係,選好変化

質疑応答議事録
聴講者から「人間関係行列の例で、1つの要素の値が10となっているが、それはどういう意味か?」という質問があり、発表者から「他人の意見に必ず流されてしまうということを表現している」との回答があった。 また、「実際にこの手法を使う場合、人間関係行列を設定する方法は?」という質問があり、「幹事が構成員の様子を見て設定するのがよいのではないか。」という回答があった。 ついで、「この手法が対象とするグループの規模感は?」という質問があり、「多くて20人弱ぐらいを考えている。」という回答があった。 さらに、「最近の会社では、部長・課長・新人が一緒に食べに行くということは無いのではないか?」という質問があり、「会社では少なくなってきているかもしれないが、大学の研究室やサークルなどではありえると考えている。 今回の手法は人間関係一般を表現できるので会社など状況を限定する必要はない。」と回答があった。 また、「この人が勧めるなら私はついていくというのが表現できれば、もっと面白くなるのではないか。」というコメントがあった。

14:10-15:30 セッション5: ユーザ行動分析とWeb
座長:井口 誠(Kii株式会社)
副座長:奥 健太(立命館大学)

(ロング発表)

19.Wikipediaにおける編集者間議論ページの分析とそのモデル化
 ○朱成敏,武田 英明(総合研究大学院大学)
概要
Wikipediaは誰もが自由に編集ができる特徴から編集者達はそれぞれ持っている知識をWikipediaへ記述することができ、編集者と閲覧者が知識を共有することが可能になった.共同編集という特徴は編集者間の考えの差または編集方向に関する意見の差などが生じる可能性も同時に持っている. Wikipediaの編集者達はこういった事案を解決するために議論を行っている. しかし、議論の中では無意味な論争や編集者間の誹謗中傷などが含まれる議論も存在する.特にWikipediaの場合、結論形成における非効率的な議論は記事の信頼性に関わる可能性も存在する. そこで、本研究では議論を評価するため評価基準を提案し、評価実験により提案手法の有効性と妥当性を検証する.評価実験より評価モデルを通じて議論の自動判定への可能性を確認した.
Keywords: Wikipedia, ウィキペディア, 議論の評価,コミュニケーションスキル

質疑応答議事録
議論データに関するものとして,選んできた議論データ50件の内容はジャンルなどを分散させたものであるのか,特にアニメや鉄道などは信仰心が強いものが多く,それがどう影響するのか分からず,この点に関して何か考慮された点があるか,という質問があった.これに対し,アニメや鉄道などの記事に対しては賛成や反対といった議論が多く,むしろこのようなジャンルの議論の方が,政治や経済の問題よりも比較的真剣に行われていた.今回は歴史や社会などの問題に絞って選んだので,特にこの点に関するバラつきなどはなかった,との回答があった.また,議論を活性化させるような仕組みを導入するのか,または荒らしを自制するような仕組みを導入するのか,といった研究の方向性に関する質問があった.これに対し,結論が出せない議論もあり,記事の質に問題が発生する可能性があると考えられ,様々な参加者にそれを公表することで,参加を促すなどの目的をもって行っている.荒らしを自制するなどについては今のところ行っていない,との回答であった.最終的にはうまくまとまるケースとまとまらないケースがあると思われるが,時系列的なパラメータは入れているのか,という質問があった.これに対し,時系列的なパラメータは入れておらず,他の言葉に置き換えるべきというものがあった.どういう人が参加するかによって,結果は変わるため,人による評価に収束させていきたいとのことであった.六つの軸があって,各能力の間に関係性が出ることもあると思われ,軸が直交していないとの指摘があった.これに対し,プロトタイプの実験としては,まずはこの6軸を使って評価を行っており,今後の実験ではより検討していきたいとのことであった.69件の議論をチェックして,その評価を行ってもらい,その平均値上位20件を良い記事として選んだとのことであるが,それは本当に良い記事であったのか,という質問に対しては,参加者を評価したのではなく,議論そのものを評価したとの回答があった.
20.Web空間上の情報伝播に伴うユーザの行動特性の分析
 ○岡田 尚,桑名 栄二,赤埴 淳一(NTT)
概要
本報告では,Web空間上を伝播する情報と,それに対するユーザの行動までを取り込んだモデルを導入し,実Web空間上で観測された指標による分析を行った結果を記述する.ユーザの行動については,観測可能性という観点からソーシャルメディアを対象としている.分析を通じて,Web空間上を伝播する情報は観測指標の類型性に基づく分類が可能であり,その分類とユーザの行動特性との関連性が示された.以上の結果とその分析の方法論は,企業等がソーシャルメディアを通じた宣伝等の活動を行う際,その活用効果向上のための指針とすることができる.
Keywords: ソーシャルメディア,ブログ,情報伝播,行動モデル

質疑応答議事録
今回の実験で対象とした実空間というのは,ある特定の企業内のブログではなく,一般的なブログを扱ったということであるのか,という質問に対しては,Web上のブログやニュースサイトの記事などを対象とした,とのことであった.年金や少子化というのは世界的にも古くから扱われているキーワードであるため,新しさや古さという尺度以外にも必要な尺度も考えられるとの指摘があった.これに対しては,分類IIと分類IIIの違いは,現在活発に議論が行われているか,そうでないかの差が大きいと思われ,減衰期にきているのか,安定期にきているのかに関する分類という意味合いが大きいとの回答であった.対象キーワードの選定基準に関する質問に対しては,ニュース等で語られることが多いキーワードや新しい語句から少し古めの語句をキーワードに採用したとのことであった.情報の新しさ以外の観点で分析する予定はあるかという質問に対しては,ここからはユーザが絡んでくるところであるため,どういうユーザが発したキーワードが大きいかということが重要であるとのことであった.
(ショート発表)

21.DataWikiにおけるユーザ行動の分析
 ○濱崎 雅弘,江渡 浩一郎(産業技術総合研究所)
概要
機械可読なデータが相互にリンクして作られたウェブ,つまり「Web of Data」が注目されている.Webで大きな役割を果たしたWikiは,Web of Dataにおいても重要な役割を果たすと考えられる.しかし機械可読なデータを扱うWikiであるDataWikiに関する分析はまだほとんどなされていない.そこで本研究では,DataWikiサービスプラットフォームであるWedataの利用状況を分析し,DataWikiの設計や運用のための基礎的知見を示す.
Keywords: 集合知, Wiki, Web of Data, CGM

質疑応答議事録
1日1回しか登録したことのないユーザや,アイテム数が少なく,アイテム更新数が多いというのは利用形態の分類には含まれていないのかという質問があった.これに対しては,アイテム数が多く,アイテム更新回数も多いというのが最も編集者数が多かったとのことであり,アイテム数が多いということは修正するチャンスが多いということを意味し,アイテム数が少ない場合は編集のモチベーションが高くならないとのことであった.書込み型の場合は,皆が観てくれたり,ランキング上位に挙げられるなどのインセンティブがベースとなっているが,なぜこのWikiがそういうインセンティブなしに,モチベーションが維持されているのか,という質問があった.これに対し,アプリケーションがあって,編集者自身がアプリケーションユーザであるから,より使いやすくするために編集を行うという点からモチベーション維持につながっているとの見解であった.
 
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運営委員会
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実行統括担当:笹嶋 宗彦 (大阪大学)
ローカル担当:土方 嘉徳(大阪大学)
プログラム担当:是津 耕司 (情報通信研究機構)
受付担当:山田 和明(東洋大学)
特別企画担当:笹嶋 宗彦 (大阪大学)


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